一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

鈴木環那賛歌(第47期女流名人戦リーグ最終戦)

2020-11-19 01:04:29 | 女流棋士
今週のホットな話題は、16日の第47期女流名人戦リーグの最終戦だった。この日は挑戦に絡む2局に携帯中継が行われた。8戦全勝の加藤桃子女流三段、1敗で追う伊藤沙恵女流三段に、5勝の加藤圭女流初段と鈴木環那女流三段が挑む展開である。が、私は契約していないので、ネット掲示板で状況を見守るのみだった。
なんだかんだ言っても上位2名が勝つのだろう、とのんびり構えていたがさにあらず。圭女流初段、鈴木女流三段とも善戦し、勝ちの目が出てきた。
最終盤になって圭女流初段は勝ちを逃したが、鈴木女流三段はもたつきながらも優位を拡げ、必勝形になったようだ。結果は桃子女流三段が勝ち、鈴木女流三段が勝ち、桃子女流三段の挑戦が決まった。
ここで讃えられるのはもちろん桃子女流三段だが、元奨励会初段、タイトル8期の実績とあれば、この結果は予想できたところ。むしろ6勝を挙げ堂々の3位でフィニッシュした鈴木女流三段に最大限の賛辞を贈りたい。
これまで鈴木女流三段は、元々実力があったものの、如才ない言動から、むしろ聞き手要員に数えられていた。ましてや対伊藤戦はここまで9戦全敗。誰だって伊藤女流三段の勝利を予想する。そこを勝ち切ったのが偉い。
鈴木女流三段は今年、森内俊之九段のYouTubeチャンネル「鈴木環那のタイトルへの道」で鍛えられ、メキメキと実力を向上させた。この5日で33歳になった鈴木女流三段に年齢的なハンデはまったくなく、香1本も2本も強くなったのではなかろうか。
また内容のほうも、いつもはガチガチの穴熊のイメージがあったが、乱戦でも巧みに手を繋げ、指し手に粘りが出てきたように思える。今年度はこれで15勝5敗で、勝数も勝率も3位につけた。森内九段のコーチがうまかったのだろうが、それに応えた鈴木女流三段もあっぱれである。
それにしても、男性プロの教えはすごいと思う。数年前も渡部愛女流三段が野月浩貴八段のスパルタに耐え、タイトルを獲得した。最近では、圭女流初段がやはり男性棋士のコーチを受けて、メキメキと実力を付けた。
だがこれは特別なケースではなく、女流棋士が望めば、男性棋士にコーチを受けることができるのだろう。ただ、女流棋士はそこまで将棋が好きではないんだと思う。だからラクなほうへ逃げてしまう。
最近はYouTubeに活躍の場を移している(女流)棋士もいるが、将棋ファンが本当に賛辞を贈るのは、この鈴木女流三段のように「勝つ」棋士である。鈴木女流三段は、いまや両タイトル保持者と桃子女流三段、伊藤女流三段に次ぎ、5番目の実力者だろう。絶対にタイトル戦に登場してほしい。

残留争いのほうは、香川愛生女流三段と渡部女流三段が勝ち残留。
また山根ことみ女流二段は室谷由紀女流三段に勝ったものの、頭ハネで陥落した。ふつうは勝てば残留としたものだが、上位の3勝が2人とも勝つとはツイてなかった。
しかし山根女流二段は、前期はリーグで3勝、前々期は2勝だったから、着実に実力を付けている。もはやリーグ戦の常連といってもよく、来期はまた戻ってくるだろう。
室谷女流三段は前期挑戦者だったが、無念の陥落となった。最終局に勝っても結果的に陥落だった。まあ今の室谷女流三段は運気が落ちているから、仕方ない。
皆さまお疲れ様でございました。
コメント (2)
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