一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

悪夢の社団戦2020(2)

2020-11-05 00:21:41 | 社団戦

「いやいや、なんで飛車を取らないの!? ▲4九金△6八成銀に▲3三角とでも打ってボチボチ入玉すれば必勝じゃないですか! 自陣は相手の金銀3枚がタコだし、こっちは飛車銀を持つわけだし」
私は場をわきまえず、喚き散らした。
阿部氏は、
「飛車を取れることをうっかりした……」
としぼりだした。「飛車で▲4三の成桂も取られると思って……もうダメだと思って……」
やはりそうか。しかし痛い錯覚があったものだ。これでチームの優勝がなくなり、私は気が遠くなった。対戦相手はこのやりとりに構っていられないのか、席を立ってしまった。
「だって、さっきからずっと飛車に当たってたじゃん! 詰まされて投げるならいいけど、これこっちが勝ちじゃん。投了が敗着だよ」
間を置いて私は続けた(実際は、▲4九金△6八成銀▲3三角の進行は△6七角(参考図)が強烈で、後手勝勢。やはり先手が厳しい戦いだった)。

「あう……ああ……」
阿部氏がうめいた。
まあ秒読みは誰もが焦るからやむを得ないが、頭が真っ白になっては、勝てるものも勝てない。しかし社団戦に秒読みはつきものである。阿部氏はその克服が今後のカギであろう。

あまりにも衝撃的な負けが3つも続いたので、マジで頭が痛くなってきた。私の血圧は200を越えていただろう。
2回戦は明治SAKI戦。メンバーは一公、藤原息子君、藤宮氏、山本氏、三上氏。
いつまでもアツくなっていたら私の将棋もおかしくなってしまう。とにかく冷静になることに努めた。
振ってもらって私の後手。では初手から記そう。

▲7六歩△3四歩▲6六歩△8四歩▲7八銀△6二銀▲6八飛△5四歩▲7七角△4二玉▲4八玉△3二玉▲3八銀△5二金右▲3九玉△5三銀▲6五歩(第1図)

相手は10代か20代の青年だった。角道を止めての四間飛車は珍しい。もっともアマ棋界では、この指し方がメジャーなのかもしれない。
先手は早くも美濃に囲う。居飛車はここが作戦の岐路。当初は天守閣美濃を考えたが、5筋位取りもいい。とりあえず△5三銀と上がった。
そこで▲6五歩が趣向の一手だ。

第1図以下の指し手。△7七角成▲同銀△4四歩▲7八金△4二銀上▲7五歩△4三銀▲6六飛△4五歩▲7六飛△3三桂▲6八銀△5五歩▲6七銀△5四銀左(第2図)

△7七角成は注文にはまるようだが、つい指してしまった。でも疑問手ではなく、普通の手だ。ただし角交換となっては、もう通常の囲い(戦法)にはできない。
私は△4四歩とし、盛り上がりの構想。天チル氏は▲7五歩。なるほど立石流の狙いだ。
それならと私は△4五歩。通常は対石田流の得意戦法で、前回の3回戦、天野チルドレン5の大将と戦ったとき、5筋位取りなんか指さず、この戦法を起用すればよかった。
△3三桂は必要な手で、のちに△5四銀左と上がったとき、▲7四歩△同歩▲同飛△7三歩に▲5四飛△同銀▲7一角△7二飛▲4四角成(銀香両取り)の強襲を防いでいる。

第2図以下の指し手。▲7七桂△4二金上▲2八玉△4三金上▲7四歩△同歩▲同飛△7三歩▲7六飛△6二金▲1六歩△9四歩▲9六歩△1四歩▲6六銀△7二金(第3図)

私の△4三金上では△4三金右だったかもしれないが、角を持たれているので、打ち込みに気を遣った。しかし△6二金と寄ったのは警戒のし過ぎだったかもしれない。ただ、先手の8筋からの強攻に備えた意味もあった。

第3図以下の指し手。▲6八金△8八角▲5六歩△4二金▲5五歩△4三銀(第4図)

第3図からは▲5六歩を考えていた。予定は△4四銀だったが、▲5五歩△同銀左▲同銀△同銀に▲6一角くらいで、後手は次の手が難しいと思っていた。そこに本譜▲6八金は不可解な手で、私はありがたく△8八角と打ったが、誘いの隙だったのだろうか。
明治氏は予定通り▲5六歩。そこで△4二金が自分らしい一手だった。▲5五歩で1歩損になるが△4三銀と引き締め、十分である。後手は△9九角成が約束されているので、ケンカはしないのである。

第4図以下の指し手。▲5七銀△9九角成▲5六飛△8九馬▲7八歩△7九馬▲5九金△6二金▲6九金寄△9七馬(第5図)

隣の藤原息子君の将棋は、息子君が5四に金駒を打つ。後手氏が4二に金駒を受ける。▲5三○△同○▲5四○△4二○▲5三○……。バシバシと駒を打つ音が連打され、千日手になった。
盤面。▲5六飛には△8九馬と寄り、▲7八歩と打たせた。そこでさらに△7九馬と寄る。後手は次の狙いがないが、▲5七銀の動きを牽制する意味である。明治氏は▲5九金と寄ったが、これは大きな利かしとなった。
△6二金は、後手は中央から角を切ってくる手に備えた手。たぶんマイナスにはならないと思った。

第5図以下の指し手。▲6六銀△8七馬▲7五角△8五歩▲5三角成△同金右▲5四銀△5二歩▲4三銀成△同金寄▲5四銀△5三歩▲6三銀不成△6一香▲6四歩(第6図)

▲6六銀はこれくらい。私も慌てる必要はないので、△8七馬と寄っておく。▲7五角には間接的な角切りの催促で、△8五歩。明治氏は我慢ならず▲5三角成と来たが、待ち受ける順だった。
だが▲4三銀成に△同金寄は、△同金上だったか。
再度の▲5四銀に△5三歩と突き上げたが、▲6三銀不成と、こちら側を破られた。でも△6一香で銀の足を止められたのは幸いだった。

(つづく)
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