明日3日はNHKで「新春将棋特番・NHK杯70年」が放送される。NHK杯に最も多く出場した加藤一二三九段が、過去のNHK杯から名局ベスト10を選ぶというものだ。ほかの出演者は、木村一基九段、深浦康市九段、矢内理絵子女流五段。
では私も、「私が勝手に選ぶNHK杯名局ベスト10」を行おう。対象は私がテレビで拝見したNHK杯である。
NHK杯史に燦然と輝く名手▲5二銀!
第1位 昭和63年度・第38回4回戦 ▲羽生善治五段VS△加藤一二三九段
NHK杯を語るとき、この将棋を抜いては語れまい。元中学生棋士の大天才同士が4回戦で激突した。図の▲5二銀がNHK杯史に残る名手。解説の米長邦雄九段は「おおお~!」と絶叫し、この一手の凄さを物語った。
NHK杯史上に残る大落手!
第2位 昭和54年度・第29回3回戦 ▲加藤一二三王将VS△大山康晴十五世名人
お次は正反対の大落手編。図は先手勝勢で、▲5二飛成△同飛▲4三銀まで先手勝ち。ところが加藤王将は▲8八金! これがNHK杯史に残る大落手。この金をむしり取る大山十五世名人の早かったこと! 5五のあたりで一回角を落としたのだが、さすがの大山十五世名人も慌てたのだ。この勝利は大きく、大山十五世名人は加藤九段から王将を奪取し、NHK杯でも優勝した。
前人未踏のNHK杯4連覇! 通算10回優勝で名誉NHK杯に
第3位 平成23年度・第61回決勝戦 ▲羽生善治二冠VS△渡辺明竜王
1回負ければ終わりのNHK杯で、羽生二冠はここまで3連覇。そして第61回も羽生二冠が決勝戦に勝ち上がってきた。そして渡辺竜王に勝ち、NHK杯4連覇。通算10回優勝で将棋界初の名誉NHK杯を手にした。
60歳でNHK杯優勝!
第4位 昭和58年度・第33回決勝戦 ▲大山康晴十五世名人VS△加藤一二三前名人
大山十五世名人が61歳を目前にNHK杯決勝に進出。決勝戦では加藤前名人の急戦をいなし、▲4八金打~▲4九金打(図)と馬をしかりつける。解説の中原誠二冠もうなる最強手で、大山十五世名人は自己最多・8回目の優勝を飾った。なおこのときの視聴率は7%で、NHK杯史上最高記録だった。
未来の両永世名人、NHK杯で初激突!
第5位 昭和62年度・第37回2回戦 ▲羽生善治四段×△谷川浩司王位
元中学生棋士同士がNHK杯で初激突。本局は矢倉で難しい戦いになったが、羽生四段が抜け出す。終盤、▲2二金で羽生四段勝勢。△4一玉(図)とよろけるときの谷川王位の手つきが残念無念を表していた。
華麗なる詰み!
第6位 平成24年度・第62回準決勝 ▲郷田真隆九段VS△羽生善治三冠
何でも指す羽生三冠はゴキゲン中飛車。キビキビした攻め合いの末、自玉がほぼ受けなしとなった羽生三冠は、郷田玉を詰ましにかかる。図の△8六銀が名手。この一手が分かれば、あとは何となく詰む。△6二歩がいい働きをしていて、勝ち将棋鬼のごとしだ。
長手順の大トン死!
第7位 平成19年度・第57回2回戦 ▲羽生善治王将VS△中川大輔七段
相掛かりで始まった本局は大熱戦になったが、154手目中川七段が△2六歩と飛車と取ったのが大悪手。羽生王将の▲2二銀が好手で、以下遠く▲9八角の利きが通り、中川玉がトン死した。解説の加藤一二三九段の奇声も相まって、NHK杯史に残る名局となった。
両雄、一般棋戦で初の決勝戦!
第8位 平成6年度・第44回決勝戦 ▲米長邦雄前名人VS△中原誠永世十段
中原十六世名人と米長永世棋聖の一般棋戦での決勝戦は初。本局は米長前名人のひねり飛車。後手の中原永世十段が桂馬のふんどし(図)を指し競り勝ち、6度目の優勝を飾った。中原十六世名人はこれが最後の公式戦優勝となった。
叩き上げの最年長四段が俊英を破る!
第9位 平成30年度・第68回1回戦 ▲藤井聡太七段VS△今泉健司四段
俊英高校生七段に戦後最年長ルーキー四段が挑む。下馬評では当然藤井七段が有利だったが、今泉四段はよく戦った。図の▲7三角が、本局で私が最も感心した一手。馬の裏側から角を打ち、3七への脅威を間接的に防いでいる。実戦もその後難しいところはあったが、今泉四段が制勝。今泉四段にとって一生忘れられぬ勝利となった。
天才先崎、棋戦初優勝!
第10位 平成2年度・第40回決勝戦 ▲先崎学五段VS△南芳一棋王
天才先崎五段は準決勝で羽生前竜王を破り、初の決勝進出。本局は南棋王の△6四金に▲5四飛(図)と飛び出したのが強烈で、以下先崎五段が押し切った。のちに上梓された「一葉の写真」には、このときのよろこびが綴られている。
加藤九段のベスト10も楽しみにしている。
では私も、「私が勝手に選ぶNHK杯名局ベスト10」を行おう。対象は私がテレビで拝見したNHK杯である。
NHK杯史に燦然と輝く名手▲5二銀!
第1位 昭和63年度・第38回4回戦 ▲羽生善治五段VS△加藤一二三九段
NHK杯を語るとき、この将棋を抜いては語れまい。元中学生棋士の大天才同士が4回戦で激突した。図の▲5二銀がNHK杯史に残る名手。解説の米長邦雄九段は「おおお~!」と絶叫し、この一手の凄さを物語った。
NHK杯史上に残る大落手!
第2位 昭和54年度・第29回3回戦 ▲加藤一二三王将VS△大山康晴十五世名人
お次は正反対の大落手編。図は先手勝勢で、▲5二飛成△同飛▲4三銀まで先手勝ち。ところが加藤王将は▲8八金! これがNHK杯史に残る大落手。この金をむしり取る大山十五世名人の早かったこと! 5五のあたりで一回角を落としたのだが、さすがの大山十五世名人も慌てたのだ。この勝利は大きく、大山十五世名人は加藤九段から王将を奪取し、NHK杯でも優勝した。
前人未踏のNHK杯4連覇! 通算10回優勝で名誉NHK杯に
第3位 平成23年度・第61回決勝戦 ▲羽生善治二冠VS△渡辺明竜王
1回負ければ終わりのNHK杯で、羽生二冠はここまで3連覇。そして第61回も羽生二冠が決勝戦に勝ち上がってきた。そして渡辺竜王に勝ち、NHK杯4連覇。通算10回優勝で将棋界初の名誉NHK杯を手にした。
60歳でNHK杯優勝!
第4位 昭和58年度・第33回決勝戦 ▲大山康晴十五世名人VS△加藤一二三前名人
大山十五世名人が61歳を目前にNHK杯決勝に進出。決勝戦では加藤前名人の急戦をいなし、▲4八金打~▲4九金打(図)と馬をしかりつける。解説の中原誠二冠もうなる最強手で、大山十五世名人は自己最多・8回目の優勝を飾った。なおこのときの視聴率は7%で、NHK杯史上最高記録だった。
未来の両永世名人、NHK杯で初激突!
第5位 昭和62年度・第37回2回戦 ▲羽生善治四段×△谷川浩司王位
元中学生棋士同士がNHK杯で初激突。本局は矢倉で難しい戦いになったが、羽生四段が抜け出す。終盤、▲2二金で羽生四段勝勢。△4一玉(図)とよろけるときの谷川王位の手つきが残念無念を表していた。
華麗なる詰み!
第6位 平成24年度・第62回準決勝 ▲郷田真隆九段VS△羽生善治三冠
何でも指す羽生三冠はゴキゲン中飛車。キビキビした攻め合いの末、自玉がほぼ受けなしとなった羽生三冠は、郷田玉を詰ましにかかる。図の△8六銀が名手。この一手が分かれば、あとは何となく詰む。△6二歩がいい働きをしていて、勝ち将棋鬼のごとしだ。
長手順の大トン死!
第7位 平成19年度・第57回2回戦 ▲羽生善治王将VS△中川大輔七段
相掛かりで始まった本局は大熱戦になったが、154手目中川七段が△2六歩と飛車と取ったのが大悪手。羽生王将の▲2二銀が好手で、以下遠く▲9八角の利きが通り、中川玉がトン死した。解説の加藤一二三九段の奇声も相まって、NHK杯史に残る名局となった。
両雄、一般棋戦で初の決勝戦!
第8位 平成6年度・第44回決勝戦 ▲米長邦雄前名人VS△中原誠永世十段
中原十六世名人と米長永世棋聖の一般棋戦での決勝戦は初。本局は米長前名人のひねり飛車。後手の中原永世十段が桂馬のふんどし(図)を指し競り勝ち、6度目の優勝を飾った。中原十六世名人はこれが最後の公式戦優勝となった。
叩き上げの最年長四段が俊英を破る!
第9位 平成30年度・第68回1回戦 ▲藤井聡太七段VS△今泉健司四段
俊英高校生七段に戦後最年長ルーキー四段が挑む。下馬評では当然藤井七段が有利だったが、今泉四段はよく戦った。図の▲7三角が、本局で私が最も感心した一手。馬の裏側から角を打ち、3七への脅威を間接的に防いでいる。実戦もその後難しいところはあったが、今泉四段が制勝。今泉四段にとって一生忘れられぬ勝利となった。
天才先崎、棋戦初優勝!
第10位 平成2年度・第40回決勝戦 ▲先崎学五段VS△南芳一棋王
天才先崎五段は準決勝で羽生前竜王を破り、初の決勝進出。本局は南棋王の△6四金に▲5四飛(図)と飛び出したのが強烈で、以下先崎五段が押し切った。のちに上梓された「一葉の写真」には、このときのよろこびが綴られている。
加藤九段のベスト10も楽しみにしている。