第46期棋王戦挑戦者決定戦は、敗者復活組の糸谷哲郎八段が広瀬章人八段に2連勝し、渡辺明棋王への挑戦権を獲得した。
棋王戦は第2期から「ベスト8から敗者復活」システムを採用している。だが、全勝で勝ち進んだ棋士に挑戦者決定戦でアドバンテージがない、という理由から、第18期から「完全2敗失格制」を採用した。すなわち敗者復活をベスト4からとし、挑戦者決定戦では全勝側に1勝のアドバンテージを与え、変則二番勝負としたのだ。当然敗者復活組からの挑戦者は少なく、今回は第41期の佐藤天彦八段以来、5年振りとなった。
しかし「勢いをつける」という意味では、敗者組から挑戦者になったほうが、タイトル奪取の確率が高いような気がするのだ。
参考までに、第17期までで敗者復活組から挑戦者になったのは、16回中3回。タイトル獲得は第14期の南芳一王将のみだった。
さて変則二番勝負は、「全勝者○」「全勝者●○」、「敗者復活組○○」の3パターンしかない。第18期から第45期までの28回で、それぞれがどんな成績だったか、調べてみよう。
A.全勝者○…10回→奪取1回、失敗9回
B.全勝者●○…9回→奪取3回、失敗6回
C.敗者組○○…9回→奪取4回、失敗5回
挑戦には1勝のアドバンテージが利いて、全勝者が19回となっている。挑戦率.679は高率だが、それでも一番勝負だった第17期までの.813と較べると、やや劣る。
しかも、全勝者の初戦勝ちが10回しかないのも、あまりにも低調だ。つまり10勝18敗.357である。第17期までと比べると、ずいぶんな下落ではないか。これは、第1局を負けてもあとがある、という全勝者の気の緩みと、負けたらオワリ、という敗者復活組の必死さが相まって、この数字になっているのではなかろうか。
Aパターンのタイトル奪取は、わずか1回である。どうも、羽生善治棋王と渡辺棋王が大きな壁となったようである。
全勝者が初戦に負け、第2局に勝ち挑戦者になった場合は多少の「儲けた感」が出るのか、挑戦者の奪取率が.333に上昇した。
敗者復活組が○○で挑戦者になったときは、やはり勢いが増すのか、奪取4回、失敗5回と大健闘していた。
というわけで、話を現在に戻す。
渡辺棋王は第38期で郷田真隆棋王から奪取して以来、8連覇中だ。この間、すべての対戦相手が違うところが面白い。
今回の糸谷八段とも棋王戦では初のタイトル戦だが、2015年の第28期竜王戦では、4勝1敗で渡辺棋王が制している。また通算対戦成績も渡辺棋王15勝、糸谷八段5勝と、渡辺棋王が引き離している。
ただまあ、タイトル戦ではこうした数字は参考程度にしかならない。早指しが得意の糸谷八段は、2日制より1日制のほうが合っているように思える。Cパターンでの挑戦も追い風だ。
注目の五番勝負は、2月7日(日)開幕である。
棋王戦は第2期から「ベスト8から敗者復活」システムを採用している。だが、全勝で勝ち進んだ棋士に挑戦者決定戦でアドバンテージがない、という理由から、第18期から「完全2敗失格制」を採用した。すなわち敗者復活をベスト4からとし、挑戦者決定戦では全勝側に1勝のアドバンテージを与え、変則二番勝負としたのだ。当然敗者復活組からの挑戦者は少なく、今回は第41期の佐藤天彦八段以来、5年振りとなった。
しかし「勢いをつける」という意味では、敗者組から挑戦者になったほうが、タイトル奪取の確率が高いような気がするのだ。
参考までに、第17期までで敗者復活組から挑戦者になったのは、16回中3回。タイトル獲得は第14期の南芳一王将のみだった。
さて変則二番勝負は、「全勝者○」「全勝者●○」、「敗者復活組○○」の3パターンしかない。第18期から第45期までの28回で、それぞれがどんな成績だったか、調べてみよう。
A.全勝者○…10回→奪取1回、失敗9回
B.全勝者●○…9回→奪取3回、失敗6回
C.敗者組○○…9回→奪取4回、失敗5回
挑戦には1勝のアドバンテージが利いて、全勝者が19回となっている。挑戦率.679は高率だが、それでも一番勝負だった第17期までの.813と較べると、やや劣る。
しかも、全勝者の初戦勝ちが10回しかないのも、あまりにも低調だ。つまり10勝18敗.357である。第17期までと比べると、ずいぶんな下落ではないか。これは、第1局を負けてもあとがある、という全勝者の気の緩みと、負けたらオワリ、という敗者復活組の必死さが相まって、この数字になっているのではなかろうか。
Aパターンのタイトル奪取は、わずか1回である。どうも、羽生善治棋王と渡辺棋王が大きな壁となったようである。
全勝者が初戦に負け、第2局に勝ち挑戦者になった場合は多少の「儲けた感」が出るのか、挑戦者の奪取率が.333に上昇した。
敗者復活組が○○で挑戦者になったときは、やはり勢いが増すのか、奪取4回、失敗5回と大健闘していた。
というわけで、話を現在に戻す。
渡辺棋王は第38期で郷田真隆棋王から奪取して以来、8連覇中だ。この間、すべての対戦相手が違うところが面白い。
今回の糸谷八段とも棋王戦では初のタイトル戦だが、2015年の第28期竜王戦では、4勝1敗で渡辺棋王が制している。また通算対戦成績も渡辺棋王15勝、糸谷八段5勝と、渡辺棋王が引き離している。
ただまあ、タイトル戦ではこうした数字は参考程度にしかならない。早指しが得意の糸谷八段は、2日制より1日制のほうが合っているように思える。Cパターンでの挑戦も追い風だ。
注目の五番勝負は、2月7日(日)開幕である。