一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

社団戦2022・第3日目(3)

2022-09-04 21:32:06 | 社団戦
周りが一斉にこちらを見た。
野澤亘伸氏はその筋では著名な写真家だが、2019年、「将棋世界」に不定期連載の「師弟」にて、第31回将棋ペンクラブ大賞「文芸部門」で、大賞を受賞した。
将棋をまったく知らずにあの文章は書けぬから相当な指し手だとは思っていたが、まさか副将を務めるとは!
社団戦は時折、著名人が出場することがある。「ウチも木村晋介(というタレント弁護士)がいるんですよ」と私は強がったが、きょう木村会長は休みだ。
さて、対局である。こちらのスターティングメンバ―は、大将が私。以下山本、山野、Abe、Fuji父、Kid、Akuの7氏である。Fuji父は途中参戦だが、あとで息子君も来るという。
あちらは四将以下がすべて女性だった。時代が変わったことを認識するが、こちらも負けるわけにはいかない。
私の後手で、対局開始。▲5六歩△5四歩▲5八飛。ミスター中飛車氏はその名の通り、中飛車しか指さない。彼とはLPSAのサロンで何局か指し、私が相当勝っていたと思うのだが、その後将棋ペンクラブ関東交流会の将棋会では連敗している。きょうも激戦が予想された。
中飛車氏は5筋の歩を交換し、▲5九飛と深く引く。
私は角道を開けず中央に駒を集めたが、このあとの構想がマズかった。

第1図以下の指し手。△8六歩▲同歩△8八歩▲同角△8六飛▲7八金△7六飛▲7七角△7四歩▲6六銀△7三桂(第2図)

第1図からの△8六歩が、ひどい構想だった。中飛車氏は穏やかに▲同歩と取ったが、▲8六同角と取り、△8八歩には▲7七桂で、以下▲6五桂~▲5四歩の筋で、先手優勢だった。
私は△8六飛で飛車先の歩を交換できたが、1歩損。それを回復すべく△7六飛と横歩を取ったが▲7七角で、次に▲8二歩がある。そこで△7四歩と突いたが、ここで後手を引いたのは痛かった。

第2図以下の指し手。▲5四歩△6四銀▲8七金△7七飛成▲同金△8八歩▲8一飛△6八角(第3図)

中飛車氏は▲5四歩と打ったが私は△6四銀と出て、△6五桂ハネの下地ができたので、ありがたかった。
中飛車氏は▲8七金で、ついに私の飛車が捕まった。私は△7七飛成だが、▲同銀や▲同桂では△7八角があるので、▲同金。
そこで私は△8八歩だが、冴えない。
▲8一飛に△8九歩成は▲同飛寄で、お手伝い。つまり私の△8八歩は利いていないのだ。

第3図以下の指し手。▲8八飛成△5九角成▲同金△3四歩▲4八銀△5六歩▲8二竜△6五桂▲5三歩成△同銀上▲6五銀△同銀▲4五桂△4二銀▲5三歩△5一金引▲5二角(第4図)

中飛車氏は▲8八飛成としたが、ここは▲6九飛△3五角成▲8八飛成なら、先手の完封勝ちだったと思う。先手陣は盤石で、後手は掛かり手がない。先手はと金を作ってボチボチ行けばよい。
私は△5九角成と飛車を入手し、とりあえず惨敗の線はなくなった。
しかし▲5三歩成からの中飛車氏の攻めが強烈で、▲5二角の局面は、後手が相当危うい。また負けにしたかと思った。

第4図以下の指し手。△5五角▲4一角成△同金▲8一竜△5七歩成▲同銀△5一歩▲5二歩成△同歩▲5六歩(第5図)

隣の野澤氏は、振り飛車に高美濃囲いで、形がいい。これは山本氏が苦戦しそうだ。
私は指し手に困って△5五角と出た。これには▲8五竜が銀取りだが、そうは指さないと思った。
ただ、いま冷静に見ると、ここでじっと▲7二竜で後手は指す手がない。△8六歩の罪は相当に大きかったということだ。
中飛車氏は▲4一角成から▲8一竜。私は悔しいが、△5七歩成と捨て、△5一歩を狙う。
だから中飛車氏の▲5七同銀では、構わず▲5二金もあった。以下△4八と▲同金△5一歩▲4一金△同玉▲5二金△3二玉▲4二金(▲8二竜もある)△同玉▲8二竜で、後手が窮していた。
ただ▲5二金は指さないと思った。このあたり、先手の指し手をある程度予想して、手抜きの手を指している。これではいけないのだ。
さて▲5六歩にはどう指すか。

第5図以下の指し手。△5六同銀▲同銀△5七飛▲4八銀△5六飛成▲4六金△同角▲同歩△5七銀▲4七銀△4八金▲同金△同銀成▲同玉△5七角▲3八玉△4九銀▲2八玉△4七竜▲3三銀(第6図)

このとき、中飛車氏の背後に金子タカシ氏がいた。相手チームの応援であろう。そこで私はいい所を見せようと、△5六同銀と取った。▲同銀に△5七飛で駒損を回復できるので、竜ができたぶん、得というわけだ。
中飛車氏の▲4六金は▲4五桂にヒモを付ける意味だが、ここは▲6六金打のほうがイヤだった。
▲4六同歩に△5七銀は手筋っぽく、実際△4八銀成▲同金△4七銀以下の詰めろだが、▲5七同銀△同竜▲4八銀で同じだ。よって△5七銀では、△4七銀▲同銀△5九竜だった。
だが中飛車氏は▲4七銀と上がる。しかしこれは△4八金以下、寄りである。
しかし△4七竜はミス。ここは△3九角成▲同玉△3八金▲同銀△同銀成▲同玉△4七銀▲3九玉△5九竜(参考図)以下、先手玉は詰みだった。

自玉が受けなしになり、中飛車氏は▲3三銀。中飛車氏、やぶれかぶれになったのかと思った。

(つづく)
コメント
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