一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

王子ジョナ研7月11日(前編)

2014-07-21 00:07:10 | ジョナ研
雨の直撃は、中住居の▲5八玉に△5六歩▲同歩△5七歩と叩かれるようなもので、頭頂部が薄い私には大敵だ。
駅の反対側に降りると、100円ショップがあった。ビニール傘108円は安い。オレは必ずしも100円ショップを信奉しないが、こういう事態ではさすがに重宝する。傘は50cmだったが(どこが?)、アタマが濡れなければそれでいい。
R氏から電話があった。きょうは参加予定ではないが、急遽参加となっていた。
王子ジョナサンに着くと、R氏が入口で待っていた。珍しくきょうは、喫煙席も満席のようである。
さてR氏がジョナ研に参加すると、オリジナル色が強くなる。R氏はLPSA設立当初から駒込サロンに通い、その模様をブログに記してきた。氏のブログを見てサロンにお邪魔した棋客も少なくないはずで、私も多少は影響されている。Rはいわば、生ける伝説なのだ。
けっこう待たされたが、いつもの奥のテーブルに通された。まずは飲み物で乾杯した。
料理は先日の割引券があるが、それを使って料理を頼んだのは私だけだった。料理の安さに左右されず選ぶかどうかは個人差があるが、私は利用してしまうほうである。
社団戦の話が出る。Hon氏は「月組2008」で、3部(白)に出場している。6日は7将で参戦して、2局指して2敗だった。チームも1勝3敗で、さすがに3部のレヴェルは高いのだ。
ちなみに3部(白)は天野元奨励会三段率いるチームが事実上昇級確定しているので、残る昇級枠は1だ。月組は残留を目指す。
私の頼んだエビ入りパスタが来た。頭・殻付だったが、どちらかといえば落としてほしかったところ。美味しく食したが、ちょっと舌が痺れた。
私は好き嫌いはないが、生エビだけはダメだ。食べると舌が痺れて、気持ち悪くなる。たぶん、「食わず嫌い」に出たら、バレる。
Kaz氏が来た。Kaz氏は久しぶりの参加だが、参加できないのは仕事で多忙だからで、同情はしない。きょうはこの4人で進行する。
Kaz氏は割引券を使った。しかし残り数枚は期限切れで廃棄処分となる。
4人の食事が終わり、いよいよ将棋となる。いつもながら、バカだ…。
ところでR氏は、日本将棋連盟に初段免状の申請を考えているという。現在は十七世名人から十九世名人までの連名になるからで、そういわれれば私も申請を考えてしまう。
ただしR氏はスンナリとは申請したくないようで、みなで話し合った結果、私かFuj氏に二枚落ちで勝ったら実力初段とみなし申請する、という結論になった。
その前に、まずはHon氏との二枚落ち戦となった。対局が始まったが、当然R氏がうまく指している。R氏は女流棋士にも飛車落ちで勝つことがあるから、有段の棋力はあるのだ。
Hon氏が2杯目のビールを頼む。と、ウエイターさんが、「同じ方が頼みましたか?」と、おかしなことを聞く。きょう飲んでいるのはHon氏だけだからもちろん「YES」だが、2杯目を100円引きにしてくれた。いまはファミリーレストランも競争が激しいのか、いろいろキャンペーンをやっているようである。
局面――。▲3五角が飛車に当たっていて忙しいが、R氏は▲7一角成! △同玉に▲7三金で、上手玉は必至である。この角捨てなどとても級位者の手ではなく、私なら投了しているところ。
しかしHon氏は△5七桂不成と王手し、未練がましい。以下数手進んで▲7七玉に△5五角。ここで▲6六歩とすれば下手勝ちだったのだが、R氏が▲8六玉と上がったのでおかしなことになった。
以下△8五銀▲9五玉△9四銀打▲8四玉△8三歩▲同金△同銀▲同玉△7二金と進んで、必至が解けてしまった。
上手はなおも△8三銀、△7四金とし、いつの間にか銀冠ができてしまった。結果もHon氏の勝ち。
どうしてこんなことになるのか…。
ま、まあいい。R氏に終盤の手拍子がなければ実力三段なのだが、初段は申請しても十分だと思う。本人が不満なら、免状を取得してから強くなればいいのだ。それで笑う人は誰もいないと思う…。
続いてKaz氏と私との将棋になる。Kaz氏にはかなり負け越しているので、一番でも返しておきたいところ。振り駒でと金が5枚出て、私の後手になった。

▲7六歩△3四歩▲2六歩△3四歩▲4八銀△8五歩▲7八金△8六歩▲同歩△同飛▲9六歩△8二飛▲8七歩△3二金▲2五歩△8八角成▲同銀△2二銀▲2四歩△同歩
▲同飛△2三銀▲2八飛△2四歩▲6八玉△3三桂▲7七銀△9四歩▲3六歩△5二金▲3七銀△1四歩▲4六銀△4四歩▲5六歩△4三金右▲3七桂△4五歩▲同桂△同桂
▲同銀△4四歩(図)

思うところあって5手目に▲4八銀と指してみた。しかしふつうに飛車先の歩を交換されて、早くも作戦負けに陥った。しかし私も飛車先の歩を交換できて、まずまずになった。
△5二金に私は▲3七銀だが、▲4六角と打っちゃうんだったか。次の狙いは▲2四角△同銀▲同飛。これは歩得の先手が十分だろう。
よって後手は△2五歩だろうが、▲3七桂と跳ねてどうか。
本譜は後手十分の形勢から△4五歩と突かれ、▲5七銀では△3五歩で話にならぬので▲4五同桂だが、以下△4四歩まで銀を殺されては、早くも先手が敗勢になった。
(つづく)
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週に2度目の東十条囲碁将棋サロン

2014-07-20 12:17:58 | 東十条囲碁将棋サロン
NHK杯将棋トーナメントは、対局室全体を映す時間が多くなったように思う。これも室谷由紀女流初段を映すためだろうか。きょうの室谷女流初段も、神々しいまでに美しかった。

11日(金)は、約1か月ぶりに王子ジョナ研があった。
その前に例によって、東十条囲碁将棋サロンで将棋となる。ここの参加者はHon氏と私だけの予定だ。
午後6時過ぎにサロンに入ると、ほぼ同時にHon氏も入店した。Hon氏が表で一服し、私と将棋となる。きょうも囲碁客は数人いるが、将棋客はいない。これなら早めに王子ジョナサンに入って食事をし、そこで将棋を指せば安くあがるのだが、王子は長時間粘れる雰囲気ではない。東十条囲碁将棋サロンの「将棋」を盛り上げたい意味もあり、私たちはこうしてサロンで将棋を指すのだ。
Hon氏の先手で対局開始。まだ外の陽は明るく、日本の企業戦士はバリバリ仕事をこなしていると思うと、自分の行為が情けなくなる。それはHon氏にも同じことがいえそうだが、Hon氏はしっかりと妻子を養い、仕事も一段落させてから来ている。半分プーの私とは、雲泥の差なのだ。
将棋はHon氏の▲5七銀型四間飛車。私は△3四銀と上がり玉頭位取りに出る。
角交換後に私は△3三桂と跳ねたが、これが疑問手。ここで▲7八角と打たれたら銀の助け方が難しく、私が窮していた。
本譜はHon氏が▲4六銀から▲3五銀ときた。やむない△同銀に▲7一角が痛打。△8三飛では▲3五角成で未来がないので、私は△6二飛だが、▲同角成から飛車を下ろされ、私が非勢に陥った。
私は△2三角、△4四角と二枚角で粘る。これが意外に利いたようで、難しいところはあったが、以下私の勝ちとなった。
感想戦に移るが、序盤▲5五歩のところで▲4六銀の変化をやったら、手がどんどん進んでしまった。私は元の局面に戻したいのだが、Hon氏にその気配はない。結局そのまま進めて、ついに私が受けなしの局面までなってしまった。まあしかし、実戦でこうはならない。
まだ時間があるので、もう一局指す。今度はHon氏の居飛車、雁木となった。Hon氏は振り飛車党だが、居飛車を指すときはほとんど雁木だ。石橋幸緒さん直伝の戦法で、よほどおのれの棋風にマッチしたらしい。
私は居角のまま、△6四歩。居飛車は必ず▲6五歩と指してくるから、その牽制だ。
以下激しい将棋になったが、Hon氏が一瞬攻めを休んだので、私が一手受けて、指しやすくなった。ここは▲4五歩と歩を合わせて攻めを続行すれば、私が潰されていただろう。結果は私の勝ち。
2局目も指したのであっという間に午後8時近くになり、ここで退席となる。囲碁客はいつの間にか、3人に減っていた。この数を見ると、将棋教室がある火曜日などは、数的に逆転の目があると思うのだが。
表は雨が降っていた。まだ梅雨なのか、このところの天気がはっきりしない。Hon氏は折り畳み傘を所持しているが、私はない。雨男なのに持参しないのが、私の怠惰なところ。
王子ジョナサンまでけっこうな距離があるが、Hon氏と相合傘はしたくない。
どうしようか…。
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18日の女流王座戦・矢内理絵子女流五段×中村真梨花女流二段戦を振り返る

2014-07-19 11:37:23 | 女流棋戦
17日未明になくなった庭の桃の実は、庭に桃の種が落っこちていたことから、ハクビシンに盗まれた可能性も出てきた。昨年人間に盗まれたとき、同じ盗まれるならハクビシンに…とも思ったが、いざ盗られると、どちらも悔しい。

中村真梨花女流二段は、当ブログで何度も「女流名人になる器」と書いてきた。実際真梨花女流二段は前期女流名人戦で挑戦者になったのだが、私はそれほど期待していなかった。
というのも、女流名人が里見香奈女流二冠だったからである。里見女流二冠は現役奨励会員で、ただでさえ私は奨励会員の信奉者なので、それが最高位の三段となれば、これは里見防衛のスタンスを採るしかなかった。
しかし里見女流二冠は現在体調を崩している。現在も全快したとは思えず、事実前期のマイナビ女子オープン五番勝負では、加藤桃子奨励会1級に屈した。
ここは真梨花女流二段、チャンスである。といっても、その挑戦者になるまでが難儀ではあるのだが、まずは眼前の一局を制さなければならない。
18日(金)は、その真梨花女流二段と矢内理絵子女流五段が対戦した。理絵子女流五段も女流王座奪取に向け、闘志を燃やしていたのは想像に難くない。

将棋は真梨花女流二段の四間飛車に、理絵子女流五段の居飛車穴熊となった。
真梨花女流二段は藤井システムから▲4五歩と仕掛ける。元気いっぱい、まさに真梨花流で、将棋はこうでなければおもしろくない。
ただ数手進み、△1三歩に▲1四成香と後退せざるを得ないようでは、真梨花女流二段もやや不満だったろう。どこかに誤算があったようだ。
49手目、▲8三香が玄妙な手。△4二飛に▲8一香成は、一見先手が桂得を果たしたようだが、香を手放しているので、それほど得をしていない。これは当ブログで何回も記した、私たちが陥りやすい錯覚である。
しかし真梨花女流二段は、飛車を4筋に追いやり、△8六歩からの飛車先突破を封じたことに満足したのかもしれない。
数手進んで74手目△6六香が痛打。おのが体調と対局相手によっては、私ならここで投了してもおかしくない。
ところが理絵子女流五段はなかなか飛車を取らない。香を渡すと反動がキツイからだろうが、私ならとりあえず飛車を取ってから考える。ここがプロとアマの違いだろうか。
理絵子女流五段、ジリッと△7七馬。あくまでも飛車を取らないのである。ただ、ここで一転、真梨花女流二段が▲6七桂と受け、理絵子女流五段、予定が狂ったのではなかろうか。こんなことなら、もっと早くに飛車を取っとくんだった…と理絵子女流五段が悔やんだかどうかは分からぬが、理絵子女流五段、とりあえず△6七香成から△6六桂打と攻める。香は桂を取るために打ったのではないだろうし、△6六桂打も、本当は軽やかに跳ねたいのだ。これは真梨花女流二段、おもしろくなったか。
理絵子女流五段、△4八金から△6八馬と飛車を取ったが、ずいぶん先手陣がスッキリしてしまった。
102手目△6八同竜に▲3七玉が憎い。私なら▲5八金と打って先手を取ってしまうところだが、黙って玉を逃げるのがいいのである。取られる寸前の▲6六銀が利いていて、△5七竜とできない。これで真梨花女流二段が優勢になったようだ。
113手目、真梨花女流二段▲7五馬。半分蟄居していた馬まで働きだすとは、まさに勝ち将棋鬼のごとしだ。
最終盤、▲7二金が決め手。ここで投了というところだが、矢内女流五段はなおも指し続ける。女流棋士の往生際が悪いのは、当ブログで何度も記している。やうたん、あなたもか、という感じである。
最後は3手詰の局面まで指して終了。真梨花女流二段、これはうれしい勝利だったろう。理絵子女流五段は、こんなはずでは…と戸惑いながら指していたのではないか。
真梨花女流二段は、ベスト4進出を賭けて、渡辺弥生女流初段と対戦する。次の将棋も期待している。
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将棋ペン倶楽部 通信43号

2014-07-18 00:11:04 | 将棋ペンクラブ
庭の桃、今年は昨年ほどの実はなっていないが、17日朝オフクロが、赤くなった実が数個なくなっているのに気が付いた。どうも、また盗まれたようだ。
昨年は桃泥棒が桃を盗んでいる最中に私が見つけ、どやしつけたものの、私もパンツ一丁だったので、そのまま逃がしてしまった。まったくいまいましいが、今年の犯人も恐らくコイツだ。
こっちはいろいろあってストレスもたまりまくりだというのに、こういうときに限って、事件が起きる。
世の中には生きている必要のない、人間のクズがいる。コイツはまさにそうだ。この野郎がどこかで事故に遭って、○んでくれることを念じる。

先月中旬、「将棋ペン倶楽部 通信43号」が送られてきた。きょうはその紹介をしよう。

・関東交流会私的レポート 和田伸一郎
題名は「交流会レポート」だが、筆者の将棋会館での思い出話が散りばめられ、一風変わったレポートとなっている。メインの交流会でも、筆者と棋士との交流が独自の視点で語られ、こちらもおもしろい。(P2~P4)

・関西交流会レポート 伊藤いろは
関西交流会は関東のそれに比べ参加者は少ないが、リレー将棋などを交え、楽しくやっているようだ。また関西は「忘年将棋会」があるのが特徴。今年は12月6日(土)、大阪市北区民センター第4会議室で開催予定とのこと。(P5)

・棋神伝2(第3回)木村義雄・升田幸三編 茂山俊一
終戦から昭和23~4年までの、木村名人と升田八段の活躍を描く。相変わらず綿密な取材がなされているが、「将棋世界」の復刊が昭和21年と23年、ふたつ記載があったのが小キズだ。(P6~P12)

・小説 雪消し雪 曽我部敦史
K温泉へと向かう列車が、その手前で止まってしまい、乗客の菜穂子は列車内で待たされる。車内を一回りして戻ってくると、隣のボックス席で、小さな男の子と年配の婦人が、「どうぶつしょうぎ」を始めた…。
筆者はプロ作家で、幻想的な風景の描写に定評がある(たぶん)。今回も掌の小説で、手堅く読ませる。(P13~P16)

・「励まし名人」越智信義さん 三宅英治
将棋評論家の越智信義さんが本年1月に急逝された。これはその追悼文。「将棋普及」の本当の意味、大山名人の知られざるエピソードなど、簡潔にまとめられている。(P17~P18)

・将棋三昧の一週間ー面白き哉、将棋人生ー 水野保
2014年1月22日から27日までの、筆者の将棋日誌。筆者は実年だが、23日を除く5日間で6つの将棋会に出ている。筆者に比べれば、私の将棋熱などかわいいものだと実感する。日誌では24日の、棋友との百番勝負第1局がおもしろい。「一日一局」はいいとして、40分切れ負けのルールはどうかと思うが、百番が終わったら、またレポートを書いてほしい。(P19~P24)

・第26回将棋ペンクラブ大賞推薦作一覧

※9月発行の「将棋ペン倶楽部秋号」の原稿締切は7月13日だった。5月の関東交流会で鷲北幹事から原稿リクエストを受けたこともあり、何か書こうと思ったのだが、もう締切が過ぎていた。
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久しぶりの東十条囲碁将棋教室(後編)

2014-07-17 00:11:42 | 東十条囲碁将棋サロン
隣の植山―Fuj戦は、相矢倉だった(平手)。植山悦行七段の作戦は急戦で、半ばシステム化している。たぶん、普通に追随しては後手不満の見解なのだろう。将棋は難しい戦いだったが、Fuj氏が制したようだ。さすがの実力である。
感想戦を見るが、先手の2四歩を植山七段が無視して攻め合いになる展開だった。その終盤、こう指したらどうやって上手玉を寄せる? という変化になり、みながうんうん苦しんでいる中、S君が見事な3手必至を見つけた。
S君は中盤の難解な局面でも味のいい手を指摘し、これはS君、確実に実力をつけていると感じた。これからS君を倒すのは、容易なことではなさそうである。
時刻は午後9時を過ぎ、教室はここまで。なおサロン自体は、11時まで営業している。

夕食は向かいの中華料理店にて。参加はいつもの4人である。私は2度目だが、みなの間では、この店がレギュラー化しているようだった。
「今週の定食」はABCと3種類あり、Aの野菜炒め定食が580円でリーズナブルだ。しかしレギュラーメニューのタンメン定食も、半チャーハンと小鉢がついて680円とお得だ。私はさんざん迷って、後者を頼んだ。
しかしこのタンメン、全然味がしない。出汁はしっかりとってあるようだが、これじゃただのお湯だぞオイ。私の舌がおかしくなったと思ったのだが、チャーハンの味はしっかりしている。店主、きょうこの出汁で、一日タンメンを出したのか? よく分からなかった。
食後、植山七段の土産話を拝聴する。いいホテルに泊まり、いい食事にありつけたようだ。私はほとんど興味がないので、無表情で相槌を打った。
そのほかにもいろいろな話が飛び交うが、私は植山七段との一局を脳裏で振り返っていた。

上手・植山七段(角落ち):1一香、1四歩、2一飛、3四歩、3五桂、3六桂、4二玉、4三銀、4五桂、4六歩、5三金、5四歩、7九馬、8八成桂、9五香、9六歩 持駒:歩2
下手・一公:1六歩、1九香、2七歩、2九玉、3八金、5六歩、5八銀、6七飛、7一金、7二歩、7四と、8五金、9九香 持駒:銀2、歩6
(△5三同金まで)

ここで私は▲6二飛成としたいのを堪えて▲6三ととやったのだが、以下△4七歩成▲5三と△同玉▲6二銀△4四玉▲4七飛(これが錯覚)△同桂成まで、植山七段の勝ちとなった。
最後は論外だが、▲6三との手で予定どおり▲6二飛成とやったらどうだったか。
私は我慢できず、植山七段に問うた。
「どんな将棋だったっけ?」
「私が▲7二歩から▲7一金と入った将棋です」
「ああ」
「あれ、私が▲6三と入らず▲6二飛成とやったらどうだったでしょう」
「△5二金だね」
「ですよね。そこで▲5三銀△3三玉▲5二銀不成△同銀▲同竜…」
「そこで△2八銀は」
「▲1八玉で」
「……ああ詰まないか」
「ああー、必敗の将棋をあそこまで粘ったのに…」
私は激しく悔やむ。
「だから金逃げるんだったね(▲6三とのときに△4四金)」
「でも私が言ってるのは▲6三とで▲6二飛成ですから」
「……」
…というやりとりを横目に、W氏が、将棋教室の課題や棋書の出版について、思うところを口にした。そして
「オレ、こういう席では将棋の仕事の話をしたいんだよね」
と茶目っ気を含めて言った。
W氏の腹案はなるほどと唸るものばかりで、W氏には失礼ながら、彼がここまで真面目に考えているとは思わなかった。まあ生徒が増えればマージンが入ったりするのかもしれないが、ふつうそこまでは熱くなれないものである。私はちょっと感心した。
私たちは建設的な話をし、店を出たのは11時近くになっていた。
植山七段はきょうアメリカから帰国したそうで、確かにきょうは、半分眠っていた。それでも将棋はしっかりしていて、さすがにプロ棋士は違うと思った。

自宅に戻って、植山七段との将棋をいま一度反芻すると、最終の変化△2八銀▲1八玉には、△2七桂成▲同金△同飛成▲同玉△3七桂成!で簡単に詰んでいた。脳内の検討では、△4五桂が視野から消えていた。
ということはどっちにしても、私に勝ちはなかったということだ。やはり中盤の▲8二金~▲7二歩~▲7一金が悪かった。こんな手を指しているようじゃ、私もまだまだである。
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