3日(日)も「大野教室」の4時からの回に出かけた。連日の教室はかなり久しぶりだ。
家を出るのが少し遅れたので、入室したのは4時10分過ぎだった。今日は日曜日なので、客もパラパラッという感じ。私はさっそく対局に入り、1局目は少年と指す。
彼とは以前私の飛香落ちで指し、私が辛勝した。本局、少年は四間飛車に振った。飛車落ちの定跡は難しいが、私としては右四間飛車の定跡通り来られるほうがイヤである。
2つ横ではS君が指している。彼は研修会員だが、このたびめでたく奨励会に編入した。
「奨励会入会おめでとう!」
彼はペコリと頭を下げる。まだスタート地点に着いたばかりだが、世のアマの大半は、そのスタート地点にすら着けないのだ。S君の今後の活躍を祈る。
しばらく駒組が進んだが、少年は居飛車に戻す。と思えばまた飛車を振る。よくいえば変幻自在、わるくいえば方針が一貫していない。
また、飛車がこれだけうろちょろできるということは居玉なわけで、これもよくない。
居玉で指す下手の特徴は、ある程度棋力があり、上手なぞ一ひねり、という気概の人が多い。
私も居玉で指すことはあるので大きなことは言えないが、1手でも横に寄っておけば、もっと強い戦いができると思う。
本譜は上手△2二角・3三金・3四金、下手▲2四歩の形で、▲2三銀と打ったのがどうだったか。△同金▲同歩成△4四角は、上手の駒が捌けてしまった。
主戦場は5~7筋だったので、こちらの駒に触ってもらってありがたかった。
以下は私が少年の居玉を咎めて制勝した。
2局目はS君と指す。彼とは久しぶりだが、ずいぶん大人になった。しかも私が駒を触るまで待っている。私が「玉」を取ったら、「それは…」と取り返そうとした。
私は、奨励会員はプロ、の見解なので、S君にはそのまま「王」を持ってもらった。
ただ、S君は忘れているかもしれないが、現在私が2連勝中である。奨励会員のプライドに賭けて、彼はもう負けられないだろう。
私の先手で対局開始。私はマイブームの中飛車に振る。S君は銀冠に組んだ。

第1図以下の指し手。▲7四飛△7三角▲5四飛△3五歩▲5六飛△4二金右▲7五歩△8四角(第2図)
第1図までは振り飛車が軽快に指していると思う。何となくだが、上手が固め過ぎた感がある。
さて第1図では▲7一角がある。△7二飛なら▲4四角成△同歩にA▲4一銀B▲6一銀C▲8四飛。どれも振り飛車が綺麗に捌け、下手優勢であろう。
だが▲8四飛に気付かなかった私は、B▲6一銀△5三歩▲7二銀不成△5四歩で下手不満、とおかしな読みをし、▲7四飛と回ってしまう。だが第1図を前にしたら、とりあえずは▲7一角と打ちそうなものではないか。せっかくいい局面を作りながらキメ手を指せないとは、私は強いのか弱いのか、まったく分からぬ。
本譜も△7三角と打たせてポイントを挙げたと思ったが、△3五歩もなかなかの手で、ヨリが戻ってしまった。でも私も▲7五歩と突き飛車の可動域を拡げ、まだおもしろい形勢だと思った。

第2図以下の指し手。▲7七桂△7五角▲5一飛成△5二飛▲同竜△同金▲7二飛(第3図)
△8四角には▲7六飛で下手十分だろう。以下△7二飛なら▲6六銀でよい。下手だけ角を持っているのも大きい。
だが、▲7七桂でも△7五角はできないと思った。というのも、後の譜に見られる通り、一本道の変化で▲7二飛の両取りが打てるからだ。

第3図以下の指し手。△4八角成▲同金△5一歩▲5八銀△5九飛▲4九金△9九飛成▲7九歩(第4図)
S君はサッと角を切り、△5一歩。やはり。ここは△5九飛もあるかと思ったが、ともかくこの底歩が固く、下手は容易でない。やはり△7五角は見落としではなかったのだ。
とはいえ私の▲5八銀もいい辛抱で、△5九飛~△9九飛成には▲7九歩と受けて、下手もまだ戦えると思った。

第4図以下の指し手。△8六歩▲7六飛成△8七歩成▲同竜△5三香▲5七歩△5五銀▲8二角△6六銀▲3九角△7六歩▲同竜△7五銀打▲同竜△同銀(第5図)
△8六歩に▲7六飛成。何だか前日のU戦と似た雰囲気になってきた。
S君の△5三香~△5五銀は大した攻めじゃないと思ったが、△6六銀に▲3九角と打たざるを得ず、△7六歩~△7五銀打に竜を切るハメになり、結果的に形勢を損ねたのには呆れた。
戻って先の▲5一飛成では、▲7六飛と歩を守っておくのだった。

右ではFuj-Homma戦が終わり、感想戦が始まった。「あれ?」と声を挙げるOg氏。私とFuj氏を見間違えたらしい。
「2人は似てますねえ」
とOg氏。「もっともお互いそう言われるのはイヤでしょうけど」
ここからはS君の指し手が冴え、私は敗勢となる。S君が飛車取りを尻目に敵玉を目指したのもいい判断で、完全に斬られたと思った。
だが秒読みの中、S君も焦る。簡単な勝ちが何回もあったのに悉く逃し、しまいには金打ちがタダという大悪手を指し、私は互角近くに戻したと思った。
数十手進んで第6図。

第6図以下の指し手。▲2二桂成△3四玉▲3九金打△4八成銀▲同金上△2六桂▲2三銀△2五玉▲4四竜(第7図)
▲2二桂成△3四玉に、銀を寄越せと▲3九金打。S君は△4八成銀とこちらを取ったが、私の▲同金上がミス。スカスカなようでも、▲同金寄と取るべきだった。
ここで△2六桂が好手で、これが金取りになるのが大きい。△2六桂に気付いてはいたが、こんなに厳しいとは思わなかった。
本譜▲2三銀△2五玉に▲2六歩と王手で桂は取れるが、△同銀で勝てないと思った。
ともあれ▲4四竜で上手玉は受けなし。あとは下手玉が詰むかどうかだが…。

第7図以下の指し手。△3八桂成▲同金△3九銀▲同金△同竜▲同玉(第8図)
この6手は必然。

(つづく)
家を出るのが少し遅れたので、入室したのは4時10分過ぎだった。今日は日曜日なので、客もパラパラッという感じ。私はさっそく対局に入り、1局目は少年と指す。
彼とは以前私の飛香落ちで指し、私が辛勝した。本局、少年は四間飛車に振った。飛車落ちの定跡は難しいが、私としては右四間飛車の定跡通り来られるほうがイヤである。
2つ横ではS君が指している。彼は研修会員だが、このたびめでたく奨励会に編入した。
「奨励会入会おめでとう!」
彼はペコリと頭を下げる。まだスタート地点に着いたばかりだが、世のアマの大半は、そのスタート地点にすら着けないのだ。S君の今後の活躍を祈る。
しばらく駒組が進んだが、少年は居飛車に戻す。と思えばまた飛車を振る。よくいえば変幻自在、わるくいえば方針が一貫していない。
また、飛車がこれだけうろちょろできるということは居玉なわけで、これもよくない。
居玉で指す下手の特徴は、ある程度棋力があり、上手なぞ一ひねり、という気概の人が多い。
私も居玉で指すことはあるので大きなことは言えないが、1手でも横に寄っておけば、もっと強い戦いができると思う。
本譜は上手△2二角・3三金・3四金、下手▲2四歩の形で、▲2三銀と打ったのがどうだったか。△同金▲同歩成△4四角は、上手の駒が捌けてしまった。
主戦場は5~7筋だったので、こちらの駒に触ってもらってありがたかった。
以下は私が少年の居玉を咎めて制勝した。
2局目はS君と指す。彼とは久しぶりだが、ずいぶん大人になった。しかも私が駒を触るまで待っている。私が「玉」を取ったら、「それは…」と取り返そうとした。
私は、奨励会員はプロ、の見解なので、S君にはそのまま「王」を持ってもらった。
ただ、S君は忘れているかもしれないが、現在私が2連勝中である。奨励会員のプライドに賭けて、彼はもう負けられないだろう。
私の先手で対局開始。私はマイブームの中飛車に振る。S君は銀冠に組んだ。

第1図以下の指し手。▲7四飛△7三角▲5四飛△3五歩▲5六飛△4二金右▲7五歩△8四角(第2図)
第1図までは振り飛車が軽快に指していると思う。何となくだが、上手が固め過ぎた感がある。
さて第1図では▲7一角がある。△7二飛なら▲4四角成△同歩にA▲4一銀B▲6一銀C▲8四飛。どれも振り飛車が綺麗に捌け、下手優勢であろう。
だが▲8四飛に気付かなかった私は、B▲6一銀△5三歩▲7二銀不成△5四歩で下手不満、とおかしな読みをし、▲7四飛と回ってしまう。だが第1図を前にしたら、とりあえずは▲7一角と打ちそうなものではないか。せっかくいい局面を作りながらキメ手を指せないとは、私は強いのか弱いのか、まったく分からぬ。
本譜も△7三角と打たせてポイントを挙げたと思ったが、△3五歩もなかなかの手で、ヨリが戻ってしまった。でも私も▲7五歩と突き飛車の可動域を拡げ、まだおもしろい形勢だと思った。

第2図以下の指し手。▲7七桂△7五角▲5一飛成△5二飛▲同竜△同金▲7二飛(第3図)
△8四角には▲7六飛で下手十分だろう。以下△7二飛なら▲6六銀でよい。下手だけ角を持っているのも大きい。
だが、▲7七桂でも△7五角はできないと思った。というのも、後の譜に見られる通り、一本道の変化で▲7二飛の両取りが打てるからだ。

第3図以下の指し手。△4八角成▲同金△5一歩▲5八銀△5九飛▲4九金△9九飛成▲7九歩(第4図)
S君はサッと角を切り、△5一歩。やはり。ここは△5九飛もあるかと思ったが、ともかくこの底歩が固く、下手は容易でない。やはり△7五角は見落としではなかったのだ。
とはいえ私の▲5八銀もいい辛抱で、△5九飛~△9九飛成には▲7九歩と受けて、下手もまだ戦えると思った。

第4図以下の指し手。△8六歩▲7六飛成△8七歩成▲同竜△5三香▲5七歩△5五銀▲8二角△6六銀▲3九角△7六歩▲同竜△7五銀打▲同竜△同銀(第5図)
△8六歩に▲7六飛成。何だか前日のU戦と似た雰囲気になってきた。
S君の△5三香~△5五銀は大した攻めじゃないと思ったが、△6六銀に▲3九角と打たざるを得ず、△7六歩~△7五銀打に竜を切るハメになり、結果的に形勢を損ねたのには呆れた。
戻って先の▲5一飛成では、▲7六飛と歩を守っておくのだった。

右ではFuj-Homma戦が終わり、感想戦が始まった。「あれ?」と声を挙げるOg氏。私とFuj氏を見間違えたらしい。
「2人は似てますねえ」
とOg氏。「もっともお互いそう言われるのはイヤでしょうけど」
ここからはS君の指し手が冴え、私は敗勢となる。S君が飛車取りを尻目に敵玉を目指したのもいい判断で、完全に斬られたと思った。
だが秒読みの中、S君も焦る。簡単な勝ちが何回もあったのに悉く逃し、しまいには金打ちがタダという大悪手を指し、私は互角近くに戻したと思った。
数十手進んで第6図。

第6図以下の指し手。▲2二桂成△3四玉▲3九金打△4八成銀▲同金上△2六桂▲2三銀△2五玉▲4四竜(第7図)
▲2二桂成△3四玉に、銀を寄越せと▲3九金打。S君は△4八成銀とこちらを取ったが、私の▲同金上がミス。スカスカなようでも、▲同金寄と取るべきだった。
ここで△2六桂が好手で、これが金取りになるのが大きい。△2六桂に気付いてはいたが、こんなに厳しいとは思わなかった。
本譜▲2三銀△2五玉に▲2六歩と王手で桂は取れるが、△同銀で勝てないと思った。
ともあれ▲4四竜で上手玉は受けなし。あとは下手玉が詰むかどうかだが…。

第7図以下の指し手。△3八桂成▲同金△3九銀▲同金△同竜▲同玉(第8図)
この6手は必然。

(つづく)