一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

12月3日の4時から男(前編)

2017-12-21 00:51:45 | 新・大野教室
3日(日)も「大野教室」の4時からの回に出かけた。連日の教室はかなり久しぶりだ。
家を出るのが少し遅れたので、入室したのは4時10分過ぎだった。今日は日曜日なので、客もパラパラッという感じ。私はさっそく対局に入り、1局目は少年と指す。
彼とは以前私の飛香落ちで指し、私が辛勝した。本局、少年は四間飛車に振った。飛車落ちの定跡は難しいが、私としては右四間飛車の定跡通り来られるほうがイヤである。
2つ横ではS君が指している。彼は研修会員だが、このたびめでたく奨励会に編入した。
「奨励会入会おめでとう!」
彼はペコリと頭を下げる。まだスタート地点に着いたばかりだが、世のアマの大半は、そのスタート地点にすら着けないのだ。S君の今後の活躍を祈る。
しばらく駒組が進んだが、少年は居飛車に戻す。と思えばまた飛車を振る。よくいえば変幻自在、わるくいえば方針が一貫していない。
また、飛車がこれだけうろちょろできるということは居玉なわけで、これもよくない。
居玉で指す下手の特徴は、ある程度棋力があり、上手なぞ一ひねり、という気概の人が多い。
私も居玉で指すことはあるので大きなことは言えないが、1手でも横に寄っておけば、もっと強い戦いができると思う。
本譜は上手△2二角・3三金・3四金、下手▲2四歩の形で、▲2三銀と打ったのがどうだったか。△同金▲同歩成△4四角は、上手の駒が捌けてしまった。
主戦場は5~7筋だったので、こちらの駒に触ってもらってありがたかった。
以下は私が少年の居玉を咎めて制勝した。
2局目はS君と指す。彼とは久しぶりだが、ずいぶん大人になった。しかも私が駒を触るまで待っている。私が「玉」を取ったら、「それは…」と取り返そうとした。
私は、奨励会員はプロ、の見解なので、S君にはそのまま「王」を持ってもらった。
ただ、S君は忘れているかもしれないが、現在私が2連勝中である。奨励会員のプライドに賭けて、彼はもう負けられないだろう。
私の先手で対局開始。私はマイブームの中飛車に振る。S君は銀冠に組んだ。

第1図以下の指し手。▲7四飛△7三角▲5四飛△3五歩▲5六飛△4二金右▲7五歩△8四角(第2図)

第1図までは振り飛車が軽快に指していると思う。何となくだが、上手が固め過ぎた感がある。
さて第1図では▲7一角がある。△7二飛なら▲4四角成△同歩にA▲4一銀B▲6一銀C▲8四飛。どれも振り飛車が綺麗に捌け、下手優勢であろう。
だが▲8四飛に気付かなかった私は、B▲6一銀△5三歩▲7二銀不成△5四歩で下手不満、とおかしな読みをし、▲7四飛と回ってしまう。だが第1図を前にしたら、とりあえずは▲7一角と打ちそうなものではないか。せっかくいい局面を作りながらキメ手を指せないとは、私は強いのか弱いのか、まったく分からぬ。
本譜も△7三角と打たせてポイントを挙げたと思ったが、△3五歩もなかなかの手で、ヨリが戻ってしまった。でも私も▲7五歩と突き飛車の可動域を拡げ、まだおもしろい形勢だと思った。

第2図以下の指し手。▲7七桂△7五角▲5一飛成△5二飛▲同竜△同金▲7二飛(第3図)

△8四角には▲7六飛で下手十分だろう。以下△7二飛なら▲6六銀でよい。下手だけ角を持っているのも大きい。
だが、▲7七桂でも△7五角はできないと思った。というのも、後の譜に見られる通り、一本道の変化で▲7二飛の両取りが打てるからだ。

第3図以下の指し手。△4八角成▲同金△5一歩▲5八銀△5九飛▲4九金△9九飛成▲7九歩(第4図)

S君はサッと角を切り、△5一歩。やはり。ここは△5九飛もあるかと思ったが、ともかくこの底歩が固く、下手は容易でない。やはり△7五角は見落としではなかったのだ。
とはいえ私の▲5八銀もいい辛抱で、△5九飛~△9九飛成には▲7九歩と受けて、下手もまだ戦えると思った。

第4図以下の指し手。△8六歩▲7六飛成△8七歩成▲同竜△5三香▲5七歩△5五銀▲8二角△6六銀▲3九角△7六歩▲同竜△7五銀打▲同竜△同銀(第5図)

△8六歩に▲7六飛成。何だか前日のU戦と似た雰囲気になってきた。
S君の△5三香~△5五銀は大した攻めじゃないと思ったが、△6六銀に▲3九角と打たざるを得ず、△7六歩~△7五銀打に竜を切るハメになり、結果的に形勢を損ねたのには呆れた。
戻って先の▲5一飛成では、▲7六飛と歩を守っておくのだった。

右ではFuj-Homma戦が終わり、感想戦が始まった。「あれ?」と声を挙げるOg氏。私とFuj氏を見間違えたらしい。
「2人は似てますねえ」
とOg氏。「もっともお互いそう言われるのはイヤでしょうけど」
ここからはS君の指し手が冴え、私は敗勢となる。S君が飛車取りを尻目に敵玉を目指したのもいい判断で、完全に斬られたと思った。
だが秒読みの中、S君も焦る。簡単な勝ちが何回もあったのに悉く逃し、しまいには金打ちがタダという大悪手を指し、私は互角近くに戻したと思った。
数十手進んで第6図。

第6図以下の指し手。▲2二桂成△3四玉▲3九金打△4八成銀▲同金上△2六桂▲2三銀△2五玉▲4四竜(第7図)

▲2二桂成△3四玉に、銀を寄越せと▲3九金打。S君は△4八成銀とこちらを取ったが、私の▲同金上がミス。スカスカなようでも、▲同金寄と取るべきだった。
ここで△2六桂が好手で、これが金取りになるのが大きい。△2六桂に気付いてはいたが、こんなに厳しいとは思わなかった。
本譜▲2三銀△2五玉に▲2六歩と王手で桂は取れるが、△同銀で勝てないと思った。
ともあれ▲4四竜で上手玉は受けなし。あとは下手玉が詰むかどうかだが…。

第7図以下の指し手。△3八桂成▲同金△3九銀▲同金△同竜▲同玉(第8図)

この6手は必然。

(つづく)
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将棋ペン倶楽部 通信50号

2017-12-20 00:06:17 | 将棋ペンクラブ
「将棋ペン倶楽部」通信50号(2017年冬号)が発行された。今日はその紹介をする。

●表紙 第29回将棋ペンクラブ大賞受賞者の面々(写真)

●第29回将棋ペンクラブ大賞贈呈式、ひげめがね的報告 北澤淳一…3~6
北澤氏は長野県在住の将棋ブロガーで、将棋愛にあふれている。今回は満を持しての贈呈式レポート登場となった。人柄と同様、期待に違わぬ軽快な文章で、面白マジメな中にも棋士への提言がサラッと盛り込まれたりして、最後まで一気に読ませた。

●将棋ペンクラブ大賞贈呈式レポート 番外篇! バトルロイヤル風間…7~10
ブログマガジン「オレたち将棋ん族ZOKU」」から6本を転載。

●リレーエッセイ 第4回「ふたりの羽生先生」内田晶…12~14
筆者にはふたりの羽生先生がいるという。ひとりはもちろん羽生善治竜王。そしてもうひとりは――。
将棋の縁、というものをつくづくと感じさせられる。

●将棋狂の詩6 我が青春の日暮里研 美馬和夫…15~22
筆者が若い頃通っていた「日暮里将棋センター」で1981年、アマプロ混合の「日暮里研究会」が発足した。そのメンバーとは…。
偶然だが私も10代のころ、同センターには頻繁に通っていた。その雰囲気が思い出されて、とても懐かしかった。

●将棋とあたま 水野保…23~25
世間では「将棋のできるひとは頭がいい」といわれる。では「頭がいい」とはどういうことか、筆者が検証する。

●将棋の発想起源4 盤の神話 湯川博士…26~29
今回は盤の由来を探る。話は宇宙規模になり、壮大だ。

●将棋の祖・チェス類の東遷 田口計介…30
チェスの起源はどこか。それを考察したのち、どういうルートで日本の将棋に行きついたのかを考察する。湯川氏の小論と合わせて読むと、将棋の歴史通になれる。

●卒寿萬歳 松井保氏、卒寿の祝いレポート 林慎…32~35
8月のある日、石川県和倉温泉「加賀屋」で、愛棋家・松井保氏の卒寿の祝いが催された。
なぜ和倉温泉だったのか――。その理由に読者は驚くことだろう。

●佐渡ケ島から初投稿! 米村克己…36~37
第1回選抜女流棋士16名トーナメント戦の模様を中心にレポートする。

●将棋ブームの影響 榊原智…38~39
世はまさに将棋ブーム。筆者が実感したエピソードを記す。

●年賀名刺広告…40

●将棋ペンクラブ会員名簿…41~51

●編集日誌 湯川博士…52
1ページながら小気味いい文章だ。


通信号で全52ページは厚い。最近投稿が増えているようで、よろこばしい。

将棋ペンクラブでは会員を募集しています。
会費は正会員が1年間3,500円です。会報が年4回(雑誌2回、会報2回)届きます。

郵便振替 00270-9-45693 将棋ペンクラブ
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12月2日の4時から男(後編)

2017-12-19 00:56:02 | 新・大野教室

第3図以下の指し手。△5七歩▲7三歩成△同銀左▲7四歩△6二銀▲2八角(第4図)

第3図では△4六歩を考えた。さっきは△3六歩からと金を作り、銀得に成功した。今度はこの筋からボチボチ…というわけだ。
だがまずは▲6六金のナナメ下からと金のタネを…と△5七に垂らしたのだが、これがココセの大悪手。
U君にすかさず▲7三歩成とされ、見落としに気付いた。△同銀左▲7四歩△6二銀に▲2八角! この王手が厳しい。どこにも歩の合駒が利かないのだ!

このラインの王手は注意していたのに、エアポケットになっていた。もし△5七歩がなければ△5五歩で何でもないのに、これは事件である。
以下、私は最小限の被害で収めたが、傾いた流れはもう止まらない。

局面は完全に逆転したが、部分5図で私が△2九飛と打ったのが最後の悪手。▲6九歩で先手陣が盤石になってしまった。ここは△2八飛と金取りに打ち、▲5九金△5八歩▲6九金△2九飛成とし、次に△5九歩成を見ればまだ綾があった。
実戦も結局負け。この将棋も負けたか…。これではU君に勝つ将棋がない。

続いてOg氏に教えていただく。Og氏は元奨励会初段で、現在はいい中年だが、棋力は衰えていない。だが、私とはなぜか平手での対局となるのである。
私は居飛車を明示したが、Og氏の態度がはっきりしない。基本は振り飛車党だがそこは元奨で、何でも指す。本局は△5三銀△6三銀の形から△7三玉形に組んだ。

第1図以下の指し手。△3二飛▲3八飛△5一角▲6五歩(途中図)

△6五同歩▲5五歩△8三玉▲5四歩△同銀右▲5八飛△7三角▲5五銀△同銀▲同角△同角▲同飛△5四歩(第2図)

Og氏は△3二飛と回った。私は▲3八飛と対抗し、△5一角に▲6五歩(途中図)が思い切った一手。上手玉が不安定なうち、戦いを起こした。
△6五同歩に▲5五歩が継続の手で、中央から動く。角銀の総交換になり私はまずまずだが、△5四歩にはどうするか。

第2図以下の指し手。▲6五飛△6四歩▲6三角△6五歩▲4一角成△8二飛▲6三銀△9二玉▲7四銀成△7二銀▲6四歩(第3図)

ここで▲5八飛では局面が落ち着き、持久戦になって負けると思った。
▲6五飛が決断の一手。△6四歩に▲6三角と打ち、この角に賭けた。対して△5二銀▲8一角成△6五歩の順がイヤだったが、Og氏はたんに△6五歩。私は▲4一角成とし、これは勝負になったと思った。
▲6三銀には△7三銀を予想し、そこで攻め方が難しいと考えていた。本譜は△9二玉だったので▲7四銀成が厚い。
△7二銀に▲6四歩が一歩千金の垂らしで、これでおもしろくなったと思った。

第3図以下の指し手。△6六歩▲同金△4八角▲6七金引△3九飛▲5九歩△2九飛成▲6三歩成(第4図)

△6六歩からOg氏の反撃である。私もここを受け切れば勝利が見えてくる。△3九飛には▲5九歩。この歩が私の命綱だ。

第4図以下の指し手。△5五桂▲7二と△同金▲6三銀△7一金▲5二馬△6七桂成▲同金(投了図)
まで、一公の勝ち。

△5五桂も継続の反撃だが、これに金を逃げるとおかしくなる。私は▲7二とを決め、▲6三銀と打った。△同金は▲同馬で、▲5三馬や▲8三銀を見て下手勝ち。
Og氏は△6七桂成としたが、▲同金に潔く投了してしまった。

私はまだ粘られると覚悟していたので、呆気に取られる。だがOg氏は早々に諦めていたようだ。
「(第1図の)△3二飛では△4二飛でした」
とOg氏は開口一番悔やんだ。以下▲3五歩△4五歩▲3四歩△4六歩▲3三歩成△同桂▲4六歩△同飛となるが、そこで▲4八歩(参考図)と我慢されると後続がなく、指し切れなかったという。

本譜の感想戦はほとんどなし。
「大沢さん強いですねえ」
とマジ口調で褒められた。「ブログの将棋は弱いけどねえ」
Og氏とは指導対局の趣があるので、勝ってもうれしさ半分である。
私は11月28日のFuj氏との終局図を並べ、また愚痴った。
今日はこれでお開き。食事は大野八一雄七段、W氏、Og氏、佐藤氏、Shin氏、Kom君、私の7人で、駅前の「かつや」に行った。私はベーシックのかつ丼を頼む。やや肉は小さいが、これで529円は安い。
食後は向かいの喫茶店に入る。しかし10時閉店で、みんな何となくしゃべり足りない感じだ。それで大野教室に再び戻ることになった。といっても佐藤氏とShin氏はここで帰宅。それが賢明な判断というものである。
教室に戻ると、Kom君がパチパチやり始めた。将棋を指し足りないふうで、私が相手をすることになった。
Kom君早めの▲4六歩に、私は四間飛車に構える。Kon君も右四間飛車にし、相腰掛銀となった。

第1図から▲2五桂△2二角▲4五歩△2四歩▲4四歩△2五歩▲4五銀△同銀▲同飛△5四銀▲2五飛△4四角▲2一飛成△8八角成▲同銀△4九飛成と進んだが、そこで▲9五歩(第2図)が好手。これで後手、受けがないのに驚いた。

以下私も粘ったが、Kom君の指し手は緩急自在で、再び差を拡げられ、最後は大差での投了となった。

感想戦にはOg氏が加わってくれたが、第1図から▲2五桂△2二角▲4五歩の後、△3五歩(参考図)を教えられた。

以下▲3八飛なら△3二飛。さらに▲3五歩△2四歩▲3四歩は△2五歩と桂得し、振り飛車十分である。
しかし私はKom君に平手で負かされ、ぐぅの音も出ない。
「でもいいじゃないですか大沢さん、△3五歩の手筋をひとつ教わったんだから。昔の奨励会の研究は、ひとつ手筋を覚えたら、いい勉強になったと満足したものですよ」
と大野八一雄七段。
それはそうかもしれないが、最後の敗戦で、Ii君とOg氏に勝ったよろこびが半減してしまった。
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12月2日の4時から男(中編)

2017-12-18 01:15:02 | 新・大野教室

第3図以下の指し手。▲5七歩△5二玉▲6四桂△6三玉▲5二銀△5四銀▲6一銀不成△4五銀▲5二銀不成△5三金▲4一飛△4三歩(第4図)

私の▲5七歩が弱かった。ここに歩を打ってしまっては攻撃力がなくなり、攻め手がない。ここは何があっても▲5三歩だった。
ところがIi君も間違える。△5二玉がココセ級の悪手で、▲6四桂が打てては急に展望が開けた。
△6三玉には▲5二銀から飛車を取り、これは互角に戻したと思った。
△4五銀には▲5二銀不成と活用し、第4図の△4三歩には気持ちのいい手がある。

第4図以下の指し手。▲3三金△3四銀打▲同金△同銀▲6二銀△4五桂▲5三銀成△同玉▲5一飛成△3七桂成▲同玉△7七角成(第5図)

私は▲3三金と寄る。半分遊んでいた駒が活用できたのが大きい。
このあたりは双方秒読みだが、私は強豪相手によく戦っている。
私は金を剥がし▲5一飛成。あと一歩で寄りそうなのだが、それが遠い。
Ii君は△3七桂成と金を取って△7七角成。これは油断ならない手だ。

第5図以下の指し手。▲4一銀不成△4四玉▲4五歩△3三玉▲7七金△2五桂▲同歩△2六銀▲4八玉△6八金▲2九桂△5九金▲同玉△9五角(第6図)

第5図の△7七角成を▲同金は△4五桂がある。私は▲4一銀不成と空き王手した(▲6三銀成もあったか)。が、ここは「成」とし、将来の▲4二竜を見たほうがよかった。銀の一段目の成は抵抗があるが、時にはそちらがいい時もある。
△4四玉に▲4五歩と打ち、△4五桂の筋を消した。△3三玉に▲7七金と角を取り一段落だが、後手玉は▲4二竜△同玉▲5一角の筋がギリギリ詰まない。
しかし受けても一手一手と見たIi君は、△2五桂と最後の突撃にきた。
△2六銀はさすがに取れない。▲4八玉に△6八金で詰めろがかかったが、▲2九桂が冷静だったようだ。続く△5九金▲同玉で金が入ったので、これは勝ったと思った。
しかしIi君△9五角。これもまた油断のならない手だ。

第6図以下の指し手。▲4二角△2二玉▲3二銀成(投了図)
まで、一公の勝ち。

第6図で▲4二竜△同玉▲5一角は△同角で失敗。△9五角はこの筋を防いでいたのだ。
しかし今度はたんに▲4二角があった。▲2五歩が入っているので、後の▲2四角成が利く。
本譜は△2二玉▲3二銀成まで、Ii君の投了となった。Ii君には数年振りの勝利で、この最悪の精神状態の中、我ながらよく勝ったと思った。

感想戦。第3図の▲5七歩では、やはり▲5三歩だった。Ii君は△4二玉と立つ予定で、その後いろいろやったが、先手に明快な決め手は見つからなかった。
さらに大野八一雄七段にも入っていただく。まず第1図からの△8六歩▲同歩△同飛に▲6七角は先手がやや不満で、ふつうに▲8七歩でよかったらしい。以下△7六飛▲6七金△6六飛▲同金△6八角▲5六飛△7七角成がイヤだったのだが、そこでふつうに▲7一飛と下ろして先手有利とのこと。
言われてみればそうなのだが、対局中は形勢判断ができなかった。
また第3図からの▲5七歩は、やはり▲5三歩とのこと。そこから大野七段の指摘では先手に意表の攻め筋が出て、十数手後に後手玉を受けなしに追い込んだ。先手玉も詰まず、「▲5三歩なら先手勝ち」の結論となった。
ただしプロ指摘の順を私が間違わず指せるわけがなく、こうはならない。
整理すると、▲5七歩で▲5三歩なら、最善を尽くせば先手が勝ったが、実際は△4二玉からごちゃごちゃやって、最後は後手が勝ったと思われる。
本譜は疑問手の▲5七歩にIi君が△5二玉のココセで返し、先手が僥倖の勝利を収めたというわけだった。

3局目はU君と指す。U君も大野教室三指に入る強豪で私も連敗続きだが、中盤までなら負けてないと思っている。だがそこから私がポカをやり、ひっくり返される展開が多いのだ。今日は慎重に行こうと思った。
私の後手番で、私は中飛車に振る。私は素早く左銀を繰りだしたが、△5五歩▲同歩△同銀▲5六歩に、△4六歩が利くと思った。
だがそれは▲4六同歩でタダ。四間飛車の変化と混同していたから話にならない。結局△4四銀と引くしかなく、手損してしまった。
U君は好きな左美濃に組み、▲2四歩と合わせてきた。

第1図以下の指し手。▲3四飛△5三銀上▲2四歩△4三角▲3五歩△3四角▲同歩△3九飛▲3三歩成△同飛成(第2図)

▲3四飛は勢い。今後△4三金は▲4四飛△同金▲4二角で、先手陣は左美濃の堅陣だから後手ダメ。
私は△5三銀上と辛抱し、△4三角と飛車を殺す。
▲3五歩には何かジワジワ指す手もあったが、堪えきれずに△3四角と飛車を取る。直後に桂損するが、△3九飛から成り返り、盤石の形を作った。
傍で見ていた大野七段が「指し手がオジサンだなあ~」と苦笑いする。
その後私はと金攻めで銀得を果たし、互角には戦えていると思った。
局面は進んで第3図。U君が▲5七金を▲6六金と出た局面。私が微差のリードを保っていると思う。ここで私に、ココセ級の一手が出てしまった。

(つづく)
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12月2日の4時から男(前編)

2017-12-17 00:13:25 | 新・大野教室
16日は予定通り、長崎県川棚の「あんでるせん」で、マスターのマジックを楽しんだ。とはいうものの、アホな家族のせいで、とても不快な思いもした。
これ、憤っているのは私だけなのか。私だけが狭量なのだろうか。
頭の中をちょっと整理してみたい。

   ◇

2日(土)は「大野教室」に行った。といっても今回も「4時から男」である。
来たる6日(水)、ついに我が社から大型プレス機など、もろもろの作業機械が撤去される。その別れが悲しく、今回はその気分を紛らわせるための外出だった。
午後4時3分に入室する。講師の大野八一雄七段は2面指しの最中。その奥でSar君ら少年2人がおしゃべりタイム。隣の和室では自由対局が3局行われていた。土曜日にしてはやや少ないか。
Og氏に
「この前の室谷さん(由紀女流二段)との将棋はうまく指しましたね」
と言われる。
先日もFuj氏に似たことを言われたが、私の周りではそう捉えているのか。が、私は最後に即詰みを逃しているので、全然満足していない。室谷女流二段の緩急自在の指し回しに感心しただけだ。
「大沢さんは、ふだんブログを読んでいると弱い将棋だなあと思うんだけど、強い時もあるんですね」
Og氏の正直な感想に、私は苦笑するのみであった。

今日はまずTok氏と対局する。私の二枚落ちである。例によって「こっそり△4二銀」を目指したが、下手は▲3五歩のあと▲3八飛と寄せたので、大事を取って△2二銀とした。
だが▲3四歩△同歩▲同飛に、つい強気の虫がうずいて△3三銀と突っ張ってしまった。
以下▲3六飛△3四歩としたが、▲4六銀と、突き出た3四歩を狙われた。

第1図以下の指し手。▲3五歩△同歩▲同銀△6六歩▲同歩△3四歩▲同銀△同銀▲同飛△3三金▲3六飛△3四歩(第2図)

▲3五歩と合わされて参った。私は△6六歩▲同歩とキワどく入れ(たしかこのタイミングだったと思う)、1歩を犠牲に△3三金~△3四歩と収めた。
ここで下手に正着を指されたら、ホトホト困っていた。

第2図以下の指し手。▲4六飛△3五銀▲4九飛△3六銀▲4六銀△3七銀不成▲同銀△7六桂▲7七角△8五桂▲8五角△6八桂成▲同金右△8四銀(第3図)

Tok氏は△3五銀の飛車取りを受けて▲4六飛と寄ったが、ここは▲4六銀と打ち、再度▲3五歩からの突進を目指せばよかった。
私の△3五銀からは無理攻め。△3六銀には▲3八歩でよかったが、Tok氏は▲4六銀と無駄遣いしてしまう。
私は桂を取り、△7六桂。ここで銀を取られたところで下手は駒損していないのだが、何となく焦るものである。
△6八桂成に▲同金右もマズく、▲同角でよかった。△8四銀で角が死んでは、上手優勢である。

第3図以下の指し手。▲8六角△同金▲同歩△3八角▲5九飛△4七角成▲5八銀△3七馬▲8五歩△4八銀▲4九金△5九銀成▲同金△8五銀▲6五桂△6四銀(投了図)
まで、一公の勝ち。

▲8六角に△同金はあまり気が進まないが、やはり角は大きい。
続いて△3八角と打ったが、▲5九飛がマズイ逃げ場所で、△4七角成と王手銀取りが実現しては勝負あった。以下△6四銀までTok氏の投了。

感想戦。
「私の△3三銀は図々しかったですね。▲4六飛ではもう一度▲4六銀と打つのがよかったでしょう」
「飛車が狙われてるからつい逃げたくなってしまって…。(二枚落ちなのに)どんどん動いてくるから戸惑ってしまって…」
私がケレン味のある指し方をしてしまったようだ。
2局目はIi君と指す。Ii君は私以上に教室は「久しぶり」で、一回り大きくなった(太った)。最近就職を内定させたらしいが、そこは私もあやかりたいところである。
彼は教室一の強豪なので私が先手でいいのだが、なぜか振駒になり、そこで先手番となった。
私は中飛車に振る。最近のマイブームで、守備力が強いのが気に入っている。
Ii君は△5三銀左。私はドーンと▲6五歩と突き、角交換になる。
Ii君は△7三銀と出たが、中飛車に棒銀は怖くない。「中原の将棋教室」(池田書店)での同じ戦型で、中飛車側が優勢になっていた。

第1図以下の指し手。△8六歩▲同歩△同飛▲6七角△2四歩▲2六歩△4五歩▲8七歩△8二飛▲4五歩△6二飛▲6四歩△同銀右▲6五歩△5五銀▲同銀△同歩▲5一銀△6一飛▲4二銀成△同金(第2図)

Ii君は長考後8筋の歩を切ってきた。ここで▲8七歩は△7六飛▲6七金に△6六飛▲同金△6八角の強襲を気にした。
私は▲6七角。これはIi君も考えていなかったはずで、長考を無駄にさせたと思った。
Ii君は▲3五歩を防いで△4五歩。私は▲8七歩△8二飛の交換を入れて▲4五歩だが、△6二飛と回られて、先の2手の交換が悔やまれてきた。
さらに▲6四歩と取ったのがまた悪手で、△同銀右と、遊び気味だった△7三の銀を働かせたのは罪が重かった。
私は割り打ちで敵陣を薄くしたが、△4二同金では△同玉もあったと思う。

第2図以下の指し手。▲4四歩△同銀▲3四角△4三銀▲2三金△4一玉▲4三角成△同金▲4五歩△同桂▲同桂△3七歩▲同金△6六角(第3図)

自陣は△6六歩があるからぐずぐずできない。私の▲4四歩は唯一の手で、△同銀に角を飛びだしたが、どこまで威力があるのか。
△4三銀には▲2三金から角を切って▲4五歩。だけど駒損の攻めだしもう金は打っちゃったし、いかにも切れそうだ。
本譜△4五同桂▲同桂に△同銀でも自信はなかったが、Ii君は△3七歩▲同金を利かして△6六角と打った。
ここで次の手が弱かった。

(つづく)
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