一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

上川女流二段に癒される(前編)

2021-11-25 19:22:05 | LPSA麹町サロンin DIS
4日(木)は当日になっても、LPSA麹町サロンin DIS・上川香織女流二段の回に空きがあったので、申し込んだ。といっても現在は先方へ電話連絡はできないので、メールで行った。
だが即返信が来るはずもなく、私はそれを待たずに麹町へ向かった。
四ツ谷駅近くの小諸そばで、二枚もりをたぐる。美味かったが、麺がやや伸びていたか。
定刻に麹町サロンに入ると、Tod氏と常連氏がいた。
「あらあ久し振り!」
と上川女流二段。上川女流二段との指導対局は昨年11月19日以来で、ほぼ1年振り。その間私はハゲが進行したが、上川女流二段は変わっていなかった。47歳とは思えぬ若さだ。
「きょうはお客様がふたりしかいなかったから、大沢さんに連絡しようと思ったのよ。でもメアドとか知らないし」
「ああ、どうも」
「あとで教えてください。あ、LINEとかやってます?」
「やってますよ。今年の就職活動のとき、必要があって作りました。
それより上川先生、この前の順位戦は勝ちました?」
私は急所の質問をする。
「負けました」
「え? 誰と対局でした?」
「長沢さん(千和子女流四段)」
「ああ、長沢さんには勝ってもらわないと」
「でも長沢さん強いのよ。よく研究されてるし。
……大沢さん、大野教室は最近行ってるんですか?」
「あまり行ってませんね」
なんだか昨年もこんな会話をした気がする。
「私も行こうかな」
大野教室には多くの女流棋士の卵が集まり、いまや隠れた聖地と化している。
早速指導対局となるが、Tod氏は飛車落ちで、常連氏は平手で挑む。「ゴキゲン中飛車でお願いします」
これはほっといても中飛車に振りそうだから、上川女流二段と私が苦笑した。
私も平手戦だが、上川女流二段に促され、私が振駒をした。と金が3枚出て、私の後手。畏れ多いことになった。

初手からの指し手。▲7六歩△8四歩▲7八飛△6二銀▲7五歩△8五歩▲7六飛△3四歩▲6六歩△4二玉▲5八金左△3二玉▲4八玉△6四歩▲3八玉△6三銀▲2八玉△4二銀▲3八銀(第1図)

きょうは当初、Tod氏しか予約が入っていなかったらしい。下手をすると1対1の夢の指導対局になっていたかもしれないのだが、私と常連氏がTod氏の野望を許さなかった。
「最近三間飛車も指すのよ」と語っていた上川女流二段は三間飛車に振る。私は石田くずしが好きなので、△6二銀と上がった。
「お、やってこいと。じゃあ石田流に」と上川女流二段は▲7五歩。以下石田流となった。
私はオーソドックスな構えだが、次の手が一公流。

第1図以下の指し手。△4四歩▲4六歩△4三銀▲9六歩△5四銀左▲9七角△4二金▲7七桂△4五歩▲同歩△同銀▲6八銀(第2図)

△4四歩が私流で、▲4六歩と受けなければ△4五歩と伸ばし、美濃囲いの発展を阻止する。▲4六歩ならのちに銀を繰り出し△4五歩から1歩を手にする狙いだ。
上川女流二段は▲4六歩と受けたので、私は予定通り△5四銀左。ここ、右としないのがミソで、右銀は▲6五歩に備えている。
そして△4五歩。
「そうですよね。この辺から戦いになりますよね」
と上川女流二段がつぶやいた。

第2図以下の指し手。△5四銀引▲5六歩△7二金▲1六歩△1四歩▲5七銀△9四歩▲6五歩△同歩▲6四歩(途中図)
△5二銀▲7四歩△同歩▲同飛△7三金(第3図)

私は△5四銀と引いて当初の目的は達成したが、冷静に見ると玉のコビンが空いて、あまりいい形ではない。先手の角は9七に上がっているから△6五歩も甘い。結果、後手はそれほどでかしていないことに気付き、大局観の悪さに呆れた。
▲5七銀にじっと△9四歩。「なんでこんな難しい局面に……」と上川女流二段がつぶやき、長考に沈む。そして▲6五歩と突っかけた。
これは△同歩の一手だが、▲6四歩が継続の一手。私の1歩交換を逆用された形で、やはり△4五歩はよくなかった。

途中図では当然△同銀と取りたいが、以下▲7四歩△6三銀▲7三歩成△同銀▲6五桂△6四銀右▲7三歩で、攻め潰されると思った。
そこで△5二銀の辛抱だが、中原誠十六世名人だって若き日の羽生善治九段相手にそう指したので、悔しくはなかった。
本譜▲7四同飛に△7三歩では▲7五飛から▲8五飛を狙われる。よって強く△7三金と立ったが……。

第3図以下の指し手。▲7三同飛成△同桂▲7四歩△7七角成▲7三歩成△8一飛▲7二と△4一飛▲6二と△8九飛(第4図)

△7三金は一種の勝負手でもある。上川女流二段は
「うぅ、切りたい誘惑にかられる……。まあ指導対局だし、楽しくやりますか。咎めてください」
と▲同飛成と行った。△同桂に▲7四歩で、これに△7二歩は▲7三歩成△同桂▲6五桂で恐らく私が負ける。
よって私は△7七角成だが、▲7三歩成のほうが価値が高い。
以下▲6二とまで寄られて、後手が非勢になった。

第4図以下の指し手。▲6三歩成△同銀引▲同と△同銀▲5五桂△5四銀▲6四角△6六歩▲4四金(第5図)

▲6三歩成は、と金1枚で銀と交換できるから、何かの錯覚だったかもしれない。すなわち第4図から▲5二と△同金▲6三銀とする。以下A△同銀なら▲同歩成△同金▲5二銀。B△同金なら▲同歩成△同銀▲5三角成である。(25日追記:▲6三銀には△4九飛行成▲同銀△同飛成で後手が勝てそうだ)
本譜△5四銀に上川女流二段はふわっと▲6四角。この意味がよく分からないが、▲9一角成の狙いだろうか。
もっとも私も指す手が分からず、△6六歩。一応△6七歩成を見ているが、馬道が止まるので、あまり感触はよくなかった。
と、上川女流二段は▲4四金。こ、これは……。

(つづく)
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第80期A級順位戦5回戦

2021-11-24 15:06:47 | 男性棋戦
19日は第80期A級順位戦5回戦の4局が行われた。4日に山崎隆之八段VS菅井竜也八段戦が一足早く行われたが、どうせなら5局まとめてやればよかったのにと思う。
さて19日の私の注目は、糸谷哲郎八段と対戦する羽生善治九段の勝敗と、無冠に転落した豊島将之九段と、対する佐藤康光九段の戦いだった。
対局は羽生九段と佐藤九段が並んで座って行われたという。これ、昭和で言えば中原誠十六世名人と米長邦雄永世棋聖が並んでいるようなもので、この圧倒的迫力は藤井聡太竜王と豊島九段でも醸し出すことはできない。
将棋は羽生VS糸谷戦が角換わり、佐藤VS豊島戦が佐藤九段の角換わり力戦向かい飛車となった。羽生VS糸谷戦は予想通り。佐藤九段は裏芸として、この力戦振り飛車が多い。相居飛車の角換わりを指しても豊島九段はあらゆる形に精通しているから、佐藤九段には得策ではない。よって今回の戦法選択は正しかった。
局面、佐藤九段は△2四歩▲同歩に△同飛!(第1図) 元気よく飛車をぶつけた。

私なら恐くて△2四同銀だが、それだと▲2三歩△同飛▲3二角△2二飛▲4一角成のような手があって指し切れないのだろう。
ただ△2四同飛も▲同飛△同銀に▲2三飛の両取りがあるが、これも彼我の陣形を鑑み、後手が指せるという判断だったのだろう。
果たして本譜は豊島九段が▲2五歩と収めた。しかしこれは△2二飛で、1歩を手持ちにした佐藤九段に不満があるはずがなかった。
局面はそこから20手ほど進む。佐藤九段の左銀が中途半端だが、互角の形勢なのだろう。

ここで佐藤九段の△4八歩(第2図)に唸った。持駒のないとき、と金製造は有力な手段で、私は1992年2月5日に指された第5期竜王戦1回戦・▲大山康晴十五世名人VS△石田和雄九段戦での▲6二歩(参考図)を思い出したのである。

将棋はその後も難しい戦いが続いたが、108手まで佐藤九段の勝ち(投了図)。△4八歩はと金に昇格し、△7八とまで動き、玉の死命を制した。げに恐ろしき垂れ歩であった。

佐藤九段は3勝2敗と白星先行。この日も勝った斎藤慎太郎八段とは2ゲーム差ながら、挑戦戦線に残った。
また豊島九段は3勝2敗で一歩後退。今年度成績も18勝19敗(19日現在)で、とうとう5割を割ってしまった。もうまともに将棋を指せる状態ではないと思うが、21日のJT杯将棋日本シリーズ決勝戦では藤井竜王に勝ち、わずかに借りを返した。今後の巻き返しに期待したい。
いっぽう羽生VS糸谷戦は、中盤まで羽生九段が優勢と言われていたが、徐々に糸谷八段が盛り返し、深夜に逆転。そのまま糸谷八段が押し切った。
元来羽生九段は「羽生マジック」と称されるほど逆転勝ちが多い上、勝ち将棋はそのまま勝っていたから、勝率もすこぶる良かった。だから逆転負けは少なかったのだが、本局は羽生九段が優勢になっても、勝ちになるまで信用できなかった。本局はその危惧が現実になってしまった。
これで羽生九段は1勝4敗。ついにA級の地位に黄信号が灯った。
それにしても恐ろしいのは、ときどきの棋士の評価である。羽生九段はタイトル99期、佐藤九段は13期と大差で、直接対決は羽生九段の110勝、佐藤九段の55勝でダブルスコア。タイトル戦に至っては羽生九段の17期、佐藤九段の4期だ。
もう勝負の決着はついたと思われたが、今年度成績に限れば羽生九段8勝14敗、佐藤九段16勝7敗(!)で、勝ちと負けが奇しくもダブルスコアになっている。ましてや佐藤九段は将棋連盟会長も務めており、将棋の勉強をする時間はない。その結果、佐藤九段の株がストップ高になり、羽生九段のそれを上回ったのである。
佐藤九段は先の王座戦挑戦者決定戦で苦杯を喫したが、棋王戦ではベスト4に残っている。ぜひ挑戦者になってもらいたい。
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あさっては女流名人リーグ最終戦!

2021-11-23 22:42:05 | 女流棋戦
あさって25日は、第48期女流名人戦リーグの最終戦が行われる。
まず、それぞれの戦績と、最終戦の相手を記しておこう。

②伊藤沙恵女流三段 7勝1敗 香川
③鈴木環那女流三段 6勝2敗 加藤圭
⑤香川愛生女流四段 5勝3敗 伊藤
⑦石本さくら女流二段 5勝3敗 中井
④加藤圭女流二段 4勝4敗 鈴木
①加藤桃子清麗 3勝5敗 渡部
⑥渡部愛女流三段 3勝5敗 加藤桃
⑦中井広恵女流六段 3勝5敗 石本
⑦中村真梨花女流三段 3勝5敗 北村
⑦北村桂香女流初段 1勝7敗 中村

伊藤女流三段が7勝1敗で、自力。鈴木女流三段が6勝2敗で追う。仮に伊藤女流三段が負けて鈴木女流三段が勝っても、まだ伊藤女流三段にはプレーオフがある。つまり、伊藤女流三段が相当有利である。
かようなわけで鈴木女流三段は望みが薄いが、それでも来期は2位以上が確定している。鈴木女流三段は本当に実力をつけたと思う。
しかしまあ、本当に面白いのは陥落争いである。陥落は4名で、すでに北村女流初段の陥落が決定している。また、3勝ながら順位の悪い中井女流六段と中村女流三段も決定している。
そして残り1枠が3勝の加藤清麗と渡部女流三段で、この両者が直接対決でカタを付ける、というのも作ったようで面白い。
しかし加藤清麗の3勝というのも信じがたい。加藤清麗は2019年に女流棋士に転向。昨年は女流王位戦と女流名人戦で挑戦者になったが、いずれも里見香奈女流四冠に敗れた。
それが今期の女流名人リーグは3勝で、じゃあ調子が悪いのかと思えばさにあらず、清麗戦と倉敷藤花戦はしっかり挑戦者になり、清麗戦では里見女流五冠から一冠をもぎ取った。
結局、女流名人リーグはたまたま星が集まらなかっただけだが、リーグ参加者のレヴェルの高さの証左でもある。
いっぽうの渡部女流三段も調子が悪く見えるが、こちらも白玲戦の舞台に出たわけだから、けっして調子は悪くない。やはり本棋戦に黒星が集まってしまっただけだ。
そして渡部女流三段は最終戦、絶対に勝たねばならない。じゃないと、来期は西山朋佳女流三冠が登場してくる。予選で同じ枠に入るといろいろ面倒だ。だからリーグに残留しておいたほうが紛れが少ない。そしていうまでもないが、リーグ残留は加藤清麗を蹴落とすことにもなり、一石二鳥なのだ。
連盟の携帯中継は挑戦に関わる2局だが、まあこれは仕方ない。渡部女流三段の勝利をひたすら祈るのみ。
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最近見た夢(2021-11-13、14、18、20、21、22)

2021-11-22 20:29:50 | 
最近見た夢を記しておく。
まずは13日に見た夢。
私は家の工場で働いていた、中はどうもかつての伯父の工場だったが、そこで私はウチで作っていた鉄製品を箱に入れて、納品するところだった。
だがそれに水がかかってしまった。
……という内容は憶えている。

続いて14日に見た夢。
この日もいろいろな夢を見たのだが、残念ながらほとんど忘れてしまった。
しかし、前日(13日)に見た夢を忘れないようにと、私は夢の中で前日と同じ夢を「再生」した。
こんなケースは初めてある。

続いて18日に見た夢。
この明け方はどこか旅行に行った夢を見たことは確かなのだが、内容がどうしても思い出せなかった。
次に見た夢は、私がどこかの新興宗教の建物に入っていて、そこで教祖様のセミナーを聞いていた。
しかし内容がうさん臭く、私はここにいてはヤバイと思った。セミナーが終わったが、ほかの聴講者(おじさんが多かった)は帰れない雰囲気だ。私は意を決して帰ることにした。2基あるエレベーターのひとつに、私ともうひとりが乗った。しばらくすると、我も我もとおじさんたちが入ってきた。
……というところで、尿意で目が覚めた。

続いて20日に見た夢。
何か警備をしている夢を見たのだが、尿意を催しトイレに行ったら、内容を忘れてしまった。
寝直して見た夢。ルパン三世の新作(テレビ)か映画が出来たのだが、その登場人物のひとりに、私が声優をやっていた。
だが、私はアテレコをやった記憶がない。そこで再び尿意で目が覚めたのだが、現実の世界ではアテレコなんてやってないから、記憶があるわけがない。私はさびしい気持ちになった。

続いて21日に見た夢。
この朝もいろいろな夢を見たのだが、やはりほとんど内容は忘れてしまった。
唯一憶えているのが以下。俳優の戸次重幸が出演していた気がするが、よく分からない。
私の知り合いの男性(75歳)が私の勤めている会社の上司で、新商品である付箋紙のセットを販売することになり、上司が営業マン役、私が顧客役でロールプレイングをやることになった。
上司「このたびこの商品を販売することになりまして……」
私「おお、これは素晴らしい」
話しているそばから、「クサイセリフだなあ……」と自己嫌悪に陥っていたが、そこでスマホのアラームに叩き起こされた。

続いて22日に見た夢。
この日の夢もハッキリしないが、やはり記憶に残っているのは、直近の夢である。
私は最寄りの駅前にいた。この一角、三畳ほどの広さが私の土地になっていて、私はちゃぶ台(テーブル)を立て、あたりに歩行者がいるにもかかわらず、お茶などを飲もうとしていた。
……というところで、何となく目が覚めた。

このあたりで、一度アップしておこう。
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今日は何の日・11月21日

2021-11-21 22:47:26 | 将棋雑記
54年前の今日11月21日は、大山康晴十五世名人と中原誠十六世名人の初対局が行われた日である。
当時大山名人44歳、中原五段20歳。大山名人は十段、王将、王位を保持する四冠王。いっぽう中原五段は大型新人の呼び声も高く、大山名人の後継者とも呼ばれていた。そのふたりが第11期棋聖戦の準決勝で当たったのである。
大山名人の先手で▲7六歩△8四歩▲5六歩△5四歩。ここで大山名人は中飛車に振った。しかし△6二銀に▲5五歩△同歩▲同角としたのが動きすぎ。ここは▲6六歩だった、と大山名人の感想がある。さすがの大名人も大型新人との対局に、気が逸ってしまったようだ。
そこから数手進んで、第1図は大山名人が▲5四歩と突きだしたところ。局面は大山名人の作戦負けで、第1図は中原五段に△5七歩や△6五銀や△6五桂など、指したい手がいっぱいある。大山名人の▲5四歩は争点をズラした手だが、それでも中原五段の強烈な攻めが炸裂する。

第1図以下の指し手。△7七角成▲同桂△3三角▲6六歩△同角▲6八金△8五桂▲同桂△9九角成(第2図)

中原五段が角を換わり、再度角を据えたのが好手。これには▲6六角と合わせるのが正着だったが、大山名人は▲6六歩と突き捨てて▲6八金と上がった。
しかし中原五段の△8五桂が好手で、▲同桂に△9九角成と馬を作っては、中原五段の優勢がハッキリした。

さらに数手進んで、第3図。非勢ながらも耐えてきた大山名人だが、ここで疑問手が出る。

第3図以下の指し手。▲4六桂△6四飛▲5五銀打△6八飛成▲同飛△2四香(第4図)

▲4六桂が疑問手で、ここは▲6三成桂と歩切れを解消しつつ△6四飛を消すのがよかったようだ。
中原五段の△6四飛は当然。大山名人は行きがかり上▲5五銀打と飛車を殺したが、バッサリと△6八飛成が好手。この飛車切り、何となく、藤井聡太竜王の香りがする。
以下▲6八同飛に△2四香と据え、中原五段の勝勢となった。

第4図で▲6三飛成は△8一角がある。よって大山名人は▲8一飛としたが、△8九馬以下中原五段が的確に寄せ、殊勲の勝利となった。
中原五段は続く挑戦者決定戦にも勝ち、タイトル戦に初登場した。
いっぽう大山名人は、1957年・第16期名人戦から続けていたタイトル戦出場の記録が50回で途切れた。記録に拘る大山名人は、この敗戦を後々まで残念がったという。
そして大山十五世名人と中原十六世名人の戦いは、162局まで及ぶことになる。タイトル戦は20回を数え、最後のタイトル戦は何と、1986年の名人戦。ウソみたいな話である。
脂が乗っていた時期の中原十六世名人はともかく、全盛期を過ぎてからの大山十五世名人の余韻の長さに、私はあらためて感服するのである。
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