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神様がくれた素晴らしい人生(yottin blog)

「甲越軍記」を現代仕様で書いてみた 武田家 46

2024年03月19日 21時24分37秒 | 甲越軍記
 陽はすでに西に傾きつつあったが戦は果てることなく、敵味方入り乱れての決戦は続いている。

この会戦始まる前に晴信は北の小高き山の上に、三百の兵を選び日向大和守、今井伊勢守の両名を大将として「大将軍」と書いた旗を預けたまわった。
そして「汝ら、味方が以下に不利に見えたとて決してここを動かず、いかにも晴信の本陣ここにありと見せかけよ、決してここを動くこと許さぬ」と言い置いた
しかし晴信勢、今朝より四度の合戦におよびいかにも疲労の度は増して見える
今は味方の大事と思い、晴信に救援の遣いを出すが、いかなる心底か晴信はついに、それを許さず、両将は歯噛みして手に汗握り、戦場を見下ろすばかりであった。

甲府の城には御舎弟左馬之助信繁、それを助けて原加賀守を残しておいた
原加賀守は信繁に「今度の戦は当家の命運をかけた大一番、何としても勝たねばならず。御屋形を救いまいらせん」と申し出て、一つの計略を披露した
甲斐国東郡、西郡より二十歳から五十歳までの者を全て集めて
「我、汝らとこれより韮崎に駆けつけ館の後詰を致す、だが汝らには戦はさせぬ、また少しの傷もつけることはない、寺々、社々から金太鼓を借り受けて、おのおの再度ここに集まる様に」と命じた

彼らに古鎧をつけさせ、竹槍、鎌槍を持たせ、白旗五六百を造らせて持たせ
それを先頭に押し立てて戦場に駆けつけた
元来甲州人はその気質強壮であり、ましてや晴信の国政は信虎とは打って変わって民を哀れみ善政を敷いたから、民も商人も皆、その恩を忘れず少しも躊躇なく皆、加賀守に従いついて行く、その勢は一万にも膨れ上がった

原加賀守は戦場の東、勝山という小高い峯に進み、戦場を見渡せば合戦は今や最高潮に達したと見えた、幾分わが方が有利と見えて、これは我らが勝利と安堵した、そして壮民に向かい「汝らはここに居て、某が山を下り敵陣に突き入れたならば一斉に鐘、半鐘を叩き、紙旗を揺らして大音声で鬨の声を挙げよ
敵勢、これに驚いて慌てふためき逃げ腰になったら、汝らも山を下り敵を遠巻きにせよ」と指示を与えた。

加賀守、手勢三百を率いて敵勢の右寄り襲い時の声をどっと上げれば、山の上でも万余の兵が旗なびかせ大音声を挙げて津波の如し
これを見た、小笠原、諏訪の兵は苦戦中であり、さらに武田の大軍を目にして
「すわ、敵の後詰がやって来たぞ」と大騒ぎになり、しかも万余の敵は二手に分かれて信州勢を囲い込むように押し進んでくる

これを見て日向大和守、今井伊勢守も命じられるままに戦見物をしていたが
「たとえ大将軍の許し無くとも、いかにここに留まっていられようか、我らもせめて雑兵首の一つも取らねば戦場に来た甲斐なし」と三百の新手引き連れて
北の山路を急ぎ駆け下りて敵に突きかかった、信州勢総崩れとなり我先に逃げだした
晴信は「今こそが勝つ時ぞ、雑兵、端武者に構うな、長時、頼茂の首を取れ」と采配を振る。
味方勢、今や備えを崩して逃げ惑う敵を追い、片っ端から討ち取っていく
信州の兵どもは馬を捨て、鎧兜を脱いで山中に逃れて二十里の向こうまで一目散に逃げかえった。
晴信は夕日の山に隠れるさまを見て引き金を鳴らした
この日の戦で信濃勢から取った首数は二千七百四十八級という、小が大を打ち破ったのはひとえに晴信の奇兵の軍立ちによるところである
是より韮崎にて敵の逆襲に備えて三日間逗留したが、その気配なくついに甲州館へと凱旋したのである。
これまで信虎の恩義を感じて、晴信を恨んでいた家臣たちもこの度の智勇兼備の姿を見て、恐れ心腹するようになった。



大相撲9日目を終わって

2024年03月19日 08時05分13秒 | 大相撲
今日(9日目)の相撲を見て「新時代到来」を強く感じた
新入幕尊富士が阿炎をものともせず押し出せば、幕内二場所目の大の里も関脇若元春を圧倒して寄り切った、尊富士全勝キープで単独首位、大の里も勝ち越して単独二位、明日はこの二人が直接対決、まるで横綱同士の優勝決定戦のような高鳴りを私は感じている。
二人共まだ大銀杏を結えない斬バラ髪、こんなことが過去にあっただろうか
大の里の初土俵は去年の五月場所で、今場所が六場所目、年六場所だから、まだ一年経っていない、幕下10枚目格付け出しだから、こうなったがそれは実力を伴っていたことを証明した
9日目で通算53勝15敗、三場所続けて二桁勝利、今場所もあと2勝で二桁、来場所の三役入りは80%見えている
尊富士、初土俵一昨年の九月場所だから今場所が9場所目、こちらもまだ一年半の経験だ
尊富士、序の口からスタートしたフル活動力士、序の口、序二段を全勝優勝で各一場所通過、三段目も6勝1敗で一場所通過、幕下通過は4場所かかったが、十両は13勝の優勝で一場所で通過した天才肌、通算は65勝8敗と大の里に引けを取らない、新入幕連勝9で2位タイを記録した、1位は大鵬の11だという
明日の大の里戦が山場だ

大の里は先場所の終盤に横綱照ノ富士、大関豊昇龍、関脇琴ノ若にあてられて全敗したが、今場所はより早く、より強く、より重い腰、より攻める姿勢になって土俵に上がっている、今場所は大関陣も全力で行かなければ大の里に粉砕されるだろう。

尊富士はまだ関脇以上に当たったことがないが、今日の阿炎を簡単に押し出した力は只者ではない、たぶん大の里戦のあとで大関の一人二人と当たらされるだろう、そこで実力を見てみたい。

今日の相撲を見て、今場所は常に前に圧力をかけ続ける力士の迫力を見せつけられた、それは琴ノ若、尊富士、大の里の三人だ
いずれも前に前に出ていく、そして簡単な引きや叩きにも動じない強さがある、しかも当たりが今までの力士にない凄さだ
大型力士がアメラグ並みのタックルを仕掛けてくるようなものだ。
朝乃山も同じような攻めのスタイルがあるが雑だ、焦りなのか土俵際で叩かれたり打っちゃられたりして星を落とすので、前の三人より劣る。
この三人の直接対決が見たい、三人とも今場所が最強だ、10日目その第一戦が見られる、楽しみだ、互いに一気に持って行こうと激しいぶつかりになるだろう、出遅れた方が押し込まれるだろう、だがどちらも前に出ることしか考えていない、綱引きの逆バージョンの手に汗握る大試合になるはずだ
この二人には息の長い横綱になってもらい栃若、柏鵬、朝白のような横綱同士の激闘を毎場所見せてもらいたい。

照ノ富士という横綱は本当にわからない
ウルトラマンみたいに、ある日突然やってきて世の中を正すと、また飛び去って行く、そんなイメージ
いったいこの横綱の体は、どうなっているんだろう? 毎回書くが「満身創痍」は間違いないだろう、だから無理はきかないと思えば優勝してしまうし、今場所のように前半で休場もする
いったい、いつまで彼は相撲を続けるのか、続けられるのか?
白鵬のような自己主張もないし、弱音も吐かない、無駄ごとも言わない、鶴竜に似ている立派だと思う、願わくば誰ぞ急いで横綱になって、照ノ富士が安心して土俵を去れるようにしてほしい。

でも間違いなく第三世代の波が押し寄せてきて、大関、関脇、小結で長年足踏みしている第二世代を追い抜いていこうとしている
随分とここまで長かった、もう数十年は日本人横綱は誕生しないかと絶望的な思いをしていた、それが去年の後半から一気にたくさんの芽が吹きだした
しかも、多くが日本人力士の若手であるのが嬉しい

琴ノ若26、熱海富士21、王鵬24、平戸海23、大の里23、豪ノ山25、
琴勝峰24、湘南乃海25、北の若23、狼雅25,尊富士24 
そして豊昇龍もまだ24歳なのだ。
結局、大関は貴景勝が令和元年夏から28場所(間に関脇一場所)大関の地位から動いていない、霧島も一気に横綱奪取かと思ったが足踏みしている
そもそも大関陣で照ノ富士に一人も勝ったことがない、これでは恥ずかしくて横綱になれないだろう。
その点、まだ照ノ富士とゼロまたは一二回しか当たっていない若手は大いに勝つ可能性がある、今場所は王鵬が二度目の挑戦で照ノ富士を破った。
まずは霧島、貴景勝と五分以上の相撲を取ることが関門だ

大の里、琴ノ若、尊富士、熱海富士、豊昇龍が横綱最短距離だと思う
そして来年の夏までに決められなければ、いくら強くても正代、御嶽海、貴景勝、高安などと同じ運命をたどるだろう
残念ながら30歳の朝乃山には横綱のチャンスはもうないと見た、27歳の霧島、貴景勝も奇跡が起きない限り横綱はないだろう
若手が大勢あがってきたうえに、幕内上位から関脇まで一発屋の曲者がうようよしている、今日の翠富士がそうだ、負けた豊昇龍が思わず苦笑した、曲者は一場所だけなら大関並みの強さを発揮するから始末に負えない
さあ、大相撲大阪場所も混戦だ、大関、関脇のつぶし合いが始まれば、大の里、尊富士の平幕優勝も大いに可能性が出てくる。