付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「たいした問題じゃないが」 編:行方昭夫

2009-07-03 | エッセー・人文・科学
「事実についての自分の解釈を疑ってみるのはよい習慣であり、また、他者の動機についての自分の解釈を疑ってみるのはもっと良い習慣である。十中八、九間違っているものだ」
 A.G.ガードナーの言葉。
 だいたい他人の思惑を推測すると間違っているものだし、こちらの言動だって誤解されるもの。だから、せめて友人同士や仲間うちの話なら何かあったらざっくばらんに直接聞くのが最善と祐巳さんも言ってます。

 19世紀末から第一次世界大戦くらいまでのイギリスの新聞コラムから、代表的なコラムニスト4人の文章をまとめたもの。ミルンは『くまのプーさん』でもお馴染みのA.A.ミルンです。時事的なネタは今となっては当時の空気を知るくらいの役にしか立ちませんが、今に通じる言葉も多く、それをユーモアと皮肉に包んだあたりがいかにもイギリス的。

【たいした問題じゃないが】【イギリス・コラム傑作選】【行方昭夫】【ガードナー】【ルーカス】【リンド】【ミルン】【ホームズ】【無関心】【時間厳守】
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「マリア様がみてる/リトル ホラーズ」 今野緒雪 34

2009-07-03 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「この世界が素敵な人でいっぱいになるためには、まず自分が素敵にならないと」
 公弥さんの気持ち。どうにもならない他人のせいにする前に、まず自分からという気持ちが大事なんです。

 「祥子&祐巳」編が終わって新章突入。今のところ「祐巳&瞳子」というより「由乃&菜々」編といった感じですが、もともと少女群像劇みたいな話ですのでのんびり見ていきたいと思います。作者としてはここらで別の話も書きたいんじゃないかなあと勝手な憶測をしてしまいましたが、よく見たらリリアン女学園が舞台というだけで既に好き放題に書いてますよね……。

 今回は入学直後の菜々の放課後を描いた『リトルホラーズ』を軸に、単発のホラーというか幻想譚というかファンタジーというか、ちょっと不思議っぽい話をサンドイッチした短編集。後味のよくない話も何本か。
 小さな怪物がクラスメイトになった『チナミさんと私』、幸福も不幸も連鎖するのならという『ハンカチ拾い』、狼に食われてしまった少女の話『ホントの嘘』、「王蘭高校ホスト部」を連想してしまったそっくりの双子と行方不明になった青年教師の話『ワンペア』、蔦子さんが「わたしはおっさんではない」と主張する『胡蝶の夢』、そして「リトルホラーズ」の裏話『リトル パニック』の7編。

 白薔薇さまの志摩子さんはあいかわらず物静かで優しくて、紅薔薇さまとなった祐巳さんは落ちついていて人の心を穏やかにさせ、黄薔薇さまとなった由乃さんは……あいかわらず由乃さんで、お姉さま補正・先輩補正がかかっていてさえ全然変わっていませんでした。「嘘つきは妹にしておく」という小説もありましたが、これは「嘘つきは姉にしておく」。今、いちばん成長株というか、成長させがいのある姉妹です。

【マリア様がみてる】【マーガレットにリボン】【今野緒雪】【カネゴン】【双子】【幽霊】【水道管】【二つの世界】【ポチョムキン】
コメント (2)
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