付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「海賊彼女」 鈴木一二三

2009-07-30 | 宇宙海賊・宇宙商人
「大きな武器は人を狂わせるが、小さな武器は人を安心させる」

 カートライトは高校進学を望む父親と喧嘩してTV界に飛び込んだものの、就職できたのはポルノまがいの番組ばかり作る制作会社。無能な上司の尻ぬぐいでやっと念願のドキュメンタリーを撮る機会が訪れたのは良いけれど、取材対象は女5人だけの宇宙海賊GQ。
 取材を許可した女海賊たちにしてもいろいろアークライトたちには話さない腹の内があるわけで、なにやらわけのわからないままに大きな陰謀に巻き込まれていくのだが……。

 結果オーライではあるけれど、高校くらいは行くべきという親父さんの意見の方に賛成だなあ……って、そっちの方ばかり目がいってしまいました。取材対象の海賊が女ばかりというのは、たまたま女だけが生き残り、あとから加わろうという男にろくな奴がいなかっただけとのこと。そりゃありそうな話です。
 ギャグ的な……というか神楽坂プロデューサーの暴走部分とシリアスな設定部分がアンバランス。最後までしっくり来ませんでした。人がさんざん死んだ物語を下世話なネタで締めくくられるのは趣味ではありません。

【海賊彼女】【鈴木一二三】【宇宙海賊】【テレビクルー】【保険金詐欺】【独立戦争】【クローン】
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「SF本の雑誌」 本の雑誌編集部

2009-07-30 | その他SF(スコシフシギとかも)
「翻訳SFには冬の時代ってなかったんだよ」
 プロ編集者の言葉は重いなあ。

 本と活字をテーマにしたコラムマガジン「本の雑誌」の増刊。SF関連記事の総集編+αといった体裁で、SFオールタイムベスト100の選考から始まって、SFをとりあげた過去の記事の再録とかSF偉人伝、サブジャンルごとのベストテンとか、なんでもかんでも詰め込んだムック。
 20年も30年も前の紹介記事や評論記事なんか、今さら読んだって……ぜんぜん……ぜんぜん……いや、一回りして面白い。面白いわ。(本当はそんなものではありませんが)答の分かっている問題を、他人が一生懸命に解こうとしているのを横から覗いているような気分ですね。「この10年のSFはみんなクズだ!」とか「荒巻義雄は内容もカラッポだった」とか「大人のSFはどこへ行ったのだ」とか言い切ってみたり(本文の文脈で確認してください)、新井素子はやはりすごいけれどグインサーガはもっとすごいみたいな。とにかく過去30年とちょいの日本におけるSFの歩みを回想するような本になっています。
 柴野先生の「SF以外のものは読む気がしないなどというマニアがいたら、その人はSFファン失格者である」という言葉は至言だと思います。

【SF本の雑誌】【椎名誠】【北上次郎】【大森望】【円城塔】【とり・みき】【鏡明】【黒丸尚】【編集者座談会】【SFセンター試験】【アート】【書評漫才】
コメント (2)
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