誰でも簡単には読めぬ古墳名である。寺徳古墳から日田往還を5,6キロ走るだろうか。初めての人はまず間違いなく前を通り過ぎて行くだろう。そしてこう言うのである「そんなもん何処にあるんだ。判るわけなかろう」と。
我輩も何度も訪れているのだが注視して運転しなければ見落とすのである。
本日も通り過ぎてしまいユーターンしてしまった。
さて、見学だぜ と勇んで車から降りて建物横の管理人の家のチャイムを鳴らしたのだが(釦を押したと言ったほうが正しい)うんもすんもない。看板をもう一度見なおすと管理人室の場所が消えて無くなっている。しかし、管理人室へ申し込めと書いてあるのだ。
雨がひどく降ってきた。ここまで来て退散か。
とそこに我輩の車の前に迷うことなくスッと車が入ってきた。福岡ナンバーである。
幼子を抱いた若い夫婦が降りて来た。好青年である。
「何処に古墳があるんですか」「これがそうだ」と建物を指した。
「えっ」「奥壁の石しか残ってないからな。こうして保存しとるわけだ」
「入れるんですかね」「隣に管理人が居て鍵を貸してくれたんだがな。どうも居ないようなんだ。電話番号が書いてあるんだが平日じゃあないから悪い気がしてなあ」
「私かけますよ」と携帯を出してかけ始めている。
我々3人は顔を見合わせた。我々の年代では休日に突然の電話をかけはしないのだ。
そこは我々とは異なる現代人だ。「10分くらいで来るそうですよ」