かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

イマジン

2009年08月04日 | The Beatles



昨日、ジョンレノンのクレージーさをちょっと強調しすぎたので、今日は、お口直し。
この本は、あの”千の風になって”の訳で有名になった新井満さんによる自由訳だ。
”超訳”という言葉は、シドニーシェルダンさんの小説の末ナ使われたたぶん造語だが、この”自由訳”という言葉は、新井さんの翻訳で初めて使われた言葉ではないか。
新井さんは、”般若心経”も訳されていたように思う。

元の詩は26行。1ページにまとまるものを、自由訳により、60ページに渡る美しいイマジンになった。写真も詩も美しい。写真詩集と名付けられている。
千円が高いかどうかは別にして、ジョンファンは、この新井さんの思い入れに、一度は共感してみてももいいのではないか。

付録の小野洋子さんとの対談と、あとがきがまたよい。イギリスの詩人のキップリングが、East is East, West is West.と書いているそうだ。その後に、「しかし、たとえ地の果ての両極から来たのであっても、二人の強い人間が対面した時には、東も西もないのだ。国境も、人種も、階級も・・・」という言葉が続くそうだ。
まさに、ジョンと洋子の出会いのことを示唆しているようでもあり、イマジンのアイデアにつながっているようにも思う。

ジョンは、老子の思想に共鳴していたという。その有名なイデオムに大器晩成という言葉があるが、これは、晩年になって完成するということではなく、完成するような器は真の大器ではないということだそうだ。
これで、安心している場合ではないが、小野洋子の最初のアルバムは”未完成曲第一番”だった。老子の思想に(偶然にも)合っていたのだ。小野洋子はこの対談でその事実に気がついた。

古代ギリシャ人の言葉に、
人間には三種類ある。「死んでいる人」「ただ生きている人」、「海に向かって旅立つ人」という言葉だ。古代ギリシャ時代に、海の向こうとは、東洋を指していた。
ジョンレノンと一緒だ。
小野洋子は答える。ジョンは、ヘルプを作ったころから、「インドか中国か日本かわからないけど、いつかアジアの女の人が現われて、自分を救ってくれるんじゃないかと思っていた」と言っていたそうだ。

ジョンは、死の二日前のインタビューで、イマジンは、ジョンと洋子の共作としてクレジットすべきだと語っていたという。イマジンの語り口は、小野洋子の”グレープフルーツ”のそれとそっくりなんだそうだ。

イマジンは、この二人が出会っていなければ、この世に存在しなかった。

コメント
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