本書は、先月出た岩波新書。あの宮崎駿さんの本。
迷わず買った。
何故かというと、幼少のころ、岩波少年文庫を相当読んでいたからだ。
当然自分で、買える訳もなく、親が、新品、古本取り混ぜて、どんどん買ってくれた。何か、推薦本リストがあったのだろう。
そして、夜な夜な読んで、今日は、何の本を、何頁から何頁まで読んだとメモっていたのを覚えている。
宮崎さんもそんな感じかなと思ったら、大学時代、児童文学研究会に入っていて、そこで、ずいぶん読んだらしい。
50冊の岩波少年文庫が紹介されいるが、選ぶのに、相当迷ったそうだ。私が、読んだ記憶があるのは、その1/3ぐらいだったろうか。ドリトル先生シリーズも全部読んだし。本当に、久し振りに、タイトルや、著者や、訳者名を見たものもある。石井桃子さんは、訳者として有名だが、すばらしい訳をたくさんのこしておられ、宮崎さんも絶賛だ。
挿絵などは、おまけみたいに考えていたように記憶するが、流石宮崎さん。子供向けの本における挿絵の重要性にも着目されている。ずいぶん引用されているが、確かにそれだけ見ても素晴らしいものだ。
面白いのは、「たのしい川べ」の、宮崎さんのコメント。「ぼくは、何回読みかけてもこの本をさいごまで読めません。まったく不思議なことです。」私も、この本は、全然読み進まなかった記憶があるのだ。単純にストーリー展開が退屈だったからではないかと思っているのだが、宮崎さんも同じことをおっしゃるということは、もっと何かがあるのかもしれない。
もう一回読んだらわかるかな。
読書というのは、大切なものというのかと思ったら、「本には効き目なんかないんです。振り返ってみたら効き目があったということにすぎない。あのときあの本が、自分にとってはああいう意味があったとか、こういう意味があったとか、何十年も経ってから気がつくんですよ。」とおっしゃる。宮崎さんらしいコメント。ストレートには来ない。
また、こうもおっしゃる。「今ファンタジーを作ってはいけない。」と。今は、世界全体が、敗戦に向かっているような状況だと感じられている。しばらく、宮崎さんの長編映画は、期待できないかな?
一つ、疑問は、ナルニアシリーズが取り上げられていないこと。あれも、岩波シリーズだったと思うのだけど。あれは、全巻、わくわくしながら読んだ記憶がある。実写化されていなければ、宮崎アニメの題材にもなりうる躍動的な物語だったと思うのだけど。