今年は、いよいよLET IT BE 50周年(≒ビートルズ解散50周年)。
その先陣を切って、文藝別冊が出た。
制作過程をfbで見ていたので、いよいよ出たという気持ち。
前宣伝通りの充実の内容。
大満足。
コーナー毎に一言コメント。
まえがきに代えて
本書の言いだしっぺの和久井さんの気持ちのこもった前書き。
当初のGET BACKから、LET IT BEに変わる過程と、ビートルズの解散が不可逆的に進行していく過程が、シンクロしていく様子も解説してくれる。
LET IT BEへの想い
一文学者によるエッセイ。
なぜこの方が?と思っていたら、YOKOさんと単独インタビューをした時の話が、オチ。
そのオチがよかった。
解散してもなお人々を覚醒させ半世紀ともに在ったビートルズ
面識のある和久井さんと藤本さんとの対談。
お二人とも同世代なので、ひじょうに楽しく読めた。
それにしても、凄すぎるマニア度。人生かけてる!
レット・イット・ビーへの導火線&ゲット・バック・セッションに影響を与えたアルバム11選
和久井さんのゲット・バック・セッション前後の奥の深いお話。
和久井さんならではの視点がすばらしい。
これだけ幅広い視野で、解説してくれる人は、他にいない。
FLY ON THE WALL
FLY ON THE WALL は、LET IT BE NAKEDが出た時の、おまけCDのタイトルだが、GET BACK SESSIONの様子を簡潔にわかりやすく、解説。
映画や音源ではだらだら感が強かったが、こうまとめてもらうと、すごい制作意欲と、創造性が、当時の4人にあったことがわかる。
なぜ、こうポンポンアイデアが出せたのだろう?
やっぱり天才!神!
全曲ガイド1969-1970
GET BACK SESSIONの音源が、ABBEY ROADを経て、LET IT BE として発表されるまでの過程を、藤本さんが詳細に解説。
SESSIONから、発表までの経緯が特異で、なかなか整理できていなかったが、これが本命か。
かつて、GET BACKの復元CDをゲットしたことがあったが、本論を読むと、とても復元というレベルではなかったものと思われる。
日本を代表するコレクター諸氏、近年の収穫
こちらも、あまりのマニア度に開いた口がふさがらない?
アビー・ロード・スタジオのレンガが販売されていたとは知らなかった。
キャバーン・クラブのレンガと、スター・クラブのステージの板片は持っているが。
ビートルズの続きを夢見る男が、30年後に立ったアップル・ビルの屋上
GET BACK SESSIONに感動した私と同年代の方が、アップル・ビルの屋上に登った時の感動のレポート。
シンプルにうらやましい。
全曲ガイド1958-1966
本書の中に、全曲ガイドを入れる必要があるのかは疑問だが、内容は充実。
正式アルバムの前の音源からの全曲ガイドは珍しいし、コード進行についての解説がマニアック。
全曲ガイド1967-1968
本書の中では、一番月並みなコーナー。
このスペースで、後期の複雑な背景を持った名曲群を解説すること自体に無理があるのだが。
ビートルズの終わりをめぐって
佐藤良明さんの50年前のポップカルチャーの状況を踏まえたエッセイ。
一般紙では、あまり報道されていなかったようだが、当時の若者達は、大きく時代が変わっていたことを実感していたようだ。
私は、まだ小6で、若者にも至っていなかった。
グリン・ジョンズ、フィル・スペクターと創り上げた未来への遺産
それにしてもすごい執筆陣。
サエキけんぞうさんの寄稿だが、編集、脚色?により、いかに音が変わるものかを、リアルに説明してくれる。
今年リリースされるであろう、新LET IT BEで発表される音源が本当に楽しみだ。
グリン・ジョンズのGet Back との聴き比べができれば。
ビートルズがいた時代1956-1970
凄い!し、画期的。
まさにこのような形で、ビートルズの歴史を見たかった。
特に、日本のカルチャーをこのような形で、まとめたものはなかったのではないか。
1959年生まれの私は、これに自分史もならべてみようか。
ビートルズファンは、是非。