今日は、いい天気。
でも、コロナの出口がさっぱり見えない。
岡江さんの訃報も。
ご冥福をお祈りする。
岩波新書の中国の歴史シリーズ第二弾。
5巻で、中国の歴史を俯瞰しようとする大胆なシリーズなのだが、切り取り方が、ややユニークで、単に年代毎に輪切りにするのではなく(4巻、5巻は、中国全体が一体としてとらえられるようになるので、ほぼ輪切りになるが)、地域毎にその歴史を振り返る。
本書の取り上げるテーマは、題名にもあるように、江南、長江エリアを中心としている。
三国史で言えば、呉の国辺りが、中心となろうか。
とはいえ、江南地区で起こった王朝が、大きくなり、華北地区にも影響を及ぼせば、その地まで話が及ぶ。
そもそも中国は欧州より、面積も、人口も、大きく、それを一括りで説明するのは無理がある。
欧州で、それぞれの国に歴史があるように、中国もそれぞれの王朝の歴史からひも解いていくのが本来なのだろう。
本書で、特に面白かったのは、北宋、南宋の時代。
古代史が好きなので、どうしても隋唐時代中心に見がちだったが、その後の時代となる、日本で平安時代にあたる、北宋、南宋の時代、現在の中国につながるような大きなベースが、この時期にできてきたことがわかる。
当時も、日本との交流はあり、日本の皇室を維持しながら、摂政、関白が実際の政治を行う仕組みに関心を示していたという。中国は、王朝自体が変わってしまう。
また、民と国との関係も、違う。
民は、民の中で、結託し、国に対しては、科挙でその民から合格者を輩出することにより、つながりを持つ。
科挙合格者を出せなければ、国の存在は、邪魔でしかなくなる。
当時の科挙合格者の比率を調べると、南の方が圧倒的に多かったという。
それだけ、江南が栄えていた時代。
昔、4時間ぐらい並んで、北京の故宮博物館にある清明上河図を見たことを思い出した。
たぶん世界一の繁栄だっただろう。
しかし、無能な徽宗のために、あっという間に衰退する。
徽宗の芸術的才能は、それこそ世界一だったかもしれないのだが。
ダイナミックな中国史を、コンパクトに明らかにしてくれる本シリーズに拍手。