本CDは、昨年出た。
ディランのブートレッグシリーズの第15弾になるが、1967年~1969年の、ナッシュビルでの録音のアウトテイク集。
アルバムで言えば、ジョン・ウェズリー・ハーディング、ナッシュヴィル・スカイライン、セルフ・ポートレイトの3枚を作成した時代にあたる。
曲の作られていく過程が分かるほか、没になった曲も聴けて、うれしい。
シンプルな3人による録音がほとんどで、アコギの音と、素のボーカルが、めいっぱい聞ける。
スタジオ録音だから、音もよく、自らスタジオにいて、その場で聞いているような錯覚に陥る。
2枚目は、ジョニーキャッシュとの共演。途中、なんとカールパーキンスが飛び入りで参加したりする。
3枚目は、よりラフな印象を受けるが、またジョニーキャッシュや、カールパーキンスも登場。
ゴスペル調のものから、ナッシュビルらしく、カントリー&ウエスタン調まで。
手探りの演奏で、違った歌詞を同時に歌ったり、テンポを変えたりして、よりよいアレンジを探している。ヨーデルまで登場。カントリーミュージックを完成に導いたジミーロジャースの歌唱法らしい。
ザジョニーキャッシュショーへの登場時の音源もあり(1969年5月1日)、ここは流石、公の音源だから、しっかり最初から最後まで歌っている。
録音もいいし、歌もバラエティに富んでいるし、ディランも楽しそうだし、バンジョーの音も新鮮だし、何気なく軽く聞きたい。 Let It Be の音源も似たような環境下だったはずだが、こんな楽しい感じは、音源からは、伝わって来ない。
今年9月封切りの、新映画では、違った雰囲気を出してくるかもしれないが。