かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

万葉集講義

2020年10月07日 | Books


本書は、本屋で見つけたのだが、何冊か読まさせていただいた上野さんの新著。

万葉集関連の本については、令和の年号決定以来?何冊か読んだが、読まれた和歌についてのものだった。本書は、万葉集とは何ぞやという、歴史的・文化的意義について、探る本。

万葉集の4つの要素は、①東アジアの漢字文化圏の文学としての性格と有する。②宮廷文学としての性格を有する。③律令官人文学としての性格を有する。④京と地方をつなぐ文学としての性格を有する。という説明から始まる。

これだけ読んでも、何のことかわからないが、読み進めるにつれて、その言わんとすることが、理解できるようになっている。

万葉集というと和歌集というイメージだが、記紀と同様の、歴史書的な意義も大きい。そして、それは、中国との関係を抜きにしては語れない。
もちろん、漢字を、日本語を表現する文字として使い始めた時期、その試行錯誤が、よく表れているが、平安時代までに定着化する端緒になっている。そして、このような和歌集を作ること自体、中国で行われたもの(文選)の追随であることにも、気づかされる。
和歌の分類方法も、中国の歌集を参考にしている。

地方の歌もたくさん収められているが、あくまでも、都を中心にしており、地方の歌が含まれるのは、律令政治が始まり、中央の官人が地方に赴任するようになったことが、大きなきっかけになっている。それまで、地方では、漢字を読める人は、ほとんどいなかった。

万葉集という名前自体、定説はないという。”よろずの言の葉”と解する説と、万葉は、”万世、万代”を意味する説があり、その両方をかけているという説もあるそうだ。
平安時代には、古い歌集ということで、すでに歴史の中にあった万葉集だが、それと、新たな和歌と対比させながら、古今和歌集が編纂された。そして、現代まで歌いつながれたということは、そこに収められた和歌のレベルの高さにあることは、間違いない。

万葉集を読む際、そのベースを押さえておきたい方にうってつけの良書。
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