
本書も復刻盤。
全部消えてしまったのなら間違いで、削除ということもあるかもしれないが、表題と写真と拍手は、残っているので、何が起こったのか、まったくわからない。
本書は、新聞の広告で、知ったのだが、著者は、かつて読んだ「興亡の世界史(シルクロードと唐)」の著者の森安さんだった。
まず、最初に世界史の視点の変更を迫られる。いわれて見るとその通りで、我々が習った世界史は、中国史であり、西欧史なのだが、実は、世界史の真ん中は、シルクロードにある。
その後、しかもADになってから、勢力を得た地域を中心の世界史を学んでいるので、シルクロードは、辺境の歴史となってしまっている。
中国から見た匈奴など典型で、中国を支配した期間はむしろ草原の民による期間の方が長かった。これは、騎馬の力が強い。
その他、中国が誇る文明も中華ではなく、シルクロードで発明されたものが多い。
前置きが長くなったが、本書で改めて気づかされるのはソグド人の影響の大きさ。
そして、マニ教という今は、忘れ去られた宗教が、栄えていた時代があったこと。
シルクロードによって、キリスト教、ゾロアスター教と共に伝わった。
その昔は、キリスト教と肩を並べるほどの隆盛を極めた。
ソグド人については、ソグド文字が発見され(森安氏はその解読の第一人者だという)、その生活振り、組織、思想などが、少しづづ明らかになってきている。まさに、シルクロードの繁栄を支えた民族だった。
何故かペルシャ人と混同されるようになり、埋もれていった。
正倉院御物にも、誤って解釈されている可能性があるという。
そして、マニ教は、なんと日本に伝えられた仏画に紛れ込んでいて、21世紀になって、次々と発見されたのだという。キリスト像ではないかと考えられたこともある。
シルクロードのダイナミズムを感じさせてくれるすばらしい書。