本書は、本屋で見つけた。
でたばかり。
なかなか面白かった。
唐から律令制が導入された8世紀、戸籍制度が、有名無実化していたという本は、読んだことがあったが、それをまとめる側の官僚側もぐたぐただったというのが、本書。
律令政治というと、天皇がいて、上級官僚、下級官僚がいて、庶民がいてというイメージだが、実態は、きちんとやっていたのは、一握りの上級官僚のみであったらしい。
例えば、天皇に拝謁する儀式など、サボる官僚続出、代返も横行していたという。
遅刻も当たり前。
それに対する罰則も緩く、天皇側も、嘆くものの、なす術がなかったのではないかという。
中国では、儒教的考え方が、根付いていたが、日本は、全くそのようなベースもなかった。
そこに、枠組みだけ入れても、ワークする訳がない。
地方を束ねる国司も重要なポストだが、任命された後、すぐいろんな理由を付けて、解任を願い出るものが多かったらしい。
これは、中央では、出身身分で、出世の限界があったので、国司で一定の身分を得た上で、解任後は、仕事は、しないという状況だったという。
そのまま国司として働いた場合も、ごまかしは、日常茶飯事。
とてもではないが、律令体制と呼べるようなものではなかった。
本書では、そこまでは、述べていないが、武士による政治に移行した根っこの原因になって行ったのだろう。
あまり表で議論されることのない、あまり触れられたくない、当時の官僚の実態に踏み込んだ本書に拍手。