かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

渋沢家三代

2021年08月06日 | Books
ワクチン接種四日め。
腕の痛みもほぼ治まり、後は、2週間待つのじゃぞ?
感染者数は大幅に増えており、入院者数も増えつつあるが、年齢別感染者数、死者数はあまり報道されない。
若者中心、死に至らないウィルスになりつつあるのかもしれないが、それを言ってしまうと緩むので、オリパラが終わるまでは、この調子でいくのか?



本書の存在には気づいていたのだが、ずいぶん前に出た本だし、見送っていた。
先日の書評で、ビビる大木氏がほめていたので、ゲットしてみた。

最初に出たのは、1998年で、某銀行の不祥事から話が始まるのには、苦笑したが、なかなか面白かった。

流石、佐野さん。
前半は、澁澤栄一の話が中心で、近時多く出ている伝記本の内容と被るが、途中から、その子供の篤二、そのまた子供の敬三の話が中心になる。
栄一が、子供たちに、特に厳しい教育をしたわけではないのだが、親があまりに偉大で、また放っておかれ、息子の篤二は、自滅していったようだ。
その息子の敬三は、その父を見て、自分の世界を作ろうと努力したが、敗戦後、結局、その苗字のために人生を捧げることになってしまった。

取り巻く環境も違うし、妾に対する世間の見る目も現在とは違うが、栄一の奔放な女性関係もこの一因にはなったかもしれない。

本書で凄いのは、澁澤家の公式記録には残されていない闇の部分を、いろんな資料、インタビューを通じて、掘り起こし、より真実に迫っているところだ。
例えば、あまりにも忙しくて、息子の篤二の面唐ゥれなかった栄一の親代わりになった娘の穂積歌子の日記の未公開部分、当時の電話帳や、土地の登記簿、篤二の妾の周辺への聞き取り等、執念がないとなかなかできない調査を行っている。

金持ちの息子だからと言って、勘当されるまで放蕩した篤二の真の心はわからないが、やはりプレッシャーだったのか。それとも、精神系の病だったのか。

東の家が移築されて残されていたことも知った。
今もあるのだろうか。
東の家と中の家との確執なども、最近出ている本には、あまり描かれていない。
澁澤敬三氏の民俗学の研究が、昨年行った民博の基になったことも初めて知った。
敬三氏は、日銀総裁ちまでなった方で、満ち足りた人生を送ったと思っていたが、そうではなかったようだ。

今の澁澤ブームが起こる前に出た、澁澤一族の影の部分にも触れた1冊として、澁澤家に興味のある方、お金持ち過ぎてその使い方がわからない方?にお勧めできる。
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原子心母 来日記念!!

2021年08月05日 | Music

第2回ワクチン接種3日め。
熱は下がったようだ。
注射痕がまだ痛むが、直に収まるだろう。



1971年8月6日と、7日に、箱根で開催されたアフロディーテフェスティバルにちなんで、そのヘッドライナーとなったピンクフロイドの原子心母、来日50周年盤が出た。
原子心母のCDと、アフロディーテのピンクフロイドの演奏や、来日時の新発見映像をミックスしたBDがついている。
特に、映像の方は、今まで、どこにあるかわからなかったもので、超貴重。
2曲分が収められている。
全部で20分足らずで、やや短い感じもするが、当時のカラーフィルムが残されていたこと自体が奇跡。

付録も豪華で、アフロディーテフェスティバルが、いかに斬新な企画であったかがわかる。

とにかく箱根の野外。
ステージは、まるで掘っ立て小屋で、たどり着くための道は、ぬかるみ状態。
まるで、ウッドストックだ。
映像を見ると、雨上がりで、背景の山々には、霧がかかって、幻想的な雰囲気になっている。

そこで、伝説的な演奏を残したピンクフロイド。
前衛的な演奏で、観客がどこまで理解したのかわからないが、歴史を作ったことに間違いない。
30分にも渡るチューニングを、演奏が始まったと勘違いした客もいたという。



ジャケットの内側はこんな感じで、当初のジャケットを再現。



箱根の後で、行われた大阪フェスティバルホールでのコンサートのちらしのレプリカ。
最初の来日では、唯一のホールコンサートだった。
このコンサートの出来もよかったという。  



アフロディーテのちらし。
なかなか芸術的。



裏には、会場のイラストがあるが、まるで、学芸会。
ネットで、アフロディーテの思い出を綴ったネットブックが見れるようになっており、それによると、今も空き地になっているようだ。
箱根神社の裏手にあたり、今でも成蹊学園の寮があるようだ。
結構な分量で、読むのがたいへんなので、こちらも冊子につけて欲しかった。



チケットのレプリカ。



こちらは、当時のパンフのレプリカで、ミュージシャンの紹介などが続いている。
ミュージシャンは、歌謡曲からフォーク、ジャズ、ロックと多彩。
これで、かぐや姫のオリジナルメンバーが、高節さん以外、別人であったことを初めて知った。
後半は、解説になっており、福田一郎さんが、プログレは、ピンクフロイドと、ムーデイブルースのみと言っている。
本コンサートと関係のないグランドファンクレイルロードの伝説のコンサートの話や、中村とうようさんも、コンサートとは一見関係のない解説を載せている。
亀淵さんは、海賊版の話で、これまたコンサートとは直接関係ない?



此方は、原子心母のCDのパンフ。
まぁ、前衛的。
彼ら自身も何を演奏しようとしたいのか、手探りで、まとめ上げたのではないのか。
それを、ステージで再現するのだから、凄い。
そこから、狂気につなげていったことにより、神になった?



おまけのデカジャケ。
ジャケットも含めて、ディープなコンセプトアルバムだ。

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持統天皇と男系継承の起源

2021年08月04日 | Books
昨日の2回目のワクチン接種でやはり、腕が痛い。
微熱もあり、この程度で収まってくれるといいのだが。
そういいつつ、昨日のサッカーのスペイン戦は最後まで見てしまった。
今朝の新聞を見ても、日本への批判は少なく、健闘を称える評価の方が多かった。
まさに死闘だったが、願わくば、PK戦までもつれ込んで、勝利が転がりこんでくれば、なおよかった。
今日の野球はどうするか。



本書は、本屋で、見つけた。
5月に出たばかり。
武澤さんの本は、かなり読んでいるが、本書も面白かった。
元々建築専門の方で、論理的な書きぶりが楽しい。
本書は、そういった意味では、珍しく文系の分野に深く切り込んでいるのだが、古代の家の構造、都市計画等の話も織り交ぜ、当時の大きな流れを分析している。

前半は、持統天皇に絡めて、当時の王朝は、男系ではなく、双系であったと断じる。双系はあまり聞きなれない言葉だったが、男系、女系、双系は、従来より使われている言葉だそう。
持統天皇は、天武天皇が崩じた後、天皇となるのだが、そこからの血への執着は、並々ならぬものがあり、藤原京遷都、伊勢神宮まで巻き込んで、持統の血筋が王家を継いでいく仕組みを固めて、亡くなった。
そのブレーンは、藤原家だったのだが、藤原家の本音は、違うところにあり、持統天皇が敷いたレールをことごとく、ひっくり返していく。

双系から、男系に転じたのも、天皇家ではない藤原家が、王朝に入り込むのに、男系の天皇に、藤原家の后を次々と送りこむことが好都合であり、実際、次々と、時には、強引に政略結婚を進めていった。
持統天皇やそれを継いだ天皇も、強引さでは負けないが、持統天皇の意思を継ぐものが、同じく、血に強いこだわりを持つ藤原家であったのは、誤算だった。

長屋王の変(実際冤罪と続日本記が認めているのだから、この呼び方はおかしい)、平城遷都等を敢行し、オセロのように、持統天皇の施策をひっくり返し、その後、近代まで続く、藤原家繁栄の礎を築いた。

その経緯、特に、血からの考察も丁寧になされていて、本当に、当時の人々がそこまで拘りが強かったのかはわからないが、結果として、そのおどろおどろしい様子が、クローズアップされている。

飛鳥時代から、奈良時代までの、古代史を、持統天皇と藤原家という切り口で、男系・女系の議論も交えて、考察した好書だと思う。

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金澤町家 改修と活用

2021年08月03日 | Books
今日は、ワクチン2回目接種だった。
これから、副反応がどれくらい出るかわからないが、ひとまず、安心。



本書は、この6月に出たばかり。
金澤の町家についての、改修例、活用例等を紹介している。
なぜ、このような特殊な本が手元にあるかというと、実家が本書で紹介されているから。
実家の改修を見て、自分の家を再生した方の例も紹介されている。

金澤は、空襲に遭わなかったため、戦前からの建物が多く残された。
しかし、開発によって、どんどん古い家は、取り壊され、新たな建物、ビルに建て替えられた。
その開発が、金沢の街の良さを失わせているとして、町家を保存しようというプロジェクトが、官民一体となって始動。
一定の成果を上げていて、その成果の一端が本書にまとめられた。

東茶屋街、西茶屋街等、まとまって残された地域もあるが、特殊なケースで、ほとんどの町家が、街中に散らばっており、様々な改修、活用がされている。
ただ、残念ながら、ぽつんぽつんという感じ。

田舎に古い家をお持ちの方には、参考になる本だと思う。
維持したとしても、活用されなければ、単なる博物館でその後の維持も難しい。
改修した上で、活用がされなければ、サステイナブルではないということ。
本書は、その課題の解決策を多く紹介している。
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シルクロード 仏の道をゆく

2021年08月02日 | Books


本書は、日経の書評で知りゲット。
今日経で連載中の安部さんの本だから取り上げられたのかもしれないが、写真満載のシルクロード紀行で楽しめた。

シルクロードは、なかなか行きにくく、それがロマンとなって、憧れのエリアになっている。
私も一度行ったが、すばらしくて、また行きたいと思っているのだが、それから15年、まだその機会に恵まれない。

安部さんは、小説のネタ探しを口実に、出版社の編集者とコロナ前のシルクロードを2度に分けて訪問。
その記録が本書。

ひじょうに読みやすい。
我々が書くだろう紀行文を、ディープにした感じ。
時間が取れれば、また、有能なガイドが得られれば、本書は、たぶん書ける。

しかし今となっては、難しい。
まずは、コロナ。
どこで、どう広まっているか、特に中国国内では、わからない。
そして、新彊ウィグル地区の問題だ。

私が、行ったころは、チベットは、かなり制限を感じたが、ウィグル地区は、あまり制限を感じなかった。

ところが、この紀行では、ウィグル自治区でも、たびたびトラブルに遭遇している。
事前に許可を取っているのにも関わらず、通過できなかったり、通過するのに、数時間かかったりというトラブルが多発する。
ウィグル地区への、海外メディアの侵入を妨げようとする中国当局の意向を忖度した地方役人の怠慢か、いやがらせかと思われる。
ここに中国の現実を見た。

紀行文部分については、うらやましい限り。
特に、ウルムチ以西については、異邦感が強い。
それこそ、私が、NHKのシルクロードを見た時の衝撃のエリアだ。
将来の小説のネタばれにならないことを祈る。
編集者は、鳩摩羅什の小説を書いてもらいたい意向らしい。
なかなか、情報が少ない方で、たいへんだとは思うが。

中国は、漢民族の国と漠然と思っていた常識が覆された。
インドほどでもないが、特に、北方民族は、中国の支配側にもなっている。
内モンゴル、チベット、ウィグル。
なかなか、難しいが、他民族国家は他にも多くあり、どうにかならないかと感じるのは、私だけではないだろう。

本の話は、あまりできなかったが、シルクロードの魅力をコンパクトに感じたい人向け。
より専門的かつ、わかりやすい本は、多い。
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