かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

経済はロックに学べ!

2021年08月13日 | Books
秋雨前線が活発化し、梅雨明け前のような荒天の様相を呈してきた。
とうことで、明日のゴルフは、早々にキャンセル。
コロナも相変わらずだし、じっとしていよう。



本書の原題は、ROCKONOMICS。
ロック好きの経済学者の本。
バラク・オバマ絶賛とあるが、オバマ政権のブレーンを務めた学者だそうだ。
私よりも1歳若いにもかかわらず、本書を仕上げた直後(2019年)に自殺されたそうだ。
何かあったのだろうか。

末燗チ徴があるが、見たらかなり前に読んだ”ヤバい経済学”と同じ訳者だった。
”オールザットジャズ”を”あれやこれや”と訳す感覚は、只者ではない。

本書は、一言で言うと、音楽業界の経済の成り立ちを、データや証言から探ってまとめた本だが、我々が、目の前で見ているように、そのビジネス環境は、刻刻と変わっており、これは、現実の経済と同じスピードで変化していると言える。

目の前で進行中なのは、ストリーミングだが、これも価格設定の方法、CMの入れ方、印税のレベルなど、試行錯誤が続いている。
日本は、保守的なリスナーが多く、USAに次いで、CDなどより高い媒体に一番お金を使っているそうで、まさに私のような音楽ファンが多いのだろう。

ツアーのコスト構造やら、グッズのコスト構造やらもかなり細かく分析されているが、音楽の世界でも、貧富の差が広がっている。
チケットの価格設定の方法、ダフ屋の問題をどう考えるかなど、卑近なトピックにも言及。
日本は、転売防止対策、本人確認など、比較的できている方のようだ。
中国は、まだまだ現金でチケットが売買されるケースが多く、とんでもないレベルの不公正な取引が横行しているという。
デジタル技術の発展によって、ロングテイルにも陽が当たると言われていたが、それは、幻想だったと分析している。

バンドワゴン効果(人気者は、ますます人気者に)とか、新たな経済用語も勉強できた。

著作権問題、マネージャーとの契約の問題にも触れているが、これは、ビートルズの楽曲の著作権、マネージメント契約の問題等で、勉強済?
クイーンもマネジメント問題ではたいへん苦労したグループの一つだ(映画で勉強した)。
ビリージョエルもたいへんな目に遭ったそうだ。

盗作問題も取り上げられるが、音楽の世界は、インスパイアを繰り返し発展して来た経緯があり、盗作とインスパイアの間に線を引くのは難しい。
疑問のある判例も、示される。
ただ、この問題に、経済学者の出る幕はないか?

ひじょうに面白かったが、音楽ファン向けというよりは、経済に興味のある方向けと言えるかもしれない。

著者のご冥福をお祈りする。
コメント
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