CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

天下騒乱

2010-10-11 18:54:05 | 読書感想文とか読み物レビウー
天下騒乱  作:池宮彰一郎

久しぶりにハードカバーを読みました
ずいぶん古い本でありますが、なんとなし
時代劇に飢えていたこともあって
かの有名な、鍵屋の辻を題材とした時代小説であります

鍵屋の辻事件というのは、何年か前に
大型時代劇特番でやってたような覚えがあると
その程度の知識しかありませんでしたが
どうにも、二代将軍から、三代将軍にかけての頃、
柳生でいうと、光巌十兵衛が華やかなりしころであります
そもそもどういう事件であったか
また、当時がどういう情勢であったかと
そのあたりの勉強になるというと
方々から叱られるのでありましょうが
かいま見られたように思うのであります

ばらばらと、会社の行き帰りに読むには
ちょっと入り組んだ事件でありまして
ようは、敵討ちの話なのでありますが、
その敵討ちが容易ならざる内容でありまして、
旗本一統と、外様大名のメンツをかけた、えらい大騒ぎに発展しているという
なかなか興味深いところ
また、これを解決するために、老中土井様が
暗躍につぐ暗躍といったあたり
私はよく知らないが、一世を風靡した時代劇の息吹というか
臭いを感じ取るに十分な濃厚な物語でありました

主人公がだれかというと、
これは定まっていないという、珍しい小説でありまして
そもそも、鍵屋の辻事件といえば、荒木又右衛門が主人公に
思えてならないところでありますが、
そこまで、中心に据えられたという感じは覚えず
たぶん主人公だったのでありますが
心象描写が少ないせいか、ぼつぼつと事件がすぎていき
それにまつわる、様々な人物が台詞をしゃべるという
どこか、脚本めいた感じだなと感じた次第
だからこそか、この事件そのものがよくよく描かれていて
面白かったのであります

時代劇として、鍵屋の辻の大乱闘がメインだと信じてやまなかったわけですが、
読み終わってみると、その部分は意外とというか
思った以上にあっさりとしておりまして、
エンターテイメント的な、斬った張った、殺陣の応酬といった
そんな作りになっていないのが意外でありまして
長い歳月に、関わった人々が意地をかけて、それに倦むような
そんなけだるさを漂わせつつ、敵方と策謀をかけめぐらせたあと
荒木側がその策謀に勝ったといったところでありました

あんまり爽快感みたいなのがなかったのと
もっと殺陣を期待していたのが違ったことがあって
なんだ、もう終わりなのかと、ちょっと読み終わってから
残念に思いましたが、それはそれ
十分に面白い時代小説であったのでありました

と、これを読んでから、
また別の機会にレビウろうと思っておりますが
十三人の刺客という映画を見ておりまして
あろうことか、原作が、この池宮先生であり
題材が、きわめて似通っている
そのあたり、なんというか、面白かったので
また、別途メモろうと思うのであります