CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】失踪者

2017-02-22 21:00:36 | 読書感想文とか読み物レビウー
失踪者  作:下村 敦史

読み終わったら、いっぱしの登山家になったような気分に浸れる
ステキな小説でありました
8000m級の山々に挑む登山と、山男の友情が描かれた
読み終わってかっこよかったと思える一冊であります

自分の失敗によって山で死なせてしまった相棒のなきがらを迎えに行く
その亡骸が、死んだ時よりも年齢を重ねている状態だとわかり、
謎ときが始まるといった様相でありまして、
それまでの話と、今の調査探索とを
いったりきたりしながら、友情を描き出していくといったらいいのか、
こういう話の筋は嫌いじゃない、むしろ、好きだなぁと
読み終えて、ほれぼれしたのでありました
面白かった

正直なところ、実に早い段階でトリックではないが、
からくりは見えてくるわけなのでありますけども、
それは置いといて、山男たちの生き様というか、
成功と挫折、嫉妬と怨嗟、そして友情といった
人間性がありあり描かれているのもステキでありまして
男は語らずに行動で見せるというような
古臭いかっこよさが、また、山男という職業、行き方とあいまって
説得力があるように読めて
大変面白かったのでありました、凄いわ
もしかしたら本当にこんな人たちばかりなのかもなんて
夢を見られる感じがする

まぁ、実際の山登りはこんなはずもないのでありましょうが、
人類がそうそう簡単に足を踏み入れられない場所への挑戦というのが
様々な思惑、栄誉というものに彩られているんだなと
改めて思い知るというか、そういうことは
登山でなくてもあるよなぁと、
世間を思い起こさせる展開だったのでありました

何せ山登り描写が大半だけども、
そこで凄さというのを伝えてくれる行動や言動があって
楽しく読み薦められたので、
そこらの山とも呼べないところをふらふらしている身分としては
刺激的な読書であったと
満足げに読み終えることができたので
ありましたとさ