CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】世界を変えた10のトマト

2023-06-28 20:55:11 | 読書感想文とか読み物レビウー
世界を変えた10のトマト  著:ウィリアム・アレキサンダー  

タイトルは10のトマトだが、別に10個のトマト品種が出てくるわけではなく、
いや、数えたら10個くらいかもしれないんだが、
実際に世界を変えたといえそうなのは、ビッグボーイとサンマルツァーノくらいで、
大半はトマトと人間とか、トマトの歴史とか、そういった感じで
大層面白い本でありました
読み応えとしては、ピザとケチャップの話が3分の2くらいで、
残りは歴史書だった

ピザというものの流行、とりわけ、アメリカにおけるピザというものの尊さというか、
そのあれこれがすごく面白くて、
イタリア南部の貧困の象徴だったようなピザが、様々な逸話によって世界的に気に入られて
アメリカを席巻していくみたいな感じで、ピザの歴史面白いとか、
ハインツがどうやってケチャップを作って、そして世界を席巻していったかとか
そういう近代の企業物としても読みごたえがあってすごくよかった

トマトがどこからやってきて、どうやって気に入られたか
その歴史が、ずいぶん古いのに300年くらい見向きもされなくて、
観賞用の不気味な植物扱いだったとか、色々と面白い歴史を経めぐっていくんだが
ともあれ、トマトの美味しさというものに魅入られて、
ところが、大量消費時代に入って、美味しくないトマトが山ほど出回るようになった
その犯人は誰だ、消費者だとか、そういうありがちな近代史というか
人間社会への皮肉も決めつつ、なんだかんだ、トマトを栽培する、消費するということ全般に
あれこれ書いていて、大変ためになったのでありました

最終的には、最新の施設栽培の現状もリポートされていて、
ロックウールを使った水耕栽培で、とんでもない大きな木を育てて、山ほど収穫しているオランダ方式やら
これまた読み応えがあってよかったのである
あれは、実物見ると、マジびびるから実によいと思うのでありました
ただ、翻訳の間違いだと思うんだが、ハウス内にスズメバチを放ってると書いてあるんだが、
そんな危ないことしてなくて、コナジラミとかコナガを叩くためなら、
いわゆる寄生蜂であるwaspを使ってんじゃないかなと、ちょっと知ったかぶりを書いておくのであった

久しぶりにがっつり面白いものを読んだと満足である