CLASS3103 三十三組

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【読書】傑作はまだ

2019-11-04 21:35:32 | 読書感想文とか読み物レビウー
傑作はまだ  作:瀬尾 まいこ

奇妙な父子の物語でした
ファンタジーというわけではないのだけども、
現代社会を舞台にしつつ、世俗と離れても案外生きていられるなと、
その日暮らしを続けていた作家のもとに、
十数年前に一度だけ関係した女性との間に出来た子供がやってくると、
まぁそんなふりだしの物語だったんだが、
この世俗から離れている作家のおっさんというか、爺さんというか、中年が、
息子を通して、無理やり世間に放り込まれていくような
そんな物語でありました

正直なところ、こんな生き方をしている人間が、
物語内に出てくる、人間の深層を描くような小説を書けるものか?と
そんなことばかりが気になって仕方なかったんだが、
よくよく考えると、引きこもりで芥川賞とった人がいたなと、
もしかしたら、ああいう人がモデルなんだろうかなどと、
あまり物語と関係ないところが気にかかってしまった

ハートウォーミングというほどでもないんだが、
ほんわかとしつつも、なんだか始終よい話で、
起伏はさほどなく、小説家がだんだんと世間に馴染んでいく姿が
ちょっと面白いと思えたりしたわけなんだけども、
なんとなし、これを切欠にして、
この小説家は、小説が書けなくなるんじゃないかと
妙な心配をしてしまったり、やっぱり、あんまり本筋を読んでないと
反省してしまう読書となったわい

オチ部分は、結構いい話しというか、
そんな込み入った事情とかもなく、割と自然な形で、
そういういきさつがあったのかなんて思えたりして
ほのぼのと終えられるのはよくて、
なんとも、さらりと読めて、のほほんとできた
そんな刺激というのではない、
ぬるま湯に浸かるような読書ができたのでありました
肩肘はらなくてよいというのが
よかったように思うのである


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