谷から来た女 作:桜木紫乃
アイヌを扱った現代小説
アイヌにルーツを持つ少女が、
伝統素材をリメイクしたオリジナルのアート作品で注目を集めつつある、
その周辺や過去の話しが連作短編になっていて、
一言では言い表せない強いメッセージ性のある物語になってて、とてもよかった
ありていな言葉にしてしまうと、
アイヌという出自においての被差別という問題を扱っているんだが、
そういう「問題」とした取り上げ方が、そもそも、シサム(アイヌの言葉での本土人)の言い分や、
その地位からの言葉でしかないということを喝破しつつ、
作られた被差別みたいなのではない、出自と関係なくあるものを信じる
そういう強さを描いていた
まぁ、この強さという言葉もまた、どこか立場が違う人間の言葉でしかないと
随分ばっさりやられてしまうけども、
確かにそうだよなと、いわゆる被差別というものを語るときは、
当事者以外は全員が他人事で、それぞれの思惑のこもった
事実と異なることをうたうものだなと気づかされるのでありました
まぁ、そんな難しい話しを書いているというよりは、
ただの現代恋愛小説みたいな雰囲気で、実際そういう色恋があり、
惚れた晴れた、逃げた追ったみたいな話しが続くのだけど
その背景というか、気づくと、上述したような問題が
静かに近づいてくるといった感じで、押しつけがましくなく、しっかりと問題をとらえていて
凄い小説だと舌を巻いたのでありました
問題はあるが、その根幹がどこにあるか、
何がそうなのかを見極めて語ることの難しさ、
他人ごとを自身のように騙ることの愚かさというか
気づかぬ刃があると気づく物語であった
凄くよい小説だ
アイヌを扱った現代小説
アイヌにルーツを持つ少女が、
伝統素材をリメイクしたオリジナルのアート作品で注目を集めつつある、
その周辺や過去の話しが連作短編になっていて、
一言では言い表せない強いメッセージ性のある物語になってて、とてもよかった
ありていな言葉にしてしまうと、
アイヌという出自においての被差別という問題を扱っているんだが、
そういう「問題」とした取り上げ方が、そもそも、シサム(アイヌの言葉での本土人)の言い分や、
その地位からの言葉でしかないということを喝破しつつ、
作られた被差別みたいなのではない、出自と関係なくあるものを信じる
そういう強さを描いていた
まぁ、この強さという言葉もまた、どこか立場が違う人間の言葉でしかないと
随分ばっさりやられてしまうけども、
確かにそうだよなと、いわゆる被差別というものを語るときは、
当事者以外は全員が他人事で、それぞれの思惑のこもった
事実と異なることをうたうものだなと気づかされるのでありました
まぁ、そんな難しい話しを書いているというよりは、
ただの現代恋愛小説みたいな雰囲気で、実際そういう色恋があり、
惚れた晴れた、逃げた追ったみたいな話しが続くのだけど
その背景というか、気づくと、上述したような問題が
静かに近づいてくるといった感じで、押しつけがましくなく、しっかりと問題をとらえていて
凄い小説だと舌を巻いたのでありました
問題はあるが、その根幹がどこにあるか、
何がそうなのかを見極めて語ることの難しさ、
他人ごとを自身のように騙ることの愚かさというか
気づかぬ刃があると気づく物語であった
凄くよい小説だ