技術会議の提言では、食の安全・安心は、守ることが出来ません。
昨日2/6、築地市場の移転候補地、豊洲の土壌汚染の土壌処理対策を検討する「技術会議」の最終報告が提出されました。
本日の新聞各紙に取り上げられていると思います。
「技術会議」の土壌汚染に向けた提案は、一言でいうと「安かろう、悪かろう」の提案です。
以下に、理由を述べます。
なお、これら理由については、「市場を考える会」が、技術会議の最終報告を受けて、同日記者会見を行いました。都庁の記者クラブにおいて、一時間以上に及んだ記者会見がございましたが、その折に、話された内容も参考にして書いています。
一、密室の中で進められた会議であること
東京都は、会議内容を公開していると述べていますが、どうみても密室の中で、非公開に会議を進めています。
座長以外、誰が委員であるのかすら、昨日のプレス発表まで明かされませんでした。
議事録は、最終報告を迎えた昨日の段階でも、一切公開されていません。
ベンゾ(a)ピレン問題や不透水層欠落問題など朝日新聞のスクープ記事でもお分かりのように東京都に情報の隠蔽体質がある以上、様々な不都合を隠すため密室で会議を進行させたと疑わざるをえません。
科学技術の検討は、万人監視の公開のもと実施すべきであり、非公開で進められたこと自体、この会議の結論の信用性が疑われます。
一、 会議の中立性が担保されていない
会議の座長を務めた原島文雄氏は、首都大学東京の学長に就任を予定されており、東京都と密接な利害関係を有しています。
このような座長のもとになされた検討結果が、果たして中立な結論を導き出せるでしょうか?
なにがなんでも移転を強行したいと考える東京都側に立った結論を導き出すと誰もが疑うわけであり、中立性が担保されていない以上、この会議の結論の信用性が疑われます。
一、 そもそも座長は、土壌汚染の専門家ではない
会議の座長を務めた原島文雄氏の現在の肩書きは、「東京電機大学 未来科学部 教授、システムエンジニアリング」となっています。早い話が、「ロボット工学が専門の電気工学者」ということです。
ロボット工学という畑違いの方が、土壌汚染処理の検討を進める会議の座長をすること自体に無理が見られます。この会議の結論の信用性が疑われます。
なお、昨日提出されたその他の構成メンバー6名の経歴は、座長代理をつとめられた矢木修身氏は、日本大学大学院総合科学研究科教授で専門は水環境制御。安田進氏は、東京電機大学理工学部教授で専門は地盤工学。長谷猛氏は東京理科大学工学部工業化学科卒業後、東京都に入都された方。小橋秀俊氏は独立行政法人土木研究所 つくば中央研究所技術推進本部 主席研究員で専門は土木。川田誠一氏は、産業技術大学院大学 産業時牛津研究科教授で専門はシステムエンジニアリング。根本祐二氏は、東洋大学大学院経済学研究科教授で専門はプロジェクトマネジメント。
一、「専門家会議の提言の具現化」という当初約束された方向性から外れた検討結果を出してきている
技術会議は、先立って開催された「専門家会議」の提言を具現化するためには、どの技術を実際に用いたらよいのかを検討することが約束されていました。
実際に比較いただくとわかるのですが、汚染地下水の流れを制御するために建物下空間と外部空間の隔離壁を省略したり、現地の土壌を、浄化済みと称して入れ替え用の土壌に転用するなど、「専門家会議」が出した提言と、「技術会議」が出した結論が全く異なっています。
「技術会議」は、当初約束されたように「専門家会議の提言の具現化」を目指すべきであり、その提言からずれた結論は、食の安心・安全やその場所で働く市場関係者の健康への影響の安全性が担保されているとはいい難いと考えざるを得ません。
一、「有楽町層が不透水層」という一番の大前提が崩れている
土壌汚染の処理にあたり、大前提として「有楽町層」は“不透水層”であり、汚染は、その下に広がらないということがありました。
1/26、1/27と朝日新聞がスクープ記事が出されてお分かりのように、不透水層の有楽町層が確認できない箇所が数箇所存在したり、別に、実際に有楽町層があった場所でさえ、汚染が進んでいる箇所が数箇所存在していました。
「有楽町層」は“不透水層”で汚染が広がらないとして、詳細な土壌汚染調査はなされておりません。どれだけ深刻な汚染があるか、誰もしらないまま、対策を強引に進めようとしているのです。
土壌汚染は、深層部まで深くひろがっていると考えるのが、一般的な考え方と思います。
このままでは、食の安全・安心やその場所で働く市場関係者の健康への影響の安全性を担保とした土壌汚染処理がなされると信用することはできません。
一、 地盤の弱い土地では、土盛り後、地盤の安定を確認するために2年間放置する必要があるが、整備方針のスケジュールにはその期間の想定がまったくない
建築工事のあり方では、常識となっていますが、地盤の弱い土地では、土盛り後、地盤の安定を確認するために2年間放置する必要があります。実際に、豊洲移転候補地では、その期間経過をみた場所が存在しています。あらたに土壌の入れ替えを行うわけであり、その後、地盤の安定をみる期間が2年間必要であります。
この期間をもたずに、スケジュールでは、土壌汚染対策工事20ヶ月後、“即”建築工事開始となっていますが、このスケジュールの出し方自体に無理があります。
このようなスケジュールを出してきたこと自体、技術会議の結論の信用性が疑われます。
一、 有効性が立証されていない“新技術”を採用している
「最先端の新たな技術・工法の採用」と銘打っていますが、“最先端”とは、すなわちそれだけ、使用経験が少ないということです。それを安易に採用しすぎています。
土壌汚染の微生物処理が果たして有効であると立証されているでしょうか。東京ガスによる以前の土壌汚染処理でも微生物処理が採用されたにも関らず、これだけベンゼンの汚染が残っている事実が現に存在しています。
“最先端”の技術・工法が有効であるという根拠をきちんと示さずに、採用するのは非常に危険であると思います。根拠なしであるが故に、食の安全・安心を担保した土壌汚染処理がなされると信用することはできません。
などなどが、会議の議事録が出ていない現段階での検討結果です。
今後、いまだ出していただけない議事録をなんとしても入手・分析し、技術会議の経過を、十分に検討する所存です。
ちなみに、しきりに東京都は、築地市場廃止、豊洲新市場開設を“決定事項”のように述べておりますが、事実無根であります。
その根拠を述べます。
中央卸売市場は、「中央卸売市場整備計画」に基づいて設置されると「卸売市場法」に定められています。そしてその「中央卸売市場整備計画」は農林水産大臣が定めます。築地の豊洲移転計画は、平成17年(2005年)三月に第八次中央卸売市場整備計画の中で書かれています。その整備計画を定める際には、「食料・農業・農村政策審議会」の意見を聞くことになっています。
第166回国会の環境委員会で明らかになったことですが、豊洲移転については、平成17年(2005年)3月17日の一日だけ開催された同審議会の分科会である「総合食料分科会」で議論されました。その「総合食料分科会」では、「汚染土壌と食の安心、安全」という議論は一切なされなかったと佐藤政府参考人は認めています。そもそも分科会には、土壌汚染の関係の専門家は入っていませんでした。よって、審議会で議論の欠けていた土壌汚染については、「東京都の動きを踏まえ、また環境省とも連携して取り組むと」農水省が断言しています。
以上の経過からわかりますように、今後土壌汚染のことがきちんと審議され、「卸売市場整備基本方針」に謳われている「食の安全・安心」が担保されて「築地市場の豊洲移転」は初めて“決定”されることになるわけです。
まだ、決まったことではない以上、食の安心・安全を守るため、世界のtsukijiブランドを守るため、都民の“食文化の象徴”としての文化的遺産を守るため、今こそ立ち上がるべきであると考えます。
なぜ、築地市場を破壊してその土地を売却し、その代金を国内最大級の汚染地を民間の特定私企業から買い上げ、移転や汚染対策の費用に注ぎ込む費用に充てねばならないのでしょうか。
それは、市場関係者をないがしろにし、都民の利益を損ね、単に事業を受注する企業を潤すだけの失策です。
築地市場の現在地での再整備は、十分可能です。今、あらためて真剣に考えようとしていないだけの話です。
現在地での再整備を実現し、築地の活気とにぎわいをさらに発展させ、銀座などの周辺地域の連携により、日本の食文化の中心として、さらには、都心商業の一大集積地として繁栄に導いくことこそが、選択すべき道だと考えます。
平成21年2月7日
文責 中央区議会議員 小坂和輝
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/
連絡先 03-5547-1191
*なお、上記意見は、2/7中に、築地市場水産仲卸全760社の皆様にお伝えいたしました。
昨日2/6、築地市場の移転候補地、豊洲の土壌汚染の土壌処理対策を検討する「技術会議」の最終報告が提出されました。
本日の新聞各紙に取り上げられていると思います。
「技術会議」の土壌汚染に向けた提案は、一言でいうと「安かろう、悪かろう」の提案です。
以下に、理由を述べます。
なお、これら理由については、「市場を考える会」が、技術会議の最終報告を受けて、同日記者会見を行いました。都庁の記者クラブにおいて、一時間以上に及んだ記者会見がございましたが、その折に、話された内容も参考にして書いています。
一、密室の中で進められた会議であること
東京都は、会議内容を公開していると述べていますが、どうみても密室の中で、非公開に会議を進めています。
座長以外、誰が委員であるのかすら、昨日のプレス発表まで明かされませんでした。
議事録は、最終報告を迎えた昨日の段階でも、一切公開されていません。
ベンゾ(a)ピレン問題や不透水層欠落問題など朝日新聞のスクープ記事でもお分かりのように東京都に情報の隠蔽体質がある以上、様々な不都合を隠すため密室で会議を進行させたと疑わざるをえません。
科学技術の検討は、万人監視の公開のもと実施すべきであり、非公開で進められたこと自体、この会議の結論の信用性が疑われます。
一、 会議の中立性が担保されていない
会議の座長を務めた原島文雄氏は、首都大学東京の学長に就任を予定されており、東京都と密接な利害関係を有しています。
このような座長のもとになされた検討結果が、果たして中立な結論を導き出せるでしょうか?
なにがなんでも移転を強行したいと考える東京都側に立った結論を導き出すと誰もが疑うわけであり、中立性が担保されていない以上、この会議の結論の信用性が疑われます。
一、 そもそも座長は、土壌汚染の専門家ではない
会議の座長を務めた原島文雄氏の現在の肩書きは、「東京電機大学 未来科学部 教授、システムエンジニアリング」となっています。早い話が、「ロボット工学が専門の電気工学者」ということです。
ロボット工学という畑違いの方が、土壌汚染処理の検討を進める会議の座長をすること自体に無理が見られます。この会議の結論の信用性が疑われます。
なお、昨日提出されたその他の構成メンバー6名の経歴は、座長代理をつとめられた矢木修身氏は、日本大学大学院総合科学研究科教授で専門は水環境制御。安田進氏は、東京電機大学理工学部教授で専門は地盤工学。長谷猛氏は東京理科大学工学部工業化学科卒業後、東京都に入都された方。小橋秀俊氏は独立行政法人土木研究所 つくば中央研究所技術推進本部 主席研究員で専門は土木。川田誠一氏は、産業技術大学院大学 産業時牛津研究科教授で専門はシステムエンジニアリング。根本祐二氏は、東洋大学大学院経済学研究科教授で専門はプロジェクトマネジメント。
一、「専門家会議の提言の具現化」という当初約束された方向性から外れた検討結果を出してきている
技術会議は、先立って開催された「専門家会議」の提言を具現化するためには、どの技術を実際に用いたらよいのかを検討することが約束されていました。
実際に比較いただくとわかるのですが、汚染地下水の流れを制御するために建物下空間と外部空間の隔離壁を省略したり、現地の土壌を、浄化済みと称して入れ替え用の土壌に転用するなど、「専門家会議」が出した提言と、「技術会議」が出した結論が全く異なっています。
「技術会議」は、当初約束されたように「専門家会議の提言の具現化」を目指すべきであり、その提言からずれた結論は、食の安心・安全やその場所で働く市場関係者の健康への影響の安全性が担保されているとはいい難いと考えざるを得ません。
一、「有楽町層が不透水層」という一番の大前提が崩れている
土壌汚染の処理にあたり、大前提として「有楽町層」は“不透水層”であり、汚染は、その下に広がらないということがありました。
1/26、1/27と朝日新聞がスクープ記事が出されてお分かりのように、不透水層の有楽町層が確認できない箇所が数箇所存在したり、別に、実際に有楽町層があった場所でさえ、汚染が進んでいる箇所が数箇所存在していました。
「有楽町層」は“不透水層”で汚染が広がらないとして、詳細な土壌汚染調査はなされておりません。どれだけ深刻な汚染があるか、誰もしらないまま、対策を強引に進めようとしているのです。
土壌汚染は、深層部まで深くひろがっていると考えるのが、一般的な考え方と思います。
このままでは、食の安全・安心やその場所で働く市場関係者の健康への影響の安全性を担保とした土壌汚染処理がなされると信用することはできません。
一、 地盤の弱い土地では、土盛り後、地盤の安定を確認するために2年間放置する必要があるが、整備方針のスケジュールにはその期間の想定がまったくない
建築工事のあり方では、常識となっていますが、地盤の弱い土地では、土盛り後、地盤の安定を確認するために2年間放置する必要があります。実際に、豊洲移転候補地では、その期間経過をみた場所が存在しています。あらたに土壌の入れ替えを行うわけであり、その後、地盤の安定をみる期間が2年間必要であります。
この期間をもたずに、スケジュールでは、土壌汚染対策工事20ヶ月後、“即”建築工事開始となっていますが、このスケジュールの出し方自体に無理があります。
このようなスケジュールを出してきたこと自体、技術会議の結論の信用性が疑われます。
一、 有効性が立証されていない“新技術”を採用している
「最先端の新たな技術・工法の採用」と銘打っていますが、“最先端”とは、すなわちそれだけ、使用経験が少ないということです。それを安易に採用しすぎています。
土壌汚染の微生物処理が果たして有効であると立証されているでしょうか。東京ガスによる以前の土壌汚染処理でも微生物処理が採用されたにも関らず、これだけベンゼンの汚染が残っている事実が現に存在しています。
“最先端”の技術・工法が有効であるという根拠をきちんと示さずに、採用するのは非常に危険であると思います。根拠なしであるが故に、食の安全・安心を担保した土壌汚染処理がなされると信用することはできません。
などなどが、会議の議事録が出ていない現段階での検討結果です。
今後、いまだ出していただけない議事録をなんとしても入手・分析し、技術会議の経過を、十分に検討する所存です。
ちなみに、しきりに東京都は、築地市場廃止、豊洲新市場開設を“決定事項”のように述べておりますが、事実無根であります。
その根拠を述べます。
中央卸売市場は、「中央卸売市場整備計画」に基づいて設置されると「卸売市場法」に定められています。そしてその「中央卸売市場整備計画」は農林水産大臣が定めます。築地の豊洲移転計画は、平成17年(2005年)三月に第八次中央卸売市場整備計画の中で書かれています。その整備計画を定める際には、「食料・農業・農村政策審議会」の意見を聞くことになっています。
第166回国会の環境委員会で明らかになったことですが、豊洲移転については、平成17年(2005年)3月17日の一日だけ開催された同審議会の分科会である「総合食料分科会」で議論されました。その「総合食料分科会」では、「汚染土壌と食の安心、安全」という議論は一切なされなかったと佐藤政府参考人は認めています。そもそも分科会には、土壌汚染の関係の専門家は入っていませんでした。よって、審議会で議論の欠けていた土壌汚染については、「東京都の動きを踏まえ、また環境省とも連携して取り組むと」農水省が断言しています。
以上の経過からわかりますように、今後土壌汚染のことがきちんと審議され、「卸売市場整備基本方針」に謳われている「食の安全・安心」が担保されて「築地市場の豊洲移転」は初めて“決定”されることになるわけです。
まだ、決まったことではない以上、食の安心・安全を守るため、世界のtsukijiブランドを守るため、都民の“食文化の象徴”としての文化的遺産を守るため、今こそ立ち上がるべきであると考えます。
なぜ、築地市場を破壊してその土地を売却し、その代金を国内最大級の汚染地を民間の特定私企業から買い上げ、移転や汚染対策の費用に注ぎ込む費用に充てねばならないのでしょうか。
それは、市場関係者をないがしろにし、都民の利益を損ね、単に事業を受注する企業を潤すだけの失策です。
築地市場の現在地での再整備は、十分可能です。今、あらためて真剣に考えようとしていないだけの話です。
現在地での再整備を実現し、築地の活気とにぎわいをさらに発展させ、銀座などの周辺地域の連携により、日本の食文化の中心として、さらには、都心商業の一大集積地として繁栄に導いくことこそが、選択すべき道だと考えます。
平成21年2月7日
文責 中央区議会議員 小坂和輝
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/
連絡先 03-5547-1191
*なお、上記意見は、2/7中に、築地市場水産仲卸全760社の皆様にお伝えいたしました。