「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

アメリカ後の世界 THE POST-AMERICAN WORLD

2009-02-21 15:32:05 | 国政レベルでなすべきこと
 世界は今、近代に入って三度目のパラダイム転換期を迎えている。中世以前、そもそも国際社会という概念さえなく、全地球を統(す)べるような思潮や価値観は登場しなかった。15世紀に、まず、西洋の台頭という大きなうねりが現われ近代が始まった。キリスト教文化圏の思考体型や技術力、政治経済の理念などが、徐々に広がり、18世紀後半から、加速的に世界を席巻していった。それが、第一のシフトである。その流れの中で、産業革命を達成した大英帝国が覇権を握った。19世紀末には、旧宗主国である英国から米国が覇権を譲り受け、特にソ連崩壊以降は、唯一の超大国、ローマ帝国以来の最強国家として君臨した。これが第二のシフトである。
 そして、現在、進行しているのが第三のシフトである。既に、米国による一極支配体制は、綻(ほころ)びをみせてきている。ただし、変わって王座に就く力のある国は、存在しない。中国、インドは、成長途上の段階であり、世界を率いるような意欲も余裕も無い。わが国やドイツは、米国の庇護下で成長を遂げた国で、米国発の経済金融危機の影響をその震源地以上に受けている。欧州連合は、行動主体となるほどのまとまりがない。絶対王者の座は滑り落ちたが、相対的ランキングで、米国が王座である構図は、当面揺るがないだろう。「米国の凋落」ではなく、「その他すべての国の台頭」により、世界は、第三のシフトに入った。アメリカでも、脱アメリカでもなく、ポスト・アメリカの流れが始まったのである。
 第三のシフトにおいては、500年の間に広く行き渡った西洋的(キリスト教的)価値観も、近代化イコール西洋化という図式も、もはや絶対ではなく、すべての国々に、多軸思考に耐えうる柔軟な知と受容力が求められるようになった。
 現ニューズウィーク国際版編集長ファリード・ザカリア氏は、米国がとるべき道を6つ提案している。①統治とは選択であり、核拡散とテロ対策に有効な選択をすべきである。②自らの特殊権益を追求するのではなく、世界の結束に繋がるルールや慣例や価値の創出を目指すべきである。③ビスマルクが目指したように、主要国との最善の二国間関係を築き上げるべきである。④多種多様な組織と手法を通じて問題に取り組める有機的な国際システムを作り、和解と融通と順応の姿勢で臨むべきである。⑤軍事力増強のみではなく、創造的に、外交使節団、国家建設の知識集団、技術支援チームなど様々な手段でテロや脅威に臨むべきである。⑥米国は力だけでなく、理念によって世界を変革してきたことに立ち返り、正当性をもって国際社会の支持を得るべきである。
 今の米国にふりかかる問題や危機や抵抗は、かつてのナチス・ドイツやスターリンの拡張政策や核戦争といった巨大な脅威から比べ物にならない程度であり、しかも、世界は米国と足並みをそろえつつある。
 しかし、米国は、テロを100%防げることはできないが故に、恐怖や不安に呑み込まれている。テロ事件にどう対処するか。残念ながら今の雰囲気では、テロ攻撃を受けると、米国政府は逆上して、正統性のない報復攻撃と、移動やプライバシー、市民的自由に対する規制強化をかけ、膨大な経済的、政治的、道徳的コストを負うことになるであろう。復元力に目標をおいて備えるべきなのである。
 米大統領に黒人のオバマ氏が就任するという歴史的な出来事が起こった今だからこそ、内向きになるのではなく、米国が繁栄を成し遂げられてきたその「開放性」という原点に帰るべきであろう。「開放性」こそが、新しい経済時代への迅速かつ柔軟な対応を行うこと、変化と多様性をいとも簡単に制御すること、個人の自由と自律の範囲を大きく広げることを可能にし、ついには、米国をして人類初の世界国家にならしめることを可能にしたのである。
 では、私達日本はどうあるべきか。米国の庇護の時代から、まさに今、自立した国を歩む時が来たのだと思う。現在、米国よりも不況のどん底にあるが、米国依存の輸出中心の産業構造から抜け出し、環境分野、ナノ技術、勤勉性など日本の強みを活かしつつ、力強く立ち直って行きたい。航空分野、医療・薬品分野などの欧米頼みであった技術開発も率先して参入し、国力をつけねばならないだろう。利益至上・効率第一の「管理システム」から、和を尊ぶ「思いやりシステム」を産業・労働分野に取り入れ世界に発信することもできるのではなかろうか。そして、国連の常任理事国になれようがなれまいが、キリスト教的文化圏とイスラム教的文化圏の間に位置して両者の交流や親善を橋渡しする役割を担い、平和憲法を有する国として、世界平和に貢献するのである。
 日本が、このように真に自立した国となるためには、教育立国となることがまず大切である。教育への投資は惜しむことなく行うべきであり、地域・学校・家庭が一体となって、障がいのありなしに係らず、親の就労形態に係らず、異世代交流・異文化交流の下で、全ての子どもが共に学べる環境をまず作って行きたいものである。日本の再生は時間がかかるであろうが、十分可能であり、第三のシフト下において、日本の世界貢献の場は必ず来る。


参考文献:『アメリカ後の世界』 ファリード・ザカリア 著、楡井浩一 訳、徳間書店
(『THE POST-AMERICAN WORLD』 by Fareed Zakaria)


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土壌汚染地への移転、必ずや、白紙撤回できます。

2009-02-21 10:40:29 | 築地を守る、築地市場現在地再整備
 今日2/21、ニュースを読んで、各紙片隅ですが、東卸の理事長選挙の結果報道を目にするたびに、落ち込みの度合いが強まっていました。

 そんな中、ある方から、お電話をいただきました。

 貴重な数々のアイデアをいただきました。

 真実を伝えるために、まだまだ、できることがあると、しなければならないことがあると、気づかされました。

 本当に、本当に、このご指導は、ありがたかったです。

 そして、この問題は、本当に奥が深く、土壌汚染から食の安全・安心、市場で働く人の健康、築地市場と築地の街、日本の食文化、日本の一次産業を守るだけでなく、日本の国のあり方につながる重要問題であることを再認識いたしました。 

 この電話は、昨日の環境建設委員会の場での中央区長の「今でも築地市場移転に断固反対である。」という思いとともに、私の勇気につながりました。
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中央区は築地市場移転に断固反対です!! 2/20、環境建設委員会 報告 等

2009-02-21 06:29:27 | 政策・マニフェスト

2/20は、壁を感じた一日でした。

 ひとつは、東卸の理事長選挙、豊洲土壌汚染地への移転反対、築地市場現在地再整備を主張していた山崎治雄氏が五度目の理事長選挙の末、14対16で敗れました。

 もうひとつは、私が出席した環境建設委員会での、行政側の回答。まちづくり協議会に絡んで質問したのですが、私の考え方、すなわち、多くの住民の声を聞く場としてのまちづくり協議会のあり方と、大きくズレを感じました。

 壁を感じ、落ち込む反面、勇気をいただいた部分もありました。
 ひとつは、私たちの区長は、技術会議の最終報告を受け、石原都知事が2014年豊洲へ移転させると断言した今においても、築地市場移転に断固反対の回答をいただいたこと。
 もうひとつは、夜開催の中央区保健医療福祉計画推進委員会の専門部会のひとつ「第4回障害者専門部会」を傍聴してきました。その検討において、中央区保健医療福祉計画が、以前の検討案より、もう一歩進んだ案になったこと。


 まず、私が、環境建設委員会で、指摘提案したことを述べます。私に与えられた時間は、28分。

Ⅰまちづくり協議会
①本日の行政側からの報告はどれも、特に重要な案件です。街の声を聞くために、本日の15ある環境建設委員会での行政側の報告のうち、どれをまちづくり協議会に報告しますか?
 とくに、
4 資源持ち去り防止対策について
7 コミュニティバス導入実施計画(案)等について
10 環状第2号線橋りょうの景観意匠検討委員会における検討状況等について
15 中央区マンションの適正な管理を推進するための新たな取組について
は、報告すべきと考えますが、いかがですか?

行政側回答⇒いずれも、報告すべきものではない。


Ⅱ歌舞伎座の外観の保存について
①日本建築学会から要望書が出されているが、区からどのような回答をしたか

②第四回定例会で、歌舞伎座の保存について、区長は、「今後、詳細な検討の中で外観や意匠など、現状の面影を残す工夫を図るよう要請してまいりたいと考えております。」と述べられているが、都市計画原案、都市計画案と計画がすすんでいる段階で、どのような申し入れを行っているのか?

行政側回答⇒①②への明確な回答なし。かつて、歌舞伎座再生検討委員会で検討された。また、銀座デザイン協議会でも検討された。

*歌舞伎座再生検討委員会は、2005年開催であり、日本建築学会からの要望書は、2006年4月に出されており、当然、それを踏まえたうえでのものである。今後、私は、詳細な資料は、出されていない「歌舞伎座再生検討委員会」の検討内容及び銀座デザイン協議会での検討内容を再度調査し、予算特別委員会に臨む所存です。


Ⅲオリンピックムーブメントについて
まず、オリンピックムーブメントとして、事業を行う前に、東京都から、オリンピックファイルなど説明を受けることが先ではないか?

行政側回答⇒中央区議会でつくられた「オリンピック招致議連」のメンバーを集めて、東京都から説明を受けた。

小坂:中央区全体の施策であるのだから、中央区議会全員協議会のような場で、すべての議員をあつめて東京都から説明を受けるのが筋ではないでしょうかと主張しました。


Ⅳコミュニティバスについて
①いつ、スクールバス直行便の考えはできたのか?
行政側回答⇒パブリックコメントなどを受ける間の中で。

②パブリックコメントは、再度全般的な内容でとるのか?
行政側回答⇒再度全体的に受け付ける。

③パブリックコメントは、今回は、ルート案もきちんと区民に知らせて行うべきか?
行政側回答⇒有効な手段があれば、考える。

④バスが、以前計画の7台から、8台に所有台数が増えているが、経済性を考えれば、7台で実施すべきではないか?

行政側回答⇒8台の方が、試算によると、経済性が優れた結論が出た。すなわち、7台で、補助員を置くのと、8台で補助員がないのとで比較し、人件費分が安くなり、データが出た。

*会議では行政側の回答にそれ以上反論しなかったが、7台でかつ補助員がなければ、もっと経済性が上がるわけであり、そのやり方が可能であるのではないかと、考えている。8台はいらないのではないか?


Ⅴ築地市場移転問題について
①技術会議の報告、その後の知事の2014年豊洲への移転の発言を受けた後においても、区長の「築地市場移転断固反対」の考えに変わりはないと考えてよいか?

区長回答:断固反対に変わりはない。特に技術会議結論に疑念が残る。

②「新しい築地をつくる会」「築地市場地区を核とした活気とにぎわいづくり委員会」開催の計画はあるのか?

行政回答:東京都から説明を受けて対応する。

*時間切れで言えませんでしたが、東京都から説明を受けるのを待っていたら、築地を守れません。積極的に開催をし、街と協議していくべきです。




なお、行政側からの報告は、以下の15件。
1 平成20年度大気中のアスベスト濃度調査結果について

2 河川等の水生生物調査結果について

3 ごみの呼称変更について

4 資源持ち去り防止対策について

5 プラスチック製容器包装集積所回収のモラル実施状況および本格実施について

6 平成20年中の交通事故発生状況について

7 コミュニティバス導入実施計画(案)等について

8 清杉通り歩道部における自転車通行調査結果について

9 中央区におけるオリンピックムーブメント共同推進事業について

10 環状第2号線橋りょうの景観意匠検討委員会における検討状況等について

11 地下鉄駅におけるエレベーター設置について

12 平成20年度再開発事業等の取組状況

13 銀座地区まちづくり協議会の報告

14 区民住宅の入居収入基準等の変更について

15 中央区マンションの適正な管理を推進するための新たな取組について

以上。

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子育てをしやすいと思う東京都の街 ランキング

2009-02-21 06:00:00 | 子育て・子育ち

たまたま、ネットで、ヒットしました。

子育てをしやすいと思う東京都の街 ランキング
http://ranking.goo.ne.jp/ranking/016/childcare_tokyocity/

おもしろいランキングです。

このランキングで、現在中央区は、14位。

子育てしやすい街を目指し、さらなる充実を求めて、3月予算特別委員会がんばります!!
小児科医として一番の目指すべきものの一つは、まさしく子育て・子育ちの環境が整っていることなのですから。


ランキングには、それを作る側の意図も反映されますので、絶対的なものではありませんが、参考までに結果を載せておきます。

ランキング結果(09年2月21日現在)
1位 世田谷区  
2位 杉並区 
3位 文京区
4位 江戸川区
5位目黒区
6位練馬区
7位品川区
8位23区外
9位港区
10位中野区
11位大田区
12位千代田区
13位江東区
14位中央区
15位板橋区
16位渋谷区
17位荒川区
18位葛飾区
19位豊島区
20位新宿区
21位足立区
22位北区
23位墨田区
24位台東区
 

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【平成21年度予算案 分析⑨-1】 23区 予算案比較 予算規模 東京新聞より 

2009-02-21 05:59:59 | 財務分析(予算・決算)
他区との予算案 予算規模で見た比較です。
東京新聞さんの記事には、感謝です。
(赤字、太字は小坂による。)

****以下、東京新聞から****

<総括>23区予算案 懐チェック 15区が前年度より増額 墨田、足立など6区 交付金、税収減も基金繰り入れ

2009年2月19日

写真

 百年に一度といわれる深刻な不況の中で、二十三区のうち十五区が新年度の一般会計予算編成で、前年度より増額の予算案を打ち出している。人口の増加に伴って住民税などの区税収入が伸びた区もあるが、歳入に大きなウエートを占める区税と特別区交付金がともに減少しながらも、歳出を積極的に増額する予算案を組んだ区さえある。

 本来なら区の税収になる固定資産税や法人税を、都が集めて分配する特別区交付金(都区財政調整交付金)については、ほとんどの区が減少する。区税収入も半数以上の十四区で減り、不景気で台所事情がより苦しくなる区が増えた。ところがこの両方とも減った区で予算案も減額したのは、目黒大田板橋の三区だけだった。

 港区中央区は、マンション建設による人口増で前年度を上回る税収を確保できる。特に港区は、税収増に加え、ため込んだ基金の中から二百八十四億円を取り崩す大盤振る舞いで、過去最高の千三百二十三億円の予算案を編成した。前年度比は、バブル期を上回る21・5%の大幅な伸びで、財政力の強さを見せつけた。

 区税も特別区交付金も減った九区の中で、墨田足立葛飾江戸川など六区は近年にない多額の基金を繰り入れて増額の予算案を組んだ。使い道も、学校改築や道路整備など投資的経費が目立つ

 荒川区は区税はプラスだったが、交付金が減る中で、やはり思い切った増額予算案を編成。西川太一郎区長は「緊急経済対策のため、あえて積極予算を組んだ」と説明する。

 日本総合研究所の藤波匠・主任研究員は、ほとんどの区で前年度並み以上の予算規模となったことに、「税収が伸びた時代に立てた投資計画を急にやめられないのだろう。潤沢な基金があり、他市町村とは体力が違う」とみる。総務省は「全国的にも不況下だから逆に景気対策として、基金の取り崩しや起債発行で増額予算を組む自治体が出るのでは」と推測する

 区長たちが心配するのはむしろ二〇一〇年度以降。杉並の山田宏区長は「不景気の区税収入への影響が出るのは一〇年度から」とみる。公共事業に積極投資する足立の近藤弥生区長は「新年度は基金で対応できるが、その後の見通しが厳しい」と懸念している。

****以上、*****

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