【東京】
23区予算案 記者座談会<上> 板橋区の病児病後児保育サービス 全国から問い合わせ
2009年2月20日
23区予算案の目玉事業を取り上げた本紙。読者の反響も大きかった |
![]() |
東京23区の予算案発表は先月22日の台東区に始まり、今月13日の新宿区で終わった。これら予算案は現在、各区の議会で審議されている。打ち出された事業や取り組みは区民のニーズに応えているか-。取材に当たった各区の担当記者が取材の裏話も交え、紙上座談会で議論した。
司会 各区の目玉事業をどう評価する?
比護 板橋区の病児病後児保育サービスは保育園で子どもが急な発熱を起こした際、総合病院の看護師が保育園まで迎えに行き、病院で治療と保育をしてくれる制度。これまでちょっとした発熱でも仕事を休まざるを得なかった親にとっては精神的にも肉体的にも負担を軽減できる、ありがたい制度だ。
⇒中央区と私達小坂クリニックが、2001年(平成13年)から、すでに、病児保育を開設実施しているんですが。。。東京都の病児保育開設マニュアル作成にもご協力をさせていただきました。その後、小坂クリニックは、区の委託から独立しています。
子どもが発病した場合、当院スタッフが、その保育園に駆けつけて、お迎えし、病児保育で預かるサービスも実施しています。
全国に取材ということは、まだ、病児保育の知名度がいまいちなんですね。
司会 本紙は一面アタマで報じたね。
比護 全国から板橋区に問い合わせが寄せられたので、区の広報から「東京新聞はどれだけ広いエリアで出してんの」と聞かれた。本紙の報道後、テレビが全国で報じた影響なんだけどね。
藤原 墨田区は良くも悪くも「スカイツリー関連事業」が目立った。東京マラソンの招致活動まで乗り出し、「観光都市」を本気で目指しているようだ。
小林 江東区は、子どもの増加という他にない事情を抱える区として、認可保育園の整備を着々と進めるなど「やるべきことはやる」という姿勢が見えた。それと「地味」ですぐには効果も見えにくい環境分野でも積極的に取り組もうとする姿勢が伝わってきた。
越守 逆に千代田区は日本のど真ん中ということもあるんだろうけど、「二十三区初」「都内初」といった冠をつけるのが、他区以上に好きなようだ。先進性を求める姿勢は買うが、施策の中身があった上で、初であれば立派なニュースとなるのになあと感じた。
⇒千代田区の知的・精神・身体の三つの障がいのある方の支援施設が、一つの場所で開設すると聞いています。今後、フォローして行きたいと思っています。この施策を作った千代田区は、高く評価できると思っています。
小川 世田谷区は国のトライアル雇用制度に、区独自で補助金を上乗せする雇用創出対策を「都内初」と強調した。区はこの制度で、介護事業者に補助金を出して介護ヘルパーを増やそうと狙っているが、そもそも就職希望者が少ない分野。働き手にとって魅力ある制度でないので、記者仲間で「実効性ないよねえ」と話していたが、他紙で大きく報じていて思わずのけぞった。どうしても「初」モノに踊らされる。
松村 品川区は二〇〇八年度に続き結婚サポート事業を予算化した。交流パーティーの参加申し込みが多かったから継続するというが、結婚した人がいるかどうか、成果の検証ができているとはいいがたい。一般ウケはするし、都会でも田舎並みのおせっかい事業を始めたと〇八年度は注目していたが、都会の金持ち区のぜいたくという批判も一理あるという気がする。
⇒先日、品川区及びNPOフローレンスが企画したワークライフバランスのシンポジウム参加しましたが、ワークライフバランス社会の実現に向け、中小事業所への支援は、品川区は一歩先んじているように感じました。
ブログ:http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/09595bda173362154c6b5abe2c0cf87e
司会 厳しい指摘も多いけど、事業内容で評価の高い区は?
中里 荒川区が乳幼児の細菌性髄膜炎を予防する「ヒブワクチン」の費用助成を盛り込んだ。重い障害が残る子どもが多いだけに、国に先駆ける姿勢は評価したい。台東区は二十三区初の区立台東病院を四月に開院する。評価の高い区の順位をつけるのは難しいけど、子育て支援という意味で、板橋と荒川区、今後の高齢化への対応では台東区。この三区は、全体の中でも高い評価を与えて良いんじゃないかな。
⇒「ヒブワクチン」の費用助成は、中央区もついてます!!中央区の今回の予算案のもう一つの目玉、聖路加病院での区民優先の産科開設の記事に埋もれてしまったのでしょうか。
【座談会出席者】稲熊均(司会)、中里宏、比護正史、藤原哲也、小林由比、越守丈太郎、小川慎一、松村裕子