2/17、下記のシンポジウムが開催され、参加してきました。
****案内抜粋(文言、一部改変)*****
「何がワークライフバランスだ。不況でそれどころじゃない!!」という声が聞こえる中、NPOフローレンス及び品川区がワークライフバランスシンポジウムを開催いたしました。
日本がワークライフバランス化の方向に進むのか、それとも従来型の正社員・男性・長時間労働の働き方のみが奨励される社会に逆戻りするのか、 という踊り場にある今、積極的な提言と現場からの解決策を徹底的に議論されました。
2月17日(火)
品川区産業振興課・東京商工会議所品川支部共催セミナー
~中小企業ワークライフバランスシンポジウム~
不況を超える!中小企業のワークライフバランス戦略
http://k.d.combzmail.jp/t/9t43/80zmvsv0xe43nj3ry1
****抜粋終わり****
前段の事例発表は聴けず、途中シンポジウムからの参加となりましたが、そこで得た情報を元に、感じたことや自分の考えを述べます。
*行政側では、ワークライフバランスは、商工観光関連部署、子育て支援関連部署、男女共同参画関連部署と部署がまたがり、縦割り行政の障害がある。
*行政側としては、ワークライフバランスが、中小事業所の活性化に繋がることを目指すことの一つとしている。
*中小事業所が取り組むきっかけ作りを提供できればよい。
*きっかけ作りの一つは、従業員の満足度調査(ES調査)である。
*中小事業所が取り組むかどうかは、最終的には、社長の意向による。(社長のやる気)
*国や行政の施策の一つは、取組みの優良企業の表彰。
*ある事業所社長からは、補助などはいらない。フェアーな競争環境を整えてくれさえすればよい。正直者が馬鹿を見る世の中ではいけない。
いらない規制をなくし、社会保険に入るなど遵法の徹底をするべきであると意見された。
*経済産業省は今後、ワークライフバランスの実践マニュアルを作成し、リーフレットの形で一万部配布をする予定。
そこでは、ワークライフバランスの優秀な取組みも掲載する。
*マニュアルでは、具体例の掲示で終らず、個々の事業所で、具体的にどう活用するかまで、踏み込んでほしい。
*経営の危機的状況である今であるからこそ、ワークライフバランスの取組みが、危機を脱することに奏功すればよいと考える。
*ワークライフバランスにより、働き方が変わり、自分が変わる。そのような国民運動へつながるとよい。
*ある社労士からは、ワークライフバランスという前に、労働基準法、育児休業に関する法律、これら法律を守ることからはじめるべきであり、これらが、守られれば、ワークライフバランスは達成できると指摘があった。
従業員満足度調査も、従業員が、これら法律をしってうけるのと、しらないでうけるのとでは、おのずから結果が異なってくる。
以上、
中央区では、来年度予算で、ワークライフバランスに関し、以下が予算化されています。
****21年度中央区予算、ワークライフバランス関連欄抜粋****
(6) その他の主要事業
「男女共同参画社会の実現」
新規◎ワーク・ライフ・バランス推進企業の認定 5,000千円
仕事と家庭の両立支援や男女ともに働きやすい職場の実現に向けた取り組みを実施する中小企業・事業所を認定・公表し、啓発を図るとともに、認定に向け取り組む企業に対しアドバイザーを派遣し助言や情報提供を行う。
* 対象企業 常時雇用する従業員数が300人以下の区内事業所
新規◎ワーク・ライフ・バランス認定企業に対する商工業融資における優遇利率の適用《再掲25頁》 -千円
ワーク・ライフ・バランス認定企業に対して、商工業融資における優遇利率を適用する。
新規◎育児中の保護者社会参加応援事業 300千円
育児に多くの時間を費やしている父母に対し、女性センターにおいて社会参加の機会と交流の場を提供する。
* 対 象 者 1歳以上の未就学児(保育園、幼稚園入園前)の保護者
* 実施内容 講義および講義内容を基にディスカッション
女性センター内で交流などを行う自由活動
新規◎女性センター「ブーケ21」ホームページの開設 1,954千円
男女共同参画の普及啓発と情報発信のため、ホームページを開設する。
* 掲載情報
・ 区の男女共同参画情報
女性センター「ブーケ21」の施設利用情報
男女共同参画講演会等の参加者募集
・ 男女共同参画活動団体の情報
・ 国や都などの関係団体の情報 等
****抜粋終わり****
シンポジウムも参考に、私の考えを述べます。
ワークライフバランスというと「仕事」と「家庭(&個人の生活や趣味)」という二項のバランスに目が行きがちな表現であるが、その意味するところは、もっと広い。私も、二項のバランスだけではなく、少なくとも、「仕事」と「家庭(&個人の生活や趣味)」そして「地域社会活動」のトライアングルがまず、イメージされるような広がりが施策の展開にあってほしいと願う。(ある意味、ハンナ・アレントがいう人間の活動として「labor」「 work」「 actibity」の3つがあるという考え方と近いと思っています。)
理想を述べることを許していただけるなら、日本のすべての事業所において、労働基準法で謳われている内容が遵守され、皆が社会保険制度に加入して労働するような社会になるだけで、「ワークライフバランス」の目指す目標は達成されると考える。わざわざ、「ワークライフバランス」の施策など導入することなしに、大多数が達成されるのではないだろうか。
社会保険庁の体制整備、中小零細企業の環境整備、日本・世界の経済状況の立ち直りがあっての実現となり、理想の実現には、かなりの時間がかかる。また、一部過重労働が必要な現場の改善にも時間がかかるであろう。
現実の問題として、中央区もこの度、ワークライフバランスに関連して、予算がつけられている。有効な実施に当たっては、庁内の関連部署との連携を密にすることが当然のこととして、如何に、中小零細の事業所に取り組んでいただくか、かなりハードルが高い。予算はとったが、いくつの事業所とくに、商店街などの中小零細事業所が実践されるだろうか。
取り組むきっかけ作りには、単に講演会開催だけでなく、もうひと工夫が必要かもしれない。
民生費部門・教育費部門等における、子育て支援環境の整備とともに、ワークライフバランスの施策の目標が達成されるようにしていきたい。
すべての施策に通じるが、最終的には、意識改革(意識変容)を如何に起こすかが鍵である。
以上、
予算特別委員会では、もうひと工夫まで、踏み込めればと思います。
皆さん、アイデアをよろしくお願い申し上げます。