東京都は、平成22年1月22日に来年度の中央卸売市場会計予算原案として豊洲新市場整備1281億円(土壌汚染工事の設計、本体工事の基本設計、用地取得)を計上するとともに、本体工事については、「PFI方式」を改め「直営方式」にすると発表いたしました。
また、当勉強会でも再三指摘してまいりましたが、いままで、東京都は、地元中央区をはじめ都民に対し、土壌汚染の現状および技術会議で選考された“新技術”に関する実行可能性など詳細な説明を行ってきませんでした。この度ようやく、「実証実験」の名のもとに、技術会議が定めた技術・工法を現地の汚染や土質状況に即して無害化を検証する実験を行うことを計画(3月中旬中間報告、6月下旬最終報告)したところです。
下に掲載の毎日新聞報道(2010/02/16、転載資料①)にもございますが、専門家会議にまたもや報告されない新事実があきらかにされております。食の安全・安心を守るためには、すべての情報を公開し、都民に説明(リスクコミュニケーション)する責任が東京都には求められます。この姿勢が欠けている以上、土壌汚染地への市場移転は不可能だと考えます。
私達は、都民、市場関係者、区政・都政・国政の議員らの有志で、「築地市場を考える勉強会」という場を設け、豊洲土壌汚染問題や築地市場移転問題の勉強会を開催してまいりました。この度、裏面のご案内の通り第7回目の勉強会を開催する予定です。
今回の勉強会では、平成22年2月25日第三回公判(東京地方裁判所415号法廷13:30~)に向けて「豊洲汚染土壌コアサンプル廃棄差止め訴訟」の裁判の経過報告及び都議会での予算審議を控え土壌汚染をはじめ移転に関連した諸問題や現在地再整備の方向性などの論点整理を行いたいと考えています。現在行っている「実証実験」自体が果たして大丈夫なものなのかどうかも、坂巻先生に問題提起いただき、一緒に考えたいと思います。
多くの皆様のご参加をお待ち申し上げます。
記
日時:2月23日(火)18時半~21時(18時00分開場)
場所:日本教育会館 一ツ橋ホール 7F中会議室(156名定員)
千代田区一ツ橋2-6-2 電話03-3230-2831
都営新宿線・東京メトロ半蔵門線神保町駅(A1出口)徒歩3分
都営三田線(A8出口)徒歩5分、東西線竹橋駅(1b出口)徒歩5分
<プログラム>
18:00 開場
(築地市場移転問題やコアサンプル差し止め訴訟に関連したビデオ上映など)
18:30 開会
1、築地市場移転問題に関する都政・国政報告
2、コアサンプル廃棄差し止め訴訟 裁判の経過報告
コアサンプル廃棄差し止め訴訟弁護団:いずみ橋法律事務所 渡邉彰悟 弁護士
*次回第三回公判 平成22年2月25日(木)13:30~ 東京地方裁判所 415号法廷
3、移転候補地豊洲6丁目東京ガス工場跡地の土壌汚染問題
)今までの論点の整理 第7回築地市場を考える勉強会事務局
)「豊洲新市場予定地の汚染物質処理に関する実験(実証実験)」の問題点
日本環境学会 土壌汚染ワーキンググループ長 坂巻幸雄 先生
4、移転候補地豊洲6丁目東京ガス工場跡地の土地売買に絡んだ問題点
(朝日新聞本年1月5日の記事に関連して、下に当該記事を転載、転載資料②)
こどもたちに残した世界ネット 共同代表 水谷和子氏
5、市場流通に関連した問題点
こどもたちに残した世界ネット 共同代表 田中宏治氏
6、会場からの質疑応答
指定発言:野末 誠氏(「NPO法人市場を考える会」理事)
21:00 閉会
参加費:500円(資料代を含む)
主催:築地市場を考える勉強会
お問い合わせ:築地市場を考える勉強会事務局
小坂和輝(文責)
中央区月島3-30-3 2F 電話 03-5547-1191
メール:kazuki.kosaka@e-kosaka.jp
*****転載資料①毎日新聞報道(2010/02/16)****
築地市場移転:計画地に埋設杭1万8000本 都、専門家会議に報告せず /東京
築地市場(中央区)の移転が計画されている江東区豊洲の東京ガス工場跡地にコンクリートや鋼管製の杭(くい)約1万8000本が埋設されていることが分かった。都の土壌汚染対策を取りまとめた専門家会議には報告されておらず、同会議のメンバーは「杭があっても対策に変更が生じることはないが、杭が腐って空洞化した場合、汚染の通り道になる可能性はゼロではない」と指摘している。
埋設されているのはコンクリート杭(長さ平均17・5メートル)約1万4000本、鋼管杭(同平均34メートル)約500本のほか、木製杭(松杭、同平均10メートル)や合成材の杭(同平均16メートル)。都情報公開条例に基づく市民団体の開示請求で明らかになった。豊洲は埋め立て地で地盤が緩いため、工場施設などを建設する際に深く杭を打ち込む必要があったとみられる。
都は06年3月、用地購入の際に埋設物の撤去費用として約36億円を代金から控除する協定を東京ガス側と結んでおり、「都側に新たな負担は生じない」としている。土壌改良を施す際には埋設物は取り除かず、邪魔になった場合は切断して処理するのが一般的といい、「対策を検討する上で影響がないため、専門家会議に報告する必要はないと判断した」という。
専門会会議の座長を務めた平田健正・和歌山大理事(環境水理学)は「松杭は腐りにくいが、鋼管杭などが朽ちて土壌汚染の通り道になる可能性はないとは言えない」と指摘。「こうした事実が一般市民の情報公開で出てくることが問題で、汚染に関連する情報は進んで開示した方がよい。後追いだと都合の悪いデータを隠していると受け取られる恐れがあり、信頼関係を損なうことになりかねない」と都の対応を批判している。【市川明代】
〔都内版〕
*****以上******
*****転載資料②朝日新聞報道(2010/01/05)****
築地市場移転用地、都が土壌精査せず購入 汚染報告放置
2010年1月5日3時6分
豊洲地区の新市場予定地(手前)=2008年5月、東京都江東区
築地市場(東京都中央区)が移転を予定している豊洲地区(江東区)の土壌汚染問題で、東京都が2002年に有害物質の汚染ガスが検出された調査報告を受けていたのに、詳しい調査を実施しないまま、04~06年に予定地の一部を購入していたことがわかった。このガス検出地点の一部は、07年以降に都の調査で見つかった土壌汚染個所とほぼ重なっていた。
この土壌汚染は、移転の最大の障害となっている。都は時価の約720億円で予定地の一部の13ヘクタール余を買ったうえ、汚染対策費約586億円の支出を迫られることになった。購入前の汚染に対するチェックの甘さが、この事態を招いた疑いが強まった。
問題の土地は東京ガスの工場跡地で、市場の移転予定地は約37ヘクタール。都はまだ取得していない23ヘクタール余の購入費約1260億円を新年度予算で要求している。
都は02年7月、予定地の所有者だった東京ガスが都条例に基づき汚染の調査や除去作業を行うことで、同社と合意。同社は順次、その報告書を都に提出した。都は同社を指導監督するとともに、都の購入地として土壌汚染などの問題がないかチェックする立場で、07年までに汚染対策が適切に行われたとしていた。
朝日新聞が入手した報告書によると、東京ガスが02年10月に報告した表層土壌ガス調査では、有害物質ベンゼンのガスが88地点で検出されていた。だが、このうちボーリングによる詳細調査の実施は、高濃度ガスなどが検出された9地点にとどまり、残りの79地点は未実施だった。
これに対し、都が予定地の一部を購入した後、07~09年に予定地全体の土壌や地下水の調査を実施。環境基準を超えた地点は1475地点に上り、そのうちベンゼンが最大で環境基準の4万3千倍、シアンが930倍となった。
朝日新聞が、東京ガスの02年の調査と、都の調査を照合したところ、02年の調査で詳細調査が実施されなかった79地点のうち6地点が、都の調査で土壌からベンゼンが検出された地点とほぼ一致した。濃度は最大で環境基準の1500倍に達していた。
都は「都は東京ガスと協議しながら当時考えられる十分な対策を講じており、新たな汚染は予見不可能。汚染を知りながら買ったという認識はない」としている。(香川直樹)
*****以上******