小児科学の学会雑誌「日本小児科学会雑誌」 最新号。
「両市とも,合計特殊出生率は増加したが,医療費控除の拡大は,軽症患児の時間外受診を増加させたものの,感染症を減らすにはいたらなかった.一方,予防医学の拡充と啓発は,感染症減少,医療経済効果に繋がった」との結論が出されています。
貴重な論文だと思います。
言いえていることのひとつは、予防接種施策の拡充など、予防医学の拡充と啓発に、今後も、力を入れていくことが重要であるということです。
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日本小児科学会雑誌 最新号
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(登録:12.9.11)
第116巻 第9号/平成24年9月1日
Vol.116, No.9, September 2012
http://www.jpeds.or.jp/journal/116-09.html#116091380
【論策】
■題名
公的補助による任意予防接種と医療費控除の小児医療,地域社会への影響
■著者
大分大学医学部地域医療・小児科分野1),同 小児科学2)
是松 聖悟1)2) 秋吉 健介2) 高野 智幸2) 関口 和人2) 岡成 和夫2) 武口 真広2) 岡本 知子2) 園田 幸司2) 加藤 里絵2) 松塚 敦子2) 半田 陽祐2) 島田 祐美2) 宮原 弘明2) 前田 美和子2) 山田 博2) 前田 知己2) 末延 聡一2) 拜郷 敦彦2) 泉 達郎2)
■キーワード
地域保健, 予防接種, 医療費控除, 出生数, 費用対効果
■要旨
健康で元気な子どもを育む地域社会を構築するための小児医療・福祉・保健活動を評価する目的で,小児への公的補助による任意予防接種と医療費控除が,時間外・救急を含む受診動向,予防接種率,小児医療,地域経済,出生率へ与える影響を相互比較した.
大分県竹田市は,予防接種の助成を2006年より水痘,ムンプスワクチンまで,日田市は,医療費控除を2007年に学童まで,周辺2町は中学生まで拡大させた.水痘,ムンプスが減少した竹田市に対し,日田市では麻疹,水痘が多く,また,乳幼児1人当りの小児科外来受診件数,外来医療費は竹田市の3倍を要した.軽症患児の時間外受診も1.6倍に増え,小児科医の過重就労から,時間外診療の縮小を余儀なくされた.
この取り組みにて,竹田市では予防接種助成271万円の増額により,医療費と看病による親の生産損失額が1,301万円から217万円へ削減され,年間804万円の費用対効果が得られた.日田市が同様の取り組みをした場合,年間2,744万円の費用対効果が推定された.
両市とも,合計特殊出生率は増加したが,医療費控除の拡大は,軽症患児の時間外受診を増加させたものの,感染症を減らすにはいたらなかった.一方,予防医学の拡充と啓発は,感染症減少,医療経済効果に繋がった.健康で元気な子どもが育つ街を作るための基盤となり,小児医療の健全化をもたらすことを証明した.
「両市とも,合計特殊出生率は増加したが,医療費控除の拡大は,軽症患児の時間外受診を増加させたものの,感染症を減らすにはいたらなかった.一方,予防医学の拡充と啓発は,感染症減少,医療経済効果に繋がった」との結論が出されています。
貴重な論文だと思います。
言いえていることのひとつは、予防接種施策の拡充など、予防医学の拡充と啓発に、今後も、力を入れていくことが重要であるということです。
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日本小児科学会雑誌 最新号
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(登録:12.9.11)
第116巻 第9号/平成24年9月1日
Vol.116, No.9, September 2012
http://www.jpeds.or.jp/journal/116-09.html#116091380
【論策】
■題名
公的補助による任意予防接種と医療費控除の小児医療,地域社会への影響
■著者
大分大学医学部地域医療・小児科分野1),同 小児科学2)
是松 聖悟1)2) 秋吉 健介2) 高野 智幸2) 関口 和人2) 岡成 和夫2) 武口 真広2) 岡本 知子2) 園田 幸司2) 加藤 里絵2) 松塚 敦子2) 半田 陽祐2) 島田 祐美2) 宮原 弘明2) 前田 美和子2) 山田 博2) 前田 知己2) 末延 聡一2) 拜郷 敦彦2) 泉 達郎2)
■キーワード
地域保健, 予防接種, 医療費控除, 出生数, 費用対効果
■要旨
健康で元気な子どもを育む地域社会を構築するための小児医療・福祉・保健活動を評価する目的で,小児への公的補助による任意予防接種と医療費控除が,時間外・救急を含む受診動向,予防接種率,小児医療,地域経済,出生率へ与える影響を相互比較した.
大分県竹田市は,予防接種の助成を2006年より水痘,ムンプスワクチンまで,日田市は,医療費控除を2007年に学童まで,周辺2町は中学生まで拡大させた.水痘,ムンプスが減少した竹田市に対し,日田市では麻疹,水痘が多く,また,乳幼児1人当りの小児科外来受診件数,外来医療費は竹田市の3倍を要した.軽症患児の時間外受診も1.6倍に増え,小児科医の過重就労から,時間外診療の縮小を余儀なくされた.
この取り組みにて,竹田市では予防接種助成271万円の増額により,医療費と看病による親の生産損失額が1,301万円から217万円へ削減され,年間804万円の費用対効果が得られた.日田市が同様の取り組みをした場合,年間2,744万円の費用対効果が推定された.
両市とも,合計特殊出生率は増加したが,医療費控除の拡大は,軽症患児の時間外受診を増加させたものの,感染症を減らすにはいたらなかった.一方,予防医学の拡充と啓発は,感染症減少,医療経済効果に繋がった.健康で元気な子どもが育つ街を作るための基盤となり,小児医療の健全化をもたらすことを証明した.