「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

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不適切な文書管理をしておけば、国は、適法適切な情報公開請求に応えなくて済むという論理

2014-07-15 11:06:08 | 国政レベルでなすべきこと
 2014年7月14日、国の保管する情報の公開請求に係る重要判決が最高裁判所でなされました。

 すでに、最高裁ホームページで、その判決文が公開されています。
 最高裁の情報公開の姿勢として、評価すべきひとつと考えます。

 さて、新聞各社、本判決の問題点を、本日の新聞で論じておられます。


 情報公開請求された国にとって請求に応えることが難しい文書を、国が、いずれかの段階で破棄し、存在しないこととして、公開しないでよいということとなりました。

 ものすごくまずいことが認められたと思っています。

 このような国の態度では、国民は争いようがないのです。

 情報公開以前の問題です。


 不適切な文書管理をしておけば、国は、適法適切な情報公開請求に応えなくて済むという論理です。
 昨日出された最高裁判決の問題の本質は、立証責任以前に、この部分にあると考えます。
 この部分が解決されない以上、判決は、このようにならざるを得ないとも言えます。(ただ、それでもやはり、立証責任は国にあるようには感じますが。)



 秘密保護法なる悪法が、強硬採決され、国のあり方が、徐々に壊されている領域です。
 真の政権交代を成し遂げ、思いを持った心ある官僚の皆様と、正しい国の情報管理の整備をしていかねばなりません。


**********最高裁ホームページ********************************************************
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20140714163907.pdf

平成24年(行ヒ)第33号 文書不開示決定処分取消等請求事件
平成26年7月14日 第二小法廷判決


主 文

本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。



理 由

上告代理人清水英夫ほかの上告受理申立て理由(ただし,排除されたものを除
く。)について

1 本件は,上告人らが,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成2
1年法律第66号による改正前のもの。以下「情報公開法」という。)に基づき,
外務大臣に対し,琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の
協定(昭和47年条約第2号)の締結に至るまでの日本国政府とアメリカ合衆国政
府との上記諸島の返還に伴う財政負担等をめぐる交渉(以下「本件交渉」とい
う。)の内容に関する文書である原判決別紙1行政文書目録1記載の各文書の開示
を,財務大臣に対し,同じく本件交渉の内容に関する文書である原判決別紙2行政
文書目録2記載の各文書(以下,原判決別紙1行政文書目録1記載の各文書と併せ
て「本件各文書」という。)の開示を,それぞれ請求したところ,上記各文書につ
きいずれも保有していないとして不開示とする旨の各決定(以下「本件各決定」と
いう。)を受けたため,被上告人を相手に,本件各決定の取消し等を求める事案で
ある。

2 情報公開法において,行政文書とは,行政機関の職員が職務上作成し,又は
取得した文書,図画及び電磁的記録であって,当該行政機関の職員が組織的に用い
るものとして,当該行政機関が保有しているものをいうところ(2条2項本文),
行政文書の開示を請求する権利の内容は同法によって具体的に定められたものであ
り,行政機関の長に対する開示請求は当該行政機関が保有する行政文書をその対象
とするものとされ(3条),当該行政機関が当該行政文書を保有していることがそ
の開示請求権の成立要件とされていることからすれば,開示請求の対象とされた行
政文書を行政機関が保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟におい
ては,その取消しを求める者が,当該不開示決定時に当該行政機関が当該行政文書
を保有していたことについて主張立証責任を負うものと解するのが相当である。

そして,ある時点において当該行政機関の職員が当該行政文書を作成し,又は取
得したことが立証された場合において,不開示決定時においても当該行政機関が当
該行政文書を保有していたことを直接立証することができないときに,これを推認
することができるか否かについては,当該行政文書の内容や性質,その作成又は取
得の経緯や上記決定時までの期間,その保管の体制や状況等に応じて,その可否を
個別具体的に検討すべきものであり,特に,他国との外交交渉の過程で作成される
行政文書に関しては,公にすることにより他国との信頼関係が損なわれるおそれ又
は他国との交渉上不利益を被るおそれがあるもの(情報公開法5条3号参照)等に
つき,その保管の体制や状況等が通常と異なる場合も想定されることを踏まえて,
その可否の検討をすべきものというべきである。


3 これを本件についてみるに,前記1の開示請求において本件交渉の過程で作
成されたとされる本件各文書に関しては,その開示請求の内容からうかがわれる本
件各文書の内容や性質及びその作成の経緯や本件各決定時までに経過した年数に加
え,外務省及び財務省(中央省庁等改革前の大蔵省を含む。)におけるその保管の
体制や状況等に関する調査の結果など,原審の適法に確定した諸事情の下において
は,本件交渉の過程で上記各省の職員によって本件各文書が作成されたとしても,
なお本件各決定時においても上記各省によって本件各文書が保有されていたことを
推認するには足りないものといわざるを得ず,その他これを認めるに足りる事情も
うかがわれない。


4 以上によれば,本件各決定は適法であるとして,上告人らの請求のうち,本
件各文書の開示決定をすべき旨を命ずることを求める請求に係る訴えを却下し,本
件各決定の取消しを求める請求を含むその余の請求を棄却すべきものとした原審の
判断は,是認することができる。論旨は採用することができない。

よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。


(裁判長裁判官 千葉勝美 裁判官 小貫芳信 裁判官 鬼丸かおる 裁判官
山本庸幸)



http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=84323&hanreiKbn=02
事件番号

 平成24(行ヒ)33



事件名

 文書不開示決定処分取消等請求事件



裁判年月日

 平成26年07月14日



法廷名

 最高裁判所第二小法廷



裁判種別

 判決



結果

 棄却



判例集等巻・号・頁






原審裁判所名

 東京高等裁判所



原審事件番号

 平成22(行コ)183



原審裁判年月日

 平成23年09月29日




判示事項





裁判要旨

 開示請求の対象とされた行政文書を行政機関が保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟における当該不開示決定時に当該行政機関が当該行政文書を保有していたことの主張立証責任

*******************************************
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014071502000130.html

【社会】


沖縄密約の歴史、闇に 最高裁「請求者に立証責任」


2014年7月15日 朝刊


 一九七二年の沖縄返還をめぐる日米間の密約文書開示訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷(千葉勝美裁判長)は十四日、元毎日新聞記者西山太吉さん(82)ら原告側の逆転敗訴とした二審判決を支持し、上告を棄却した。西山さんらの敗訴が確定した。行政機関が存在しないと主張する文書について「開示の請求者側に存在を立証する責任がある」との初判断を示した。裁判官四人の全員一致の意見。 


 情報開示を求める市民に重い立証責任を課した判断で、特定秘密保護法の施行を控え、国民の知る権利に大きな制約を与えそうだ。


 判決理由で千葉裁判長は「いったん文書があると立証された場合、その後も行政機関が持っていると認められるかどうかは文書の内容や性質、作成の経緯などに応じて個別具体的に検討すべきだ」と判示。文書廃棄などの立証責任を行政側に負わせた一、二審とは異なる判断を示した。


 その上で、密約文書の探索調査をした外務、財務両省が「文書は見つからなかった」としたことを踏まえ、「交渉過程で作成されたとしても、不開示決定時に文書があったと認めるには足りない」と結論づけた。密約の存在を認めた一、二審の判断は維持した。


 一審・東京地裁判決は、米国立公文書館で見つかった米公文書や元外務省局長の法廷証言を基に、国が文書を作成、保有していたと認定。国に文書の全面開示を命じ、原告一人当たり十万円の賠償も認めた。二審・東京高裁判決も国が過去に文書を保有していたことは認めたが「外務、財務両省が秘密裏に廃棄した可能性を否定できない」とし、不開示は妥当と判断した。


 西山さんらは、日本が米軍用地の原状回復費を肩代わりするなど三つの密約に関する文書を開示請求。外務、財務両省は二〇〇八年、文書の不存在を理由に開示しなかった。

◆国の主張を正当化


 西山太吉さんの話 日米政府が共同して国民をごまかすために作ったのが密約文書で永久に保存されるべきだ。最高裁判決は、その文書がないという国の主張を正当化した。国民主権にのっとった情報公開の精神がみじんもなく、民主主義の基礎を崩壊させかねない。


 <沖縄返還協定の密約> 1972年5月に発効した沖縄返還協定をめぐる日米の交渉過程で、米軍用地の原状回復費400万ドルや米短波放送中継局の国外移設費1600万ドルを日本政府が肩代わりし、協定で定められた米国への支出金に上乗せして負担することにした密約。「沖縄を金で買い戻した」との批判が予想されたため、国民には伏せられた。毎日新聞記者だった西山太吉さんが外務省の極秘公電を入手し、報道で密約を示唆したが、公電を提供した同省女性職員とともに国家公務員法違反罪で起訴され、2人の有罪判決が確定した。2000年以降、米国立公文書館で密約文書が見つかり、外務、財務両省は10年3月に「広義の密約」があったと認めた。
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