様々な問題が、派生しています。
〇閣僚の地位を利用した政治活動
〇国民を守るべき自衛隊が、特定の政党のために利用されたこと
〇違法行為をはたらいた閣僚に対する政権の処分のありかたの問題
***********朝日新聞20170629抜粋***
■違法行為不問の政権、責任問題へ 首都大学東京教授(憲法学)・木村草太氏
稲田朋美防衛相の発言は「公務員等の地位利用による選挙運動の禁止」を定めた公職選挙法に違反する明確な違法行為だ。閣僚も地位を利用した政治活動は禁じられている。政治家でもある閣僚が選挙応援に行くことはあるだろうが、地位を離れた形で行わなくてはならない。発言は明らかに、特定政党の応援のために防衛相の地位を利用した選挙運動になっている。
稲田氏は発言当日に撤回したが、違法行為をした事実は消えない。いわば「既遂」だ。ところが、菅義偉官房長官は発言撤回を理由に稲田氏の職務を続行させる考えを示した。これは違法行為がすでになされたのに、官房長官自身が違法性がないと表明したことになる。発言が違法ではないとの判断は内閣の判断ということになり、稲田氏だけでなく菅氏、そして安倍内閣の責任問題につながってくるだろう。(聞き手・相原亮)
■公務員や自衛隊員の「政治的中立性」に関する規定
<日本国憲法15条> 「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」
<公職選挙法136条の2> 「次の各号のいずれかに該当する者は、その地位を利用して選挙運動をすることができない」
(※「次の各号のいずれかに該当する者」とは、「国もしくは地方公共団体の公務員」ら)
<自衛隊法61条> 「隊員は(中略)選挙権の行使を除くほか、政令で定める政治的行為をしてはならない」
(※自衛隊法施行令によると、「政治的行為」とは「政治的目的のために官職、職権その他公私の影響力を利用すること」など)