北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

市民後見人養成講座修了式 ~ フロントランナーで行こう

2012-03-23 23:45:30 | Weblog
 成年後見制度(せいねんこうけんせいど)とは、判断能力の不十分な人を保護するために、一定の場合に本人の行為能力を制限するとともに、本人のために法律行為をおこない、または本人による法律行為を助ける者を選任する制度のこと。

 この成年後見人にはこれまで、弁護士や司法書士など「士」のつく職業による専門職後見人か、あるいは本人の子供など親族による親族後見人が多く選任されています。

 成年後見の主な役割としては、本人に代わっての財産管理と身上相談を受けて適切な判断を下すということが期待されています。 

 認知症や独居のお年寄り、さらに障害を持つ方が増えてゆく中で、成年後見人としてのスキルを持つ方の需要やこの制度の重要性は日増しに高まっています。

 厚生労働省ではこれらの諸課題に対応するために、専門職後見人以外の市民を含めた後見人を『市民後見人』と呼び、その支援体制を構築する必要があるという考えから市民後見推進事業を昨年ほ補正予算で措置して、全国37市町村でモデル事業を始めました。

 わが釧路市でもこの制度に手を挙げて採択となり、昨年10月から東京大学の宮内先生、斉藤先生の全面的支援を受けながら市民後見人育成のためのカリキュラムの作成するとともに、市民後見人としての活動を希望する市民を募集し、研修に参加していただきました。

 今日は、全部で7回にわたる講座を受講し終えた皆さん44名ひとり一人に修了証書を手渡し、これまでのご努力に敬意を表するとともに今後の活動と活躍に期待を込めたご挨拶をさせていただきました。




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 市民後見人となる講座は、ご指導くださる宮内先生のキャラクターもありますが、かなり厳しいもので、たった半年で、市民後見制度の概要と意義に始まり、地域の社会資源の学習などの座学に加え、チーム学習で実際に申立書を作成してみたり、チーム学習の成果発表などかなりハードなものでした。

 一方この研修講座をサポートする市役所側も大車輪で動き回り、家庭裁判所へ飛び込んでこの事業への理解と協力を求めたり、実際に後見人を必要とする市民を募集するなど、市を上げてのサポートに努め、この半年の間に今現在で4事案で6人の市民後見人の誕生にまでこぎつけました。

 たった半年でここまでの成果を上げた釧路市の実績については宮内先生からも高い評価をいただき、「僕はあちこちで釧路を見習え、と言って回っていますよ」とのお言葉をいただきました。

 実際、同じようにこの市民後見推進モデル事業を受けている自治体の多くでも、カリキュラム整備を社会福祉協議会に丸投げしたり、せいぜい今年はカリキュラムの検討程度を目標にしている事例が多いと聞きます。

 それに対して、カリキュラム整備と同時に市民後見人養成と後見が必要な市民とのマッチングまで果たして家庭裁判所から市民後見人の認定を受けるまでに至っているというのは、誇るべき成果と言えるでしょう。

 担当者の一人は、「今回の受講修了者の皆さん全てがそのまま後見人として活動するのはまだまだスキルの面で難しいかもしれませんが、この経験を地域の中で紹介してくださるだけでも、関心を寄せることができると期待しています」と語ります。

 社会からこぼれ落ちる人を少しでも少なくしようという「社会的包摂」という言葉がまだまだ人口に膾炙しない中、実践活動として市民後見人を要請して、事案を増やすこうした活動をこれからもますます展開してゆかなくてはなりません。

 このモデル事業は新年度にも予定されていて釧路市では引き続き応募してゆく予定ですが、新年度も採択されてこのモデル事業のフロントランナーとして悩み・苦しみを後に続く自治体に伝える役回りを努めたいと思っています。

 生活保護率や高齢化率が高い、というのは地方都市にとって大きな悩みですが、そうした課題が大きいからこそ解決への必要性へのモチベーションも高まるというもの。

 課題先進都市は課題解決先進都市になれる、という見本を見せてあげたいものです。

 釧路の福祉は結構頑張っています。


 【全員で記念写真をパチリ】
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