こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

村田エフェンディ滞士録

2007-03-14 00:00:00 | 未分類
梨木香歩さん『村田エフェンディ滞士録』を読みました。

土耳古のフリゲート艦エルトゥール号が、和歌山県沖で台風に襲われ難破したときに
地元の人々を含めて日本人が救助及び看護をした。
それに感激した土耳古皇帝が、両国の友好のますます深まらんことを願って、
日本の学者を一名、土耳古文化研究のため、彼の地へ招聘することにした。それが村田である。
彼は、英国人ディクソン夫人の営む下宿屋に住むこととなった。

この屋敷に住む他の住人は、ドイツ学者オットー、発掘物の調査に当たる研究家ギリシャ人のディミトリス、
下宿人のための料理や下働きをする土耳古人ムハンマド、そしてムハンマドに道で拾われた鸚鵡である。

宗教的・文化的に合わないところがあっても、穏やかに友好的に暮らし、
様々な人々との交流や発掘調査を行うなどの充実した生活が、読んでいて楽しかったです。

また、お見舞いのお礼にもらった稲荷の札やエジプトの昔の神の置物から霊現象が起き、
現実でもきなくさい様相を深めていく。
西洋による侵略が起き、国民がまとまりたいと思っても、他民族国家ゆえに完全にはまとまれず、
抵抗が難しいという現実。

悲しい終わり方をしたけれど、人種・宗教を超えて友情は変わらないと願わずにいられません。

コメント
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