京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

石山寺本尊御開扉

2016年04月10日 | 催しごと

はらはらと、しず心なく舞う落花。一方で、青紅葉が美しく映え出していた石山寺。33年に一度、日本で唯一の勅封だという秘仏本尊・如意輪観音菩薩が御開扉中で、拝観した。駐車場は満車の順番待ちで、大型観光バスも目立つ。こんなに観光客で賑わうのか、と改めてこの寺の人気を知ったが、そのわりに御開扉の本尊拝観者は少ないようだった。


「(入り口で)払ってきてるのに、まだお金取られるの!? 」って女性の声がした。そう…、入山料600円、本堂まで進んで本尊(内陣)拝観にまた500円。特別展も見て行こうとなると、ここにまたプラス。ご朱印をいただこうと思えばさらに…。寺詣りも出費がかさむというわけで、パスする人も多いのだろうか。関心の有無はそれぞれだけど、33年に一度の機会に足を運んでいて、拝することなく帰るのももったいないのでは。


本堂は火災に遭っていて、天平時代作の初代本尊は損傷。残された破片が特別展示されていた。着衣部分の破片には、細かな花柄を含む文様が線描状態で残っていた。ガラスケース越しに目を凝らすと、薄く、しかし、はっきりと朱赤の色がさされているのが見えた。小さな花びら2、3枚にだったか、小筆の先でチョンチョンと色を置いたように。色が残ってる! この小さな発見が嬉しかったのに、見終わって横を見れば、「彩色の塑像だった」ことが説明されていた。これほど無数の時間を重ねた今、天平の古びとが彩色する姿を想像して、なんとなく感動してしまった。

「唇が赤いね」と言われ、「うん…」とだけ返事していたのは、いつ、誰と、どこででの会話だったのか。最近だったと思うのに思い出せないでいる。夢だったのかしら…。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする