ものすごく久しぶりに映画館に足を運んだ。
チェックしてみたらなんと昨年の4月以来。これでも昔はいっぱしの映画ファン気取りだったのだが。
足を運んだ先は珍しく新宿。
K's Cinemaという初めての映画館はJRの東南口から3分ほどのビルの3階にある。
84席のミニシアターだが、座席のクッションが良くてかなりいい。
さて、好きではない新宿までやってきたのはこの映画の上映館がここしかなかったから。
「ただ空高く舞え」 Soorarai Pottru
インド映画だけれどヒンディーではなく、ちょっと珍しいタミール語映画。
主演はタミール語映画のスターでこの映画のプロデューサーでもあるというスーリヤ。大きな目で、髪を短くするとサルマン・カーンにちょっと似ている。
お話はインド最初のLCC、エア・デカンを創業したGRゴピナートという人の自伝を元にしている。
実話では2000年にアメリカでLCCのことを知り、2003年には創業して「早期予約者はチケット代1ルピー」という広告で話題になったとのこと。
映画は実話のエピソードをうまく取り入れたフィクションなので悪役がえぐすぎたりもするのだが、「職業や収入、カーストに関係なく、誰でも飛行機に乗れるように」という哲学はしっかり伝わる。
面白いのはちょっと太めの奥さんが「自分は自分、結婚しても相手とは対等」とパン屋を続け、「機内食にはうちのパンを使って」としっかりビジネスするところ。創業者の奥さんは本当にパン屋で旦那さんを助けたのだとか。
最近は韓国や中国のドラマでも「玉の輿に乗るより自分らしく生きたい」というヒロインが増えていて、このトレンドは南インド映画にまで及んでいるんだ、と感心した。
航空会社の話とは言えインド映画らしく歌や踊りが入っていて、ちと長いこれがなければ150分の映画も120分ぐらいに収まるだろうと思うし、ボリウッド映画に比べるといささか泥臭い所があるが、わかりやすい映画で素直に楽しめる。
ちなみに現実のエア・デカン、創業から4年で資金困難に陥ってビール会社が経営していたキングフィッシャー航空に買い取られた。ところがこちらも経営がうまくいかなくて、2012年には運行停止してしまったとのこと。
映画の中にはキングフィッシャーの社長によく似た大金持ちがちょっと皮肉な役で出てくるのも裏話を知ると面白い。
ところでせっかく行く新宿でお昼はどうしようかと考えていると京王百貨店で駅弁大会が開催中と判明。駅弁好きとしてこれは行かねば。
と7階の催事場に行くと、ここだけは大盛況。とは言え平日の昼間なので行列もたいしたことはない。
地方ごとに運ばれてきた駅弁がずらりと並んでいるが、有名どころは結構もう食べちゃっている。
そこで選んだのは「ここでしか食べられません」というおばちゃんの売り言葉に惹かれた福井の焼き鯖と鯛の漬けが乗ったお弁当。
空弁を作っている会社で、これは京王百貨店での限定販売とまったく駅弁ではないが
会場の端のお休み処で早速いただくと特に鯛の漬けが寿司飯によくあっておいしい。
さらにもう一つ、目移りしながらこれも買ってしまった。
卵の下は具なしのケチャップライス、おかずは鶏唐揚げにソーセージ、エビフリャーとお子様ランチだが、ぴよりんの飴まで入ってかわいい!こちらは夕食においしくいただきました。
ついでに帰りは宮崎県のアンテナショップに寄って
大好きなチーズ饅頭を全種類一つづつ。
たまには新宿に行くのもいいかも。
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現在日本からニュージーランドに飛んでいるのはニュージーランド航空だけ。
というわけで初めてこの航空会社を使ってみた。
成田からの出発はもう暗くなった午後6時半。
尾翼のシダのペイントがかっこいい。
機材はB787-9で、エコノミー席は3-3-3配列。
搭乗時、なぜか照明が怪しい紫色。たしかカタールも夜はピンクっぽい照明だったが、この色に何か意味があるのだろうか。
機内はほぼ満席で、乗客の9割は日本人。時期のせいか、グループ客は中高年が圧倒的に多い感じ。
中央アイルの通路側を選ぶとラッキーなことに隣は空席。中央アイルの真ん中席は空席が多いので、長距離の場合は絶対に中央アイル。
座席は薄型の造りでリクライニングも浅めだが座り心地は悪くない。
ユニークな保安ビデオで有名なNZ航空だが、現在は子供向け番組風でちょっと残念。
安定飛行に入った所ですぐに夕食。事前のドリンクのサービスはなし。
メイン一皿にサラダ、デザートと品数が少なくてあまり見栄えがしないが、チキンなど味が良くてかなりおいしい。
最近の環境保護のためだろう、お皿はすべて紙製。
とそれはいいのだが、ナイフとフォークが木製なのは困りもの。ナイフなど全く切れなくて役に立たない。
食後は映画でも見ようと思うが、本数はそこそこあるものの見たいと思うようなものはまったくなく、かろうじてニュージーランドのTVシリーズ、「ブロークンウッド」の最新シリーズがあったので1本見た。
この番組、ケーブルのミステリーチャンネルで放映されていて、さえないおっさんが主人公だけれどなかなか面白いのだ。
途中、トイレに行くと壁紙が面白い。
本棚の柄になっているのだが、タイトルに洒落が効いていてつい読んでしまう。
その後、3,4時間はウトウトして朝食のサービス。
こちらは定番メニューだが、なぜか朝はパンが付かない。
出発は20分ほど遅れたが定刻にオークランドに着陸した。
そして帰路、今度は深夜23:55の出発。
今回も20分ほど遅れて、日本人でほぼ満席の機内。
入口で迎えてくれたのはガタイが良くて手の大きな「女装」のパーサーさん。日本ではまだちょっと考えられないが、これからはこういう姿も当たり前になっていくのだろう。
夜中だし、なかなかサービスがないので夕食は出ないのかと思ったら、NZ時間の午前2時ごろにミールサービス。
焼うどんというメニューに興味がわいて頼んでみると、上に乗った照り焼き風チキンがおいしい。キヌアのサラダは残したが、ホワイトチョコのアイスクリームはおいしくいただいてしまった。
その後は少しまどろんで、目が覚めた所で映画を物色。
月が替わって内容も少し変わっていたので、ごひいきケイト・ブランシェットの映画を選んでみた。
「The New Boy」
この映画の主人公はアボリジニーの少年。孤児らしく、ケイト演じる修道女が運営する孤児院に連れてこられるのだが、最初に白人の男を殺しているような描写があって、どういう経緯で連れてこられたのかがまずわからない。
この子には超自然的な能力があって他の子どもの怪我を治したりするのだが、孤児院にキリストの像が届くとこれに魅了され、クリスチャンの洗礼を受けると不思議な力も消えてしまう。
キリスト像との関りでは古いスペイン映画「汚れなき悪戯」のような場面があるのだが、テーマはおそらくアボリジニー文化の否定の功罪だと思われるのでどうもしっくりこない。
どうにもわかりずらい映画で、見終わってもすっきりしなかった。
着陸2時間前には朝食が出て、今回もオムレツ。スパイスの効いたソーセージがおいしい。
ということで初めてのニュージーランド航空、特筆すべきことはないが意外な食事のおいしさに感心したフライトだった。
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最近すっかり話題の国立科学博物館。
「和食」展なる面白い企画展を開催しているので、応援も兼ねて行ってきた。
本館とは別の入り口から入るので混雑とは無縁。
まずは食材に関する展示があって
なぜ日本の水は軟水なのか、とか、ほとんどの野菜は実は外国からの渡来だとか、地味だけれどなるほどと興味深い展示。
西洋野菜と呼ばれるものはともかく、レタスが実は奈良時代に入っていて、白菜が来たのはやっと江戸時代とはびっくり。
渡来した野菜類はもちろんどんどん改良されて
地域ごとの大根だけでも面白い。
500㎏を超えるクロマグロの模型があったり
寿司ネタはどこの部分を食べているのかとか、思わずへえ。
科学博物館らしいのは植物標本で
なじみの野菜の標本も珍しい見せ方だが
海藻の標本はインテリアにしても良さそうなほどきれいでおしゃれ。
食材の次には日本の食事が時代ごとにどう変化して来たかの展示。
縄文時代から夏は魚介類、冬は獣肉類中心とかなりバラエティに富んだ食事をしていたらしく
卑弥呼の食事などもうすっかり「和食」。
日本は大昔から食に恵まれた土地だったとわかる。
奈良時代の長屋王の食事など今見ても豪華でおいしそうだけれど
庶民の食事は悲しい。
織田信長が徳川家康を接待した豪華な食事の再現もあるが、
一番興味深かったのはペリーが来航した時に出された食事。というのも以前、下田の黒船ミュージアムで、一人頭現在の価値にすれば50万円相当の食事をふるまったのに、アメリカ人たちは気味悪がってほとんど食べなかった、と知ったから。
どんなものかと見ると、江戸の一流料亭の料理人が用意したというこの食事、こちらに食べさせてくれえ、と叫びたくなるほどおいしそう。食べてもらえなかった料理人はどれだけ無念だったろうか。
江戸時代の外食は江戸の災害復興のために単身の職人が大勢集まったために発達したというのも興味深く
江戸時代の料理の作り方はQRコードを読み込むと見ることができるようになっている。
明治時代になると洋食が発達するが
河鍋暁斎の挿絵がついた料理本まで登場。
博物館ではカレーやオムライス、ラーメンなどは「和食」か、というアンケートを取っていて、その結果はリアルタイムで見ることができる。
個人的には日本の「洋食」は確かに日本独自のものだけれど、「和食」と呼ぶのはちょっと違うんじゃないかと思ってしまう。和食ではなくJapanese Food 日本食、かな?
戦後の食生活の変化を紹介するのにサザエさんを使っているのもとても面白い。
台所や食事がたくさん登場するところ、さすが女流作家ならではだろうか。
生活の変化が実に分かりやすくて、新聞マンガの鏡。
日本各地のお雑煮の紹介もよくあると言えばあるけれど、サンプルがリアルでわかりやすく、我が家は東京風だけれど、長野や長崎がすごくおいしそう。
この展示に限らず、観覧者の感想を聞いているのもなかなかおもしろいのだ。
特設のショップも力が入っていて、食品サンプルの出来が見事だけれど、ネギ塩牛タン11,000円はちょっと手が出ない。
2時間近くもこの特別展を楽しませてもらって、少し常設展も覗いて行こうかと思ったが、本館に行ってみると小中学生の社会科見学でものすごい混雑。
科博がクラウドファンディングに踏み切った理由の一つはコロナで入場者が減ってしまったためだったそうだが、募金の成功とこの子供たちの戻りでしばらくは息がつけるだろうか。
久しぶりの「密」に恐れをなして退散した。
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おなじみトーハクで開催中の「やまと絵」展、さほど心を動かされていなかったのだが、実は絵巻がたくさん出ていると知って急に行きたくなった。
今回予約が必要なのは週末だけ。平日のお昼頃なら適度な人の入り。
はじめさほど興味がなかったのは「やまと絵」と言えばこんな風景画を思ったから。
これは屏風絵だが、ぺろっとした山水が広がる景色、確かに中国の山水画とは違う日本の景色だが面白みもあまりない。
が、平安時代ごろからの絵巻物となるとこれは大好物。
源氏物語絵巻などもごく一部だが出ているし
信貴山縁起絵巻は米蔵や米俵が空を飛んで、お話は知らないけれど追いかける人々の表情を見るだけでこちらまで笑いたくなる。
さらに好きなのは百鬼夜行絵巻とか地獄草紙、病草紙。
おどろおどろしい景色を描きながらなんともコミカルで、日本の漫画やアニメはこういう絵巻のDNAを受け継いでいると思うのだ。
繊細な絵がほとんどなので会期中、展示替えが多いようだが、ちょうど見ることができた中で圧巻だったのは源頼朝の有名な肖像画。
こんなに大きかったのか、と驚くほどのサイズで、その端正な表情と共に大迫力。
昨年の東博150周年記念の国宝展もすごかったが、今回のこちらも国宝、重文だらけですごいクオリティー。
細かい絵巻物など息をつめて見るので、混雑と言うほどの観客ではないとはいえ列はなかなか進まず、観覧には時間がかかる。
この後は別の博物館にはしごしようと思っていたが、精が尽きてしまった。
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仏像友達(?)、Trintrinさんに教わって、半蔵門ミュージアムに初めて行ってみた。
場所は地下鉄半蔵門駅すぐ上。
立派なビルの玄関に入るとすぐに受付があり、初めての来館だと告げると丁寧に館内の案内をしてくださる。そしてこのミュージアム、なんと入場無料なのだ。
館内は撮影禁止なので以降の写真はパンフレットからのものだが、展示室は地下1階にあって、薄暗い中、絶妙にライティングされてまず迎えてくれるのはガンダーラの浮彫たち。
7点ほど並んだこれがどれもとても石を彫った物とは思えないほど繊細な表情で、驚くほどの高品質。
そして次に迎えてくれるのがこのミュージアムの目玉、運慶作と推定される大日如来像。
思ったよりも小さな像だが、威厳がありながら優美で見飽きることがない。運慶作だろうとなんだろうと、素晴らしい仏像。
常設展に続いては特別展で、現在は堅山南風の「大震災実写図巻」が出ている。
これは今年が関東大震災からちょうど100年だからの展示だが、一見コミカルにも見える墨絵がよく見ると悲惨な状況を映していて、中には震災後の自警団によるリンチの絵まであるのだが、ここだけはオリジナルの展示はなく、小さな写真だけ出しているのは何に対する忖度なのだろう。
展示室は小さいがとにかく質が高く、エレベーターで3階に上がるとこちらには立派なシアターがある。
フカフカの椅子で拝見したのは「大日如来坐像と運慶」という20分ほどの映画。これがまたお金をかけて作っているのがすぐにわかるいい出来。
2階には絵葉書と書籍を並べたショップがあって
ここで思わずこんな本を買ってしまった。
何年か前に運慶と快慶の展覧会を続けてみて、天才運慶のすごさに圧倒されたのだ。
短い時間ながら上品な半蔵門ミュージアムを堪能させていただいたが、この美術館の母体は「真如苑」なる仏教系の宗教団体。
幸いにして美術館内に宗教臭さはないが、ここといい、以前訪れたことのあるMiho Museum、あるいは熱海のMoa美術館といい、新興宗教はどれだけ集金マシーンなんだ、と考えずにはいられない。
欧米でも歴史ある大きな教会には立派な美術館が付属していることがよくあるが、私設美術館はたいてい大富豪の個人美術館で新興宗教団体のものは見たことがない。
日本の宗教法人がそれだけ税制で優遇されている証拠だと思うが、最近また騒がれている某宗教団体のようによその国に持って行かれて怪しい一族に贅沢されるよりはましだろうか。
なにはともあれいい目の保養ができて、Trinさんに感謝。
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所要ででかけたついで、珍しく日本橋方面へ。
やってきたのは威風堂々たる姿の三井本館、その隣の三井タワーから入る三井記念美術館。
三菱一号館美術館には何度も行っているが、三井の方に来るのは初めて。
吹き抜けのアトリウムから入ると通路が本館に繋がっていて、エレベーターの扉や回数表示板もレトロで素敵。
7階で降りると2匹の鹿に迎えられ、本日拝見するのは「超絶技巧、未来へ!」展。
超絶技巧と言えば江戸末期から明治の職人たちが有名だが、今回の展示は「未来へ」というタイトルの通り、現代の、それも30代などとても若い作家さんたちの作品が中心。
ほとんどの作品は撮影不可だが、所々に撮影OKの表示があって、SNSでの拡散を狙っているとはいえ、こちらも記録ができてありがたい。
最初に驚いたのがこちらの木彫り。
チョウチョの羽は自然色のままの木を組み合わせ、水滴も彫りだしているというからすごい。
こちらの月下美人の花は鹿角を彫ったもの。花器に水を注ぐとこの花がゆっくりと開くそうで、その様を見てみたい。
このスルメはなんと、継ぎ目のない一木造り。スルメを吊るすクリップまで一緒に彫られている。
菊の彫り物が置かれている茶室は元三井家所有の織田有楽斎の国宝「如庵」の複製とか。
陶磁作品も凝りまくっていて
これは細かいリングを繋いで袋状にしたもの。気が遠くなりそうなリングの数。
ガラス作品も粘菌が宙に浮いているよう。
この大きな犬は銅でできているが、体が蝶で覆われている。
何の変哲もなさそうな薄汚れた工具箱はなんと漆器。持ち上げると思わぬ軽さに驚く仕掛けらしい。
現代作家さんたちの作品は確かに超絶技巧だが、それ以上にその発想が面白くて、洒落が効いたものが多い。
展示の後半は明治期の工芸品で、これらももちろんすごい技術なのだが、現在の目で見ると技巧が先走ってToo muchと感じてしまう。
これが時代感覚の違いと言うものだろうか。
かわいかったのはこの鳩の家族。
他に刺繍作品にも素晴らしいものがあるが、それらは作家の名前も残っていない。
楽しい展示に期待以上に満足して三井本館を出ると時間はお昼をまわった所。
食事をしようと思ったが、良さげなところは近所のサラリーマン、OLさんたちが行列を作っている。
そんな中、コレド室町の地下で気になるもの発見。
黄金モンブランソフトは真ん中がソフトクリームで栗は目の前で絞り出してくれる。
小さな店の奥のカウンターでいただいたが、これ一つでおなかは満たされた。
たまに来る日本橋も楽しい。
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暑すぎておいそれとは外出する気になれない今日この頃。
所要ででかけざるを得なくなった一日、ついでに上野まで脚を延ばした。
やって来たのはいつもの東京国立博物館。
お目当ては平成館の「古代メキシコ」展。
中南米のマヤ文明やインカ帝国、小学校の頃は夢中になって本を読んだ。
しかし知れば知るほど中南米の諸文化は血なまぐさい。捕虜の心臓を取り出したり、子供を人身御供にしたり。
独自に発展した文化とは言えいささか心が離れていたが、今回は入場に予約も必要なく、人も少ない所で涼もうとやってきた次第。
平日のお昼過ぎ、ガラガラかと思いきや
思ったより見学人多く、子供連れもちらほら。夏休みももうすぐ終わり、会期終了も迫っているので駆け込みが増えたのかも。
会場には大きな石彫の柱頭やレリーフもいくつか来ているが、多くは小さな土偶類。
動物を象った物も面白いが
人型の物が圧倒的に面白い。
何が興味深いかと言えばその表情がアジア人そっくりなところ。
中国の古代遺跡から出て来たと言われても納得してしまうほど技術も表現も素晴らしい。
特に最初のエリアにあったマヤの貴人像、1000年以上も前の物とは思えないきれいなブルーが残っていて、こういうものは大好き。
展示の目玉はパレンケから出土した赤の女王と呼ばれる女性の出土品。
顔を覆うマスクは緑のヒスイで作られていて、これも中国の出土品によく似ている。
中南米の原住民は遥か昔、アジアからベーリング海峡を渡ったとされているから顔が似ているのは不思議ではないが、埋葬の仕方も延々と伝わったものがあるのだろうか。
もう一つ興味があったのはマヤ文字。
子供の頃に読んだ本では全くの謎の文字とされていたが、今では7割ほどは解読されているのだとか。すごい。
今まで中南米方面にはほとんど興味がなかったけれど、メキシコ直行便も復活したことだし、そろそろ考えるかな。
などと考えつつ、せっかくなので東博本館にもちょっと寄り道。
すると小さな展示室で河口慧海の特集を発見。
明治時代にチベットに単独潜行した慧海、正直本を読んであまり好きにはなれなかったし、展示もたいしたものではなかったが
この標本箱のようなものだけは子供の自由研究のようで面白かった。
帰路にはあまりに暑いので上野駅でかき氷。
おいしいけれど、量が多すぎて最後は舌がマヒしてしまった。
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飛行機に乗ったら映画を見る、しかも今回は大きくてきれいなモニターにノイズキャンセリング機能付きイヤホンと環境は整っていたのだが、その割に見たいと思うものが見つからなくていささか不調。
と言うのもカタール航空の映画のセレクション、エミレーツほどは充実しておらず、特にアジア系は少なく、各作品の解説もほとんどないので知っているもの以外は選びにくいのだ。
そんな中からまず一本目、ちょっと気になっていたこちらを選択。
「Women Talking ウーマン・トーキング 私たちの選択」
舞台はとある宗教コミュニティー、文明の利器を否定し、清貧と労働こそ天国への道と信じて閉ざされた社会を作るところ、「刑事ジョン・ブック」で描かれたアーミッシュによく似ている。
この小さなコミュニティー内で女性たちが家にいながら次々にレイプされる事件が起き、犯人たちは街へ護送されるが、男たちが彼らを取り戻しに行く。その留守の2,3日の間に教育を否定され、文字も読めない女性たちが今後の身の振り方を相談するために集まって議論を戦わせる、というお話。
こういう内容だからとにかく理屈っぽい。薄暗い納屋の中でひたすら議論なので、主張したいことはわからないでもないし、女優さんたちも熱演だが、舞台ならぬ映画としてこの作りはいかがなものか。
議論のテーマは「犯人たちに許しを与え、今までの生活を維持すべきか」「拒否してコミュニティーを出て行くか」なのだが、なにしろガチガチの宗教コミュニティーなのでこれまでの教えを否定したら天国に行けない、地獄に落ちるという考えに縛られる。
多くの宗教、特に新興宗教に共通するだろうこの脅しはやっかいだ。
それにしてもこの事件、映画の中では露骨に描かれないが、ボリビアで実際に何年も続いていた実話を元にしているというから驚く。しかも犯人たちは逮捕されながら「村では昔からみんなやっていたこと」となぜ自分たちだけが、と不満そうなのが恐ろしい。
映画の中の女性たちは最終的にある決断をするのだが、この結末はいかにも現実実がなく違和感がある。
興味深いテーマではあるが頭でっかちで心に響かない映画。
2本目は韓国映画。
「ベイビー・ブローカー」
韓国が舞台で俳優たちもすべて韓国人だが監督は日本の是枝裕和。
そのためか、捨て子や違法養子縁組を取り扱いながら、ちょっと甘目の味付けのような気がする。
小悪党であるはずの主人公がお人よしと言う設定はソン・ガンホの得意とする役柄だろう。子供の世話をする所などあまりに自然で感心してしまった。
それにしても韓国のドラマを見ていていつも思うが、孤児院出身は言うに及ばず、親が既に他界していることがそんなに肩身の狭いことなのだろうか。年齢の順に亡くなるのは自然なことなのに、といつも不条理に感じてしまう。
往路の映画は上の2本、復路は1本だけ見た。
「Downton Abbey: A New Era ダウントン・アビー 新たなる時代へ」
TVでおなじみのシリーズ、シーズン1からすべて見ているので知り合いに再会したような気分。
しかし最初の放送から既に12年、役者さんたちも皆さん相応に年を取っているのを確認するのがうれしいような寂しいような。
今回の舞台は1930年。ダウントンで行われる映画撮影の裏話と、いきなりバイオレットおばあさまに遺贈された南仏の別荘に伯爵夫妻が出かける話が交互に進行する。
そのためいささかとっちらかっている印象があり、お話も全体に軽い。
が、クライマックスは予想された展開ながらさすがの役者さんたちのうまさ、家族のようになじみになったキャラクターたちなので思わず泣かされてしまった。
次はいよいよ不穏な時代に突入するのだろうか。
このシリーズ、やっぱりずっと続けてほしい。
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今回のジョージア行きにはおなじみS社のツアーを利用したが、航空会社がカタール航空というので思い切ってビジネスクラスにしてみた。
というのも個室になると評判の Q Suite というものを経験してみたかったから。
まずは羽田空港から、深夜1時の出発、機材はB777-300ER。
友人と二人なので中央の横並び2席。
最初の印象は思ったより狭い、特に縦の長さがあまりない感じがしたが
脚を伸ばしてみれば座った状態では前のオットマンにようやく届く長さ。フルフラットにしても自分の身長ではもちろん問題ないが、大きな男性ではちょっとつかえるかも?
モニターの下のでっぱりにはコントローラー類が集められ、座席脇の蓋を開けるとヘッドホンとミネラルウォーターが入っているが、ここにはバッグなども入れられて便利。
テーブルの上には小さなクッションと丸められた毛布。これが厚くてフワフワ。
小箱にはおフランスのDiptyqueと言うブランドのクリームやトワレ、靴下とアイマスク、イヤプラグ。
さらにパジャマとスリッパが配られるが、このパジャマが薄手でなかなか着心地がいい。
離陸前にはライムミントジュースをいただいて
飛び立ったらノンアルコールのピンク・シャンパンをいただく。飲む人にはシャンパンとは言えないかもしれないが、この見た目で雰囲気は出る。
もう夜中の2時を回っているが、せっかくのビジネスで食事をいただかなければ、とオーダーをするとクロスの敷かれたテーブルにはパンとライトが置かれ
アミューズはスパイシーなエビ。パンとオリーブオイルがおいしい。
前菜はアラビアン・メゼ。ホムスはいまいちだったけれど、ナスとパプリカのペースト、うまし。
メインはなしにしてミックスベリーを頼むとボウルにてんこ盛りで来た。
食事を終えたらベッドメイクをしてもらい、扉を閉めるとなるほど個室。
立ち上がって身を乗り出さなければ他の座席は見えない高さの壁で、中で着替えもできる。これは安心して寝られる。
と言いつつ、クッションは硬めで寝たのは4時間ほどだろうか。
朝食にはグラノラとヨーグルト、フルーツをいただいて11時間の飛行終了。
ドーハからジョージアの首都、トビリシまではA320。
3時間の旅なので旧型のシート、座席にモニターはなく、代わりにタブレットの貸し出しがある。
そしてポケットに入っていたのはこんな「保護キット」。
マスクの他に殺菌ジェルとゴム手袋まで入っていたが、今回は幸いにして出番なし。
朝、9時半の出発なので機内食は朝食かと思ったら、ちゃんとフルコースの昼食が出た。
前菜はまぐろのたたき。中央が生でうまーい!メインはお目当てのカタール風チキンとやらが売り切れだったのでパスして、ライスプディング。甘さ控えめでこれもよかった。
帰路もトビリシ~ドーハはA320。今度は遅い昼食で、スープは牛肉と野菜の入ったジョージア風。
メインにラム・ビリヤニを頼んだらレーズンやカシューナッツの乗ったご飯の下に柔らかい羊肉がいっぱい。これは絶品で大満足。
勢いでハニーケーキとやらを頼んだら、こちらは激甘だった。
ドーハから今度は成田行きで機材は最新のA350-1000。
座席が今度は進行方向とは逆向きになったが、思った以上に違和感はほとんどなく問題なし。
出発が午前3時を過ぎていたので、今回はさすがにすぐ就寝。
また4時間ほどで目を覚まして、お茶をお願いするとおいしいクッキーが付いてきた。
朝食のスムージーもおいしく
これは和食になるのか、分厚いヒラメの柚子味噌餡かけ。これはなかなかよかったが、付け合わせの野菜に大きな赤トウガラシが入っていて辛いのには驚いた。
たっぷりのフルーツもうれしく
到着の前にはスイスのレダラッハのチョコレートが配られる、これもおいしかった。
と、噂にたがわず満足度の高いカタール航空のビジネスクラスだったが、そのサービスのすごさは実は飛行機から降りた後にこそ実感されるのだった。
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コロナが収まり始めてからもう3回外に出ているけれど、今回はやっと遠出でスペインへ。
今回はなんと、11年ぶりのエミレーツ。
A380はさすがに大きくて、しかも満席なのですごい乗客数。そのうち日本人は半分ぐらいだろうか。
成田からの出発は22時半と遅く、機内食が出たのは夜中だけれど、つい好奇心でもらっちゃう。
すると魚がなんと鯖!普通機内食の魚と言えばタラか鮭が相場なのでこれには驚いたが、乾燥対策だろう、ちょっと餡かけになっているがまぎれもない塩焼きで焼き上がりも悪くない。
デザートのチョコレートケーキまでおいしくいただいてしまった。
そして夜中にもかかわらず、どうせ眠れない、と映画を見始める。
1本目はイギリス映画。
The Lost King
2022年の映画だが日本未公開。というのもこれはリチャード3世の遺骨が2012年に駐車場の下から発見された話だから。
日本ではあまり知名度がないだろうリチャード3世はシェイクスピアの劇で醜い悪役にされているが、実はそうではなかったと信じる「リカルディアン」と呼ばれる人たちがいて、この映画の主役で実際にこの遺骨発見のリーダー役となったフィリッパ・ラングレーもその一人。
アマチュア歴史家ながらその熱心さで遺骨発見にこぎつけるのだが、演じているのが「シェイプ・オブ・ウォーター」のサリー・ホーキンズなので、慢性疲労症候群の主人公がいささか神経症的に見える。
遺骨発見の経緯も勘で探し当てたように見えてしまって、ジョセフィン・テイの「時の娘」を読んで以来気になっているリチャード3世の話として期待して見たが、ちょっと期待外れだった。
続けて2本目はドキュメンタリー。
The Real Charlie Chaplin
あまりにも有名なチャップリンだけれど、スキャンダルはいろいろあって、その最たるものはロリータ嗜好。「街の灯」の主役が「私は二十歳で年を取り過ぎていた」というくらいで、4回の結婚のうちの3回は相手が10代。
40年代にはハリウッドの赤狩りの対象にもなってアメリカを追われたり、ネタは豊富にあるのだけれど、生い立ちから晩年までを網羅しているのでどの話も食い足りない。
2時間弱の映画にするのは無理だったのかも。
さらに3本目、今度は韓国映画にしてみた。
My Perfect Roommate ルームシェアリング
一人暮らしの老人の一部屋を安い家賃で若者に貸し、互いを助け合わせようというプロジェクトの一環で同居を始める偏屈なばあさんと孤児の大学生。
予想通りの展開で互いの人生がわかり始め、仲良くなる話だけれど、こういうお話は定石通りがよろしい。
おばあさん役は最近Netflixで見た「ナビレラ」でもいい感じのお母さんだった人。韓国の役者さんたちはみんなうまい。
と映画三昧しているうちに2度目の機内食。
これは朝食なのか、鶏肉の載ったうどん。
フルーツソースのかかったギリシャヨーグルトが濃厚ですごくおいしかった。
成田からドバイまでが11時間、ドバイからスペインのマドリードまではまだ8時間近くかかる。
そしてこの便もA380。
ドバイ空港にはこの巨大な飛行機がずらりと並んで壮観だ。
飛び立ってすぐに出されたのは
卵サンド。これが結構おいしくて、また食べちゃう。
2食目はビーフストロガノフだったけれど、さすがにここまで来ると食べ過ぎでもう入らない。
そして帰路。マドリードからドバイは午後の出発。
1食目はチキンだけれど、これが硬くて切るだけで疲れちゃう。
2食目はチーズのパイで、これはちゃんと温められていておいしかった。
ドバイから成田は夜中の2時40分発。
これもまたA380が満席で、周りはイタリア人の大団体。日本人乗客は3割ほどしかいなかった印象。
ドバイ時間の3時半ごろ出されたこれは朝食なのだろう、フルーツとグラノラをおいしくいただく。
そして帰路、ウトウトしながらもずっと見ていたのはイギリスBBCの「The Great British Bake Off」という番組。
これ、現在NHKのEテレと、ケーブルのFoxでも過去のシーズンを放映しているが、素人の参加者たちがお菓子作りの腕を競う番組で最高に面白い。12人の参加者が毎週一人づつ振り落とされていくのだが、最初は男女6人づつ、年齢も人種も様々なのがイギリスらしくて、最新シーズンの10週分を一度に見られて大満足。
そしてやっと最後の1食。
ビーフヌードルを選んだらこの牛肉がとても柔らかくて、香菜入りのサラダも癖が強くて好み。
というわけで、久しぶりのエミレーツはエコノミーの食事がおいしくなり、以前から選択肢豊富だったエンタメ・システムはもう選べないほどの本数になった。
以前はしっかりしたポーチだったものがなにやら紙製の入れ物になってしまったが、相変わらずエコノミーでも歯ブラシなどくれるのもありがたく、長いフライトをいやというほど満喫させていただいた。
が、実は今回の旅、マドリードからさらに飛行機に乗ったのだった。
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