Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

「パリタクシー」&「Air エア」

2023-04-13 11:16:24 | 機内食・映画・美術展

珍しく、2週間続けて映画館に足を運んでしまった。

まずは有楽町駅前、読売会館8階の角川シネマ有楽町。
日比谷、有楽町の映画館も昔とはすっかり変わってしまったけれど、ビックカメラの上がこんな名前の映画館になっているとは知らなかった。

こちらにやって来たのはこれを見るため。
 「パリタクシー」 Une Belle Course

それほど大きな劇場ではないけれど、平日午前中でも驚いたことに9割ほどの入り。
そのまた9割が自分も含めておばちゃん、おばあちゃんだったのはこのタイトルから予想した通り。

お話は92歳の女性主人公が自宅を出て高齢者施設に入居するためタクシーを呼ぶ。その道中、自分が昔住んでいた所に寄り道してもらいつつ、運転手に自分の人生を語り、心を通わせるというもの。
向かう先はもちろん名所旧跡ではなく、昔の住居の面影はなくなった、となるわけだが、パリ市内をあっちへ行ったりこっちへ行ったりするうち、エッフェル塔やら凱旋門やらを通り、セーヌ河畔で休憩したりとパリの街並みを見せるのは期待通り。

始めはただの会話に飢えた年寄りと思われた主人公、実は過酷な人生を歩んできていて、中に一か所ひえ~と思うような場面もあるのだが、ストーリーはまあこういう展開になるだろうと予想する通りの予定調和。
しかしこういう人情噺は定石通りがいいのだ。

主人公を演じているリーヌ・ルノーというシャンソン歌手は実年齢も90歳を超えているそうだが、えくぼが可愛くてエレガント。さすがフランスの女優は美しく年を取る。
が、それ以上にいいのはタクシー運転手役のダニー・ブーン。こういう運転手、いるよねという不愛想でがさつな彼が打ち解けるにつれて笑顔を見せるようになる、それが自然で魅力的なのだ。

タイトルから想像するほど軽い内容ではないけれどかわいらしい映画。
またパリに行きたいなあ。

そしていつもの通りの二本立てで、次はおなじみ日比谷ミッドタウンへ移動。

 「Air エア」

今度は思いっきりアメリカンな映画で、ナイキのエア・ジョーダン誕生話。
ナイキよいしょ映画っぽいので普通なら選ばないが、ベン・アフレックとマット・デイモンを信用して見た。

冒頭、背景となる1985年頃のCMやらテレビやら音楽が出てきて、リアルタイムで知っているこちらとしてはこれが楽しい。オフィスの場面の電話やら緑の文字のコンピューター画面やらも懐かしい!

お話はバスケットシューズでは出遅れていたナイキがデビュー前のマイケル・ジョーダンの将来性に賭けて契約を交わすまでなのだが、その後の大成功は誰もが知っているわけだからそこにサスペンスや驚きはない。
あくまでどうやってジョーダンを口説き落としたかと言うだけの話をここまでエンタメ映画にしてしまうのがハリウッドのすごい所。
契約に際しては母親の発言権が大きいのに驚いたが、考えてみればマイケルはまだ学校を出たばかりの子供なのだから無理もない話。そこに強欲そうなエージェントもがっちりついているのもいかにもアメリカ。
マーケティング戦略やらプレゼン、社是などもアメリカ企業にいた者としては懐かしかったが、ナイキのスローガン「Just do it」の由来のくだりには笑った。

ベン・アフレックは「アルゴ」で感心したが、やっぱり才人だと思う。

ところでナイキ本社のあるポートランド、仕事で2回ほど行ったことがある。
ホテルで食べたブルーベリーパンケーキが忘れられない。


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「エブリシング~」と「生きる」二本立て

2023-04-08 15:29:38 | 機内食・映画・美術展

ちょっと余裕があったので、いつものごとく日比谷の映画館で二本立て。

まずは今年のアカデミー賞をいっぱい獲ったこちら。
 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

この日本語タイトル、近来まれにみる手抜きのひどいタイトルじゃなかろうか。
公開前の「おばさんが宇宙を救うSF」なる説明からも、アカデミー賞、特にミッシェル・ヨーの受賞がなかったら決して映画館で見ようとは思わなかっただろう。

税務署でいきなり亭主のキャラが豹変するあたりから訳が分からず、ストーリーを理解しようともがくうちにカンフーアクションが始まって、後はめまぐるしく場面が変わり、娘がとっかえひっかえ突飛なメイクと衣装で登場する。
この辺りからこの映画はストーリーなど関係なく、要するにコンピューターゲームを実写でやりたかっただけなのね、と納得して頭を悩ませるのをやめた。

映画は139分、ほとんどずっとアクションの連続。
ミッシェル・ヨーはさすが昔取った杵柄、キレッキレの動きで大活躍。
ではあるのだが、場面転換にも関わらずアクション・シーンは割と一本調子で、大音響なのに途中ちょっとウトウトしてしまったほど。
コメディーのつもりで作っているようではあるのだがジョークは小中学生並の下品さで、場内でも笑いはおきず。
で最後は家族の愛は宇宙を救う、ってなんとも古臭い結末でガクッと来る。

ミッシェル・ヨー、それにこれこそびっくりする姿で登場するジェイミー・リー・カーチスのアカデミー賞受賞はうれしいが、それ以外にいい所は見つけられず、この賞、時々「なんでこれが」と思う作品賞が出るがこれもその一つ。
やっぱりやめとけばよかった。

 とは言え今日は素晴らしいお天気、気分転換に日比谷ミッドタウンの外へ。

お昼にやって来たのは「Hola! Ginza 7」というスペイン料理屋さん。
 
入口がいささか入りずらいが、中は明るくていい感じ。

 
たっぷりのサラダにスープ、ジュースやコーヒーの飲み放題が付いたパエリアのランチが1200円とは、銀座とは思えないCPの良さ。
お味も良くて、機嫌も良くなる単純さ。

では二本目、とまたミッドタウン内に戻って
 「生きる Living」

黒澤明の「生きる」は大学生の時、名画座で一度見たきり。
志村喬と小説家役の伊藤雄之助が印象に残っているが、20歳前では「名画を見た」という感想しかなかったように思う。

今回これを見ようと思ったのはビル・ナイが大好きなのと、脚本がカズオ・イシグロだったから。
日本生まれながら英国で育ち、それゆえに英国らしさにこだわるイシグロがどのようにリメイクするか、興味があった。

結果、ストーリーはほぼオリジナルのまま、しかも見事に英国の話になっている。
イシグロだったか監督だったかが「日本人とイギリス人は似ている所が多い」とどこかで言っていた、それがうまくいかされているということだろうか。
特に父と息子、お互いに言いたいことがあるのに遠慮して言えずに終わってしまう所など、他国民ではこのような描写にはならないような気がする。

そしてビル・ナイ!ほとんど無表情のようで、そのしわっぽい顔のなんと雄弁なこと。
原作の志村喬はおじいさんのように思っていたが、実際は撮影時47歳だったそう。ビル・ナイの方は70歳なので公務員としては実は年を取りすぎているかもしれないが、その分このテーマには説得力十分。

そしてもちろん見る側のこちらがテーマがずっしり来る年ごろ。
途中、何度も涙ぐんでしまった。

1本目ははずしたが、2本目でお口直しできてよかった。


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「めでたづくし」@目黒雅叙園 百段階段

2023-03-02 18:28:16 | 機内食・映画・美術展

週末にテレビを見ていたら近所で面白そうな企画展をやっているのを発見。
そこで週明けの平日に早速おでかけ。

やって来たのは目黒雅叙園
 
ロビーに入るとすぐに企画展の受付があるので、オンライン・チケットを見せてエレベーターへ。
 
もうこのエレベーターが内にも外にも唐獅子の蒔絵で豪華なのだが、3階で降りて靴を脱ぎ、向かったのがこのホテル自慢の百段階段。

1935年に建てられた目黒雅叙園3号館には99段の階段の脇に趣向を凝らした部屋が並び、階段の天井にも美しい絵が描かれているのだが
  
途中にあるお手洗いまでこの広さ!

階段を上がって、一番下にあるのは天井に荒木十畝の花鳥画のある「十畝の間」。
  
 
天井画はもちろん素晴らしいが、建具や長押の装飾の凝っていること。

次の「漁樵の間」は派手派手!
  
 
壁から欄間、天井まで極彩色に金をふんだんに使った立体感ある絵で覆われ、柱の彫刻も立体的。

 
この部屋にはたくさんの吊るし雛が飾られ
 
中央には女の子たちの生活場面を表した人形。
そしてこの部屋で一番かわいかったのは狐の嫁入りの行列。
   
 
もうこの部屋では見学者から「かわいい~」の大合唱。

「草丘の間」も天井画はあるもののぐっと落ち着いて障子建具が美しく
   
 
この部屋にはさまざまな手毬が飾られているが、天井からつるされた白い手毬がまるで惑星が並んでいるよう。

 
「静水の間」の天井画は扇子模様。

 
次の「星光の間」の欄間には四季の果物や草花が描かれているのが楽しいが、それ以上に楽しいのがこの部屋の展示で
 
もりわじんという作家の日付入りの招き猫が366体。どれもふざけた格好の猫たちの中から当然、自分の誕生日を探す。

この上にあるのが鏑木清方の絵で飾られた「清方の間」。
 
 
天井も欄間もさすがのたおやかさ。
  
この部屋には干支のうさぎにちなんだものが並んでいたが、アルチンボルドのような招きうさぎはちょっと不気味かも。

 
99段を上がった最後の頂上の間は休憩室になっていたが、こちらにも天井画があって
 
細部まで凝った造りの部屋に現代作家の「めでたい」工芸品を合わせたこの企画展は期待以上に面白かった。

百段階段の見学を終えたら華やかな館内を通って
 
このホテル名物のおトイレへ。赤い橋を渡って入る個室は
  
  
漆塗りの扉に凝った窓、天井からはきれいな舞妓さんが見下ろしているのだ。

雅叙園は実はその隣のビルに何年か通勤していたことがあるのだが、百段階段は見学したことがなかった。
灯台下暗しとはこういうことを言う。


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台湾行きチャイナエアライン

2023-02-13 13:58:28 | 機内食・映画・美術展

今回の台湾行きにはチャイナエアラインを利用。
台湾行きが自由になったとはいえまだ便数は少なくて、LCCもまだあまり安くなかったのだ。

出発は成田から高雄行き。
 小さなB737-800は160席が満席だったけれど、日本の赤いパスポートを持っていたのはたぶん10人以下、後は台湾人のみなさんで子供連れも多かったのは学校が冬休み中だかららしい。

13時半に離陸してじきに昼食。
まずは食道炎が治りきらない友人がオーダーしていた低脂肪食が運ばれてきた。
 
メインはキヌアの上に蒸し煮にされたチキン、サラダにフルーツも付いて味は悪くなかったらしい。
トレイには特別食のメニューが乗っていたが、子供用まで含めればオプションが23もあるのがすごい。

通常メニューはチキンとシーフードの二択というのでシーフードをお願いすると
 意外にもカレーが登場。白身魚にエビ、ホタテも入っておいしいカレー。
サラダとフルーツまで特別食とは違う内容で、なかなか芸が細かいと感心。
デザートのキットカットが低脂肪食には付いていなくてかわいそうなので半分分けてあげた(笑)。

高雄までの飛行時間は4時間半。が、B737にはシートにモニターが付いていなくて映画を見ることはできず、がっかり。


帰路は台北の松山空港から羽田行きで、こちらのA330-300にはモニターが付いているものの、今度は飛行時間が2時間半と短いのでやはり映画は見られず。と言っても見たいものもなかったけれど。

18時半の出発なので今度は夕食。
親子丼とハンバーグの二択と言うのでハンバーグを頼むと
 予想とは違ってなんだか和風。ハンバーグではなく、これは中華の獅子頭だね。

チャイナエアラインの機内食、なかなかおいしゅうございました。


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「モリコーネ」と「智積院の名宝」

2023-01-15 11:24:42 | 機内食・映画・美術展

昨年末、「ミセス・ハリス」を見た時に予告編で知った映画を見にまた日比谷へ。

 「モリコーネ 映画が恋した音楽家」 Ennio

言わずと知れたイタリア映画の巨匠音楽家エンニオ・モリコーネは2020年に91歳で亡くなったが、これは「ニューシネマパラダイス」で音楽を付けてもらったジュゼッペ・トルナトーレが生前の彼にロング・インタビューをし、それに他の音楽家、映画関係者など多数のインタビュー、そしてモリコーネが音楽を付けたたくさんの映画の場面をつないだドキュメンタリー映画。

音楽家ではあるけれどさすがイタリア人のモリコーネ氏、実に雄弁に自分の作品を語る。
映画は彼の人生を時系列に追っていて、トランぺッターだった父親に強制的に音楽学校に入れられ、やはりトランペットから入ったもののやがて作曲に興味を持ち、しっかりとアカデミックな音楽教育を受けたことが語られる。その流れで前衛音楽なども経験し、それらが彼の映画音楽を他とは違うレベルに引き上げたことが納得できる。

しかし音楽学校の生徒のほとんどは裕福な家の子弟、卒業後も純粋音楽を追求するのが高尚とされるなかで家族を支えるためにポップスの編曲を手掛け、やがて映画音楽も作曲するようになったモリコーネはずっと劣等感に苛まれていたようで、小学校の同級生(!)だったセルジオ・レオーネのマカロニウエスタンで有名になるものの、「ウエスタンの音楽は気に入っていない」と言うあたりが彼のプライドの高さをうかがわせる。

結局モリコーネ氏、500本以上の映画音楽を手掛けたそうで、次々に紹介される映画の断片を見ていると片っ端からまた見たくなってしまう。特にレオーネのマカロニウエスタン、そしてジャン・ギャバンの「シシリアン」とか、かっこいい!
公開初日の朝一に見に行ったら結構いい入りのお客さんの半分以上は中高年のおじさん、というかおじいさんたちだったが、この映画を楽しめるのは自分も含めてこういう古い映画を見ていた人たちだろう。

と言うのもこの作品、モリコーネの功績をわかりやすく紹介はしているものの、ドキュメンタリーとしてはあまり面白くない。たくさんのインタビューの中にはハンス・ジマーの「最初の音を聞いただけでモリコーネとわかる」なんて印象的な言葉もあるのだが、ほとんどは一方的な賛辞ばかり。音楽家の人生に波乱はないし、なかなか取れなかったアカデミー賞もイーストウッドから名誉賞を受け取り、その後で無事に音楽賞ももらうが、このくだりもそれほど盛り上がらない。
157分もある長い映画が数分の名画の断片とその音楽に全くかなわないのだ。

トルナトーレ監督の「ニューシネマパラダイス」はあざとくて好きになれず、音楽と最後のキスシーンのモンタージュだけがいいと思った。
この映画の中で新人だった自分の映画に音楽を提供してくれたモリコーネへの感謝を述べているが、その恩があるので甘くなってしまったか。
やっぱりトルナトーレとは相性が良くないようだ。

映画の後はすぐ近くにある鹿児島県のアンテナショップのレストランへ。
 
テーブルにお醤油が2つあるのは鹿児島の醤油がすごく甘いから。
黒豚ねぎしゃぶのスープもすごく甘くて、入っていると思ったおそばが入っていなかったのは残念だったが、たっぷりのネギでおいしかった。

日比谷からは六本木に移動。
すごく久しぶりにサントリー美術館に来てみると、こちらも中高年でいっぱいで入場には列ができていた。
 
見に来たのは「京都・智積院の名宝」

秀吉が最初の子、鶴松の菩提を弔うために建てた祥雲禅寺の長谷川等伯による金碧障壁画が一度に見られるということでやって来たのだが、あまり広くない会場なので5枚の国宝が一目で見渡せるのが圧巻。
等伯の楓や松ももちろん素晴らしいのだけれど、それ以上に息子の久蔵の桜図がなんとも清楚でいいのだ。
等伯は跡取りとして期待していた久蔵が若くして亡くなってしまったのでとても気落ちしてしまったそうだが、さもありなん。
この一枚を見るだけでも来た甲斐があった。


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東京国立博物館の根付コレクション

2022-12-20 15:05:33 | 機内食・映画・美術展

映画を見に行く時はたいてい2本立てだが、この日は日比谷から上野に移動。
 
上野公園の銀杏もだいぶ葉が落ちて、地面が黄金色に輝いている。

まだ「国宝展」開催中の東京国立博物館にまたやってきたが、今回の目当ては根付。
まずは本館の彫刻室を通り抜けた先、通常は漆工芸などが展示されている部屋にあるのが「郷コレクション」。
 
郷誠之助氏とは大戦前に活躍した実業家で、江戸~明治期の根付を系統的にコレクション、274点を東博に寄贈されたとのこと。
 
なので根付の素材や形がどれだけバラエティに富んでいるかがこの一部屋で見ることができる。

 動物、特に子犬がかわいかったり
 故事に題材をとったものがあったり
 しかしこのコレクションの圧巻は超絶技巧の数々。5cmほどの竹の子や松ぼっくりが開いて中にびっしり彫刻がされていたり、木の実の中に親子がいたり、江戸時代の職人たち、すごすぎる。

ここから平成館に移動すると、1階の企画展示室で高円宮コレクションを特別展示中。
 高円宮の根付コレクションは通常本館の2階に専用の部屋があって100点ほどを常設展示。展示替えがあるので東博に行く度に覗いていたのだが、今回は全500点を一挙に見られるというのでやってきた。

こちらは現代根付のコレクションで、元々はお妃が集めていたものから発展したとか。
 なのでとにかくかわいらしいものが多くて、「かわいい!」「ほしい!」の声が会場のあちこちから聞こえる。
 なぜかカエルが多かったり
  自分の大好きなペンギンがいたり。
 洒落が効いたものもたくさんあって、茶釜の作品名が「利休と秀吉」には思わずうなった。

海外作家の作品が多いのも特徴で
  こちらは自由な発想が楽しい。 
 
特にスーザン・レイトという作家さん、チェシアキャットとか可愛すぎて本当に欲しい!

 
郷コレクションは部屋が暗い上に小さな根付を見るには棚がいささか遠かったが、こちらは作品までの距離が少し近くて作品をじっくり見ることができた。
両者合わせて根付774点、堪能いたしました。

ついでに高円宮のお向かいにある平成館の考古室、今回初めて入ってみた。
石器時代からの日本の歴史が俯瞰できるように土器や鏡、銅剣などが展示されているが
  
 
やっぱり楽しいのは埴輪。

東博は何回行っても新しい発見がある。


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「ミセス・ハリス、パリへ行く」

2022-12-18 12:53:55 | 機内食・映画・美術展

久しぶりに劇場で映画を見ようと日比谷へ。
映画館に足を運ぶのは6月以来。気まぐれすぎるね。

 「ミセス・ハリス、パリへ行く」 Mrs. Harris goes to Paris

舞台は1957年。戦争未亡人で掃除婦をしているもう若くないミセス・ハリスが勤務先でみかけたディオールのドレスに魅了され、幸運が重なってなんとか工面したお金を持ってパリのオートクチュールへ行くというお話。
このあらすじから想像する通りにストーリーは展開するのだけれど、舞台となっている1950年代によく作られていたような人情噺がなんとも心地いい。
悪い人は誰一人登場せず、若い美男美女はちゃんと恋人同士になって、たまにはこんな映画でほっこりするのもいいじゃないか、と思わせてくれる。

主役を演じているのはレスリー・マンヴィルという60代の女優さん。この方、ダニエル・デイ・ルイスの「ファントム・スレッド」ではオートクチュールのマネージャー役をやっていて、最近は「ザ・クラウン」の最新シリーズでマーガレット王女をやっている。実はこの人が主役だと知って映画館に足を運んだ。長いキャリアで映画の主役は初めてではないかと思うが、下町訛りの掃除婦を演じてもやっぱりそこはかとなく上品なところ、ディオールのドレスによく似合う。

タイトルの2番目に名前の出るイザベル・ユペールはこんな役にはもったいなすぎるとも思うが、さすがエキセントリックなだけじゃない、ときっちりしめてくれる。
ランベール・ウィルソンがすっかりおじさんになっているのはちょっとショックだったが、昔の彼にぴったりだったろう役を演じたリュカ・ブラボーという若いフランス人も目の保養。

そして目の保養と言えばディオールのファッションショーの場面。当然実際にディオールがデザインした50年代のドレスが次々に登場してうっとり。
他愛ないおとぎ話と言えばその通りだけれど、2時間楽しめた。

ところでこの映画、パリが舞台のわりに食べ物はほとんど登場しなくて、唯一の食事場面ではミセス・ハリスが料理したトッド・イン・ザ・ホールというイギリスの家庭料理をフランス人のカップルがおいしくなさそうにつつくのが笑える。

そこで(?)この日のランチはなんとなく中華の気分になって、日比谷シャンテ地下の「梅梅」で
 鶏と長芋、高菜の餡かけ土鍋ご飯。
香港の土鍋ご飯とはだいぶ趣が違うけれど、アツアツでおいしかった。


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久しぶりのJAL東南アジア線

2022-11-24 16:10:00 | 機内食・映画・美術展

今回のマレー半島行きには久しぶりにJALの国際線を利用。
LCCも検討したものの、思ったほどの価格差はなかったのでJLにしたのだが、運賃よりも燃油サーチャージの方が高いってどうよ。

 行きの羽田発バンコク行きは787-9がほぼ満席。
中央列の4人掛けも埋まっていたが、自分の隣に座った女の子、飛び立つ前から着陸寸前までずっと眠りっぱなしなのには感心してしまった。

その女の子がスキップしたお昼ごはん。
 ハンバーグと御飯がかなりわびしいが、JLの機内食は野菜が多いのがいい。上段の右端はプリンかと思ったらとうもろこしのパンナコッタという不思議なメニュー。デザートはこの後でハーゲンダッツが配られた。

これをいただきながら機内で眠れない自分は早速映画。

まずはインド映画。
 Saandi ki Aankh

この原題はヒンディー語でBull's Eye、つまり射撃の的の命中点のこと。
これはインドの農村出身の義理の姉妹が60歳を過ぎてからピストル射撃の競技会に出て好成績をあげまくったという、実話を元にしたお話なのだ。

いいインド映画は社会問題を巧みに織り込んでいるがこの映画も例外ではなく、同じ家に嫁いだ二人が家の外には出してもらえず、家事をして子供を産む道具のように扱われてきた様を軽快な歌で表現してしまう。
古い慣習を一切変えようとしない村に射撃練習場ができるのは子供たちに軍での仕事の機会を与えるためだったのだが、男の子たちは根性なしですぐにやめてしまい、孫娘たちに自分たちとは違う自立した生活をさせたいと願うばあちゃんたちが内緒でやって来るのが話の発端。
うまく撃てない孫娘たちに「こうするのよ」とばあちゃんがやって見せると大当たりというところ、経験もないのになぜ、と思うが実話なのだから仕方ない。

ラスト近く、頑迷で横暴な一家の長男をそれまでずっと黙っていた嫁が大反撃するところも気持ちいいし、孫娘世代の未来が明るいと思わせるラストもいい。
60過ぎの設定の姉妹を明らかに若い女優さんたちに老けメイクで演じさせているのがいささか残念だけれど、楽しくていい映画だった。

続いてはイギリス映画。
 Boiling Point  「ボイリング・ポイント 沸騰」

あるレストランの超多忙な一夜を描いた映画だが、これを90分、完全なワンショットで撮っているというのが驚異的。
大昔、ヒッチコックが実験的にカットなしで撮った「ロープ」という映画があったが、その頃はフィルムのリール交換が必要なので実際には10分ごとにカットが入った。ところが今はデジタルなので90分間まったくのつなぎなし。しかもカメラはレストランの客席から厨房、バックヤードまで役者たちの後を追って動き回り、その間ずっと中心になる人物を変えながら芝居が続く。

この設定を知った時にはテクニック主体の映画なのだろうと思ったのだが、実際に見てみると次々に問題が起こりながら営業を続けるレストランの大変さがとてもリアルで、それを表現するためのテクニックだと納得する。

それにしてもこんな映画を作ってしまうクルーに俳優たち、プロってすごい。

 この2本を見てしばらくしたらパンが配られて、バンコクまでの7時間は長くない。


帰路はシンガポールから早朝8時の出発。
 こちらの767-300は5割ほどの搭乗率。おかげで隣に人のいないバルクヘッドに移動して広々と使わせてもらえた。

出発してしばらくしたら早めの昼食。
 今回もメインのチキンがしょぼいが、副菜のスモークダックはおいしい。
 食べ始めたとたんにデザートのアイスクリームが配られたのには驚いたが、これはカチカチに凍っていたのでこのタイミングが正解。シンガポールのチョコレートアイスは濃厚。
 と、この食事のトレーが下げられた途端におやつのケーキが配られたのにはまた驚いた。こんなことは初めてだし、飲み物のサービスも食事の配膳と一緒だったし、JLは省エネ仕様か。このケーキ自体はほうじ茶シフォンでおいしかったけど。

帰路はもうあまり見たい映画もなく、韓国映画を選んでみた。
 King Maker 「キングメーカー 大統領を作った男」

映画の初めに「これは実話を元にしたフィクションです」と出るが、主役二人のモデルは金大中とその選挙参謀だった人。
1960年代の選挙運動がすごくて、反対政党の名前でお金やらシャツやらゴム長靴まで配って、それをまた取り返すなんてエグイことをする。
党内の権力闘争も騙しあいの連続、どこまでが実話、どこからがフィクションなのやら。
が、なにしろよその国のことなのでいまいちピンと来ず、金大中だけがやけに清廉潔白な政治家のように描かれているのも本当かな、と思ってしまう。
こういう映画は背景がちゃんとわかっていないとダメ、と選択を後悔。

後は本を読んでいるうちに成田に到着。
飛行機、もっと乗りたい!


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東京国立博物館 創立150周年

2022-10-29 15:18:08 | 機内食・映画・美術展

愛する東京国立博物館が今年は創立150周年。
特別展に力が入っているようなので早速行ってみた。

 やってきたのは日も傾く午後4時前。

まずは東洋館に入って、大好きな大谷探検隊の展示室へ。
 
もう何度も見ている収蔵品だけれど、お目当ての特別出展品がない、と近くにいた学芸員に聞くともっと上の階にある、と丁寧に案内してくれた。東洋館って階段式の造りでいささかわかりにくいんだよね。

と文句を言いながらやってきた第5室。
 見たかったのは1910~14年の第3次探検隊が敦煌やトルファンから持ち帰ったという染織品。
  まさに布の切れ端ではあるのだが
 
よく見ると菩薩の姿が細かいチェーンステッチで表されている。色も良く残るこれらが7~8世紀のものとは。

 
パッチワークのような布とか垂飾とか、正倉院や法隆寺にもこんなものがあったよね、とシルクロードから日本にまで伝わる文化に思いを馳せる。

それにしても大谷探検隊、説明を読んでいたら第3次隊を率いた吉川小一郎は出発時25歳、橘瑞超に至っては20歳だったというのだから驚いた。明治ってすごい。

この同じ部屋ではイスラーム陶器の特集展示もあって、これも見たかったものの一つ。
  
   
中国唐代の白磁からイランやイラクの三彩、ラスター彩。
 
特にラスター彩にコバルトの青色が入ったものがきれいで、数は少ないが素敵なコレクションだ。

これだけで東洋館は切り上げて本館へ。
1階すぐ右手の彫刻室は毎回必ず入るけれど、今回は150周年ということで特にいいものが展示されているよう。
 
この鎌倉時代の菩薩には前にもお目にかかっていると思うが、ポーズもお召し物もなんとも優雅。
 
こちらの小さな文殊菩薩は腰布の截金細工が美しく
 獅子に乗った文殊菩薩と侍者たちも素晴らしい。

2階もちょっと覗いているうちに本館は閉館の5時になったので、連絡通路を通って平成館へ。
 実はここからがメインイベント、週末は夜8時まで開いている特別展の「国宝 東京国立博物館のすべて」へ。
予約は4時半~5時半のスロットで取ってあったが、5時も過ぎてから行くと行列もなくてすぐに入れた。
この時間指定の予約制、コロナがおさまってももうずっとこの方式にすべきだ。

さて、この特別展、第一部はタイトルの通り、東京国立博物館所蔵の国宝一挙出しということで、展示品がすべて国宝という豪華さ。
途中展示替えが2回あるのでトーハク所蔵の89点を一度に見られるわけではないが、この日も長谷川等伯の松林図を始め、平治物語絵巻や雪舟の2枚、渡辺崋山などが見られて眼福。

しかし国宝には書跡や刀剣が多くて、これらにはまったく興味がないので刀にへばりつく女の子たちを横目に素通りするとあっけなく第一部を見終わってしまった。
そして第二部に入るとこちらは東京国立博物館の150年の歴史を振り返る展示なのだが、昔の写真などのパネルが多くて地味。展示品も天皇の鳳輦から和宮の十二単、生き人形からキリンの剥製までばらばらで、こちらはもっとデジタルを使うとか、見せ方に工夫が必要だったのではないだろうか。
こちらでの発見は有名な光琳の風神雷神図屏風や遮光器土器が国宝ではなかったということぐらい。

最後には写真撮影可の展示が2つだけあって、こちらはもちろんスマホの嵐。
 
新収蔵という金剛力士像と
  あまりに有名な見返り美人。
しかし考えてみると本館で通常展示されている時には国宝も大体写真が撮れるんだよね。

ということで、期待した割にはこの特別展には感動がなくて、すべて国宝といえどもちゃんとテーマに沿って見せなければ散漫な印象になる、とおこがましくも実感した次第。
好きな仏像がないのももう一つ面白くなかった理由だが、考えてみれば国宝の仏像はお寺にしかいらっしゃらないのだ。

 
特設ショップにはラーメンとか遮光器土器人形なんてものもあったけれど
 レジの大行列に恐れをなして手ぶらで会場を出た。

 6時20分に平成館の外に出ると6時30分の入場を待つ人たちの大行列。7時過ぎに来れば並ばなくて済むのに。
 
いつもは見ないライトアップされた本館と表慶館がきれいだった。


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上野で絵巻物を堪能する

2022-08-24 15:28:45 | 機内食・映画・美術展

暑いのはわかっていたけれど、3月以来ご無沙汰していた上野へおでかけ。

もうじき夏休みの終わる親子連れが動物園へ向かう中、こちらはその隣の東京都美術館で
 
「芸術ⅹ力 ボストン美術館展」

ボストン美術館は30年前に一度行ったことがある。
日本美術のコレクションが充実しているという事前知識はあったが、ちょっと行きづらい所にある巨大な美術館という印象しか残っていないのが悲しい。

今回は56点が来日しているが、中で一番面白かったのは12世紀に描かれたという「吉備大臣入唐絵巻」。
これ、吉備真備が遣唐使として唐に行くと優秀すぎるというので高楼に閉じ込められ、いやがらせの難問を出されるが阿倍仲麻呂の亡霊と力を合わせて相手方の鼻を明かすというお話。
   神通力で空を飛んじゃったりして、笑える。

もう一つ、13世紀の「平治物語絵巻」はさらにすごい。

藤原信頼が頼朝のパパと後白河法皇を拉致る場面、武士や馬の表情がみんな違ってすごい迫力。
どちらもなぜこんなお宝が国外に流失してしまったのか、とその経緯が気になる。

とこの2つは素晴らしいのだが、古代エジプトの彫像から20世紀のサージェントの絵まで持ってきているこのセレクションが謎。一応部屋ごとにテーマらしきタイトルが上げられているのだが、これがどうもぴんと来ない。
国も時代もバラバラのものがまとめられているのでどうしても説明書きを見ることになるのだが、作品保護のために部屋が薄暗くしてあるのでこれが読みづらくてしかたない。
もっとテーマを絞り、説明書きにだけは別のライトをあてるとかすればいいのに、と不満たらたら。
どうも都美術館とはあまり相性が良くないらしい。

1時間ほどでボストン美術館展を出て、次は東京藝術大学美術館へ。
 
こちらで開催中の「日本美術をひも解く」は副題に「皇室、美の玉手箱」とある通り、数点を除いてすべて宮内庁三の丸尚蔵館の所蔵品、つまり皇室のお宝。
都美術館の観覧者も年齢高めだったが、こちらはさらに平均年齢が高い。

由緒正しい作品ばかりのこちらは各コーナーのテーマもしっかりわかりやすくて、見ていてすっきり。
特に「生き物わくわく」と名付けられたコーナー、かわいい物が多くて楽しい!
 自分的には酒井抱一の「花鳥十二ヵ月図」、どこに生き物がいるのかと探すのも面白くて好き

明治以降の工芸品は正直技巧が目立ちすぎてあまり好みではないのだが、明治天皇がそばに置いていたというイタチの置物などは細かい毛の流れなどすごくて、なるほど、天皇はこういうのが好きだったのか。

こちらの展覧会でも圧巻は絵巻物。
 
 13世紀の「蒙古襲来絵詞」では馬も日本の武士も蒙古人も血を流す迫力。

 
高階隆兼が1309年に描いたものとわかっている「春日権現験記絵巻」は登場人物一人一人の表情や着物の柄まで違ってすごすぎる。

この2つは国宝に指定されているほどのものなので当然素晴らしいのだが、自分的にツボだったのは「絵師草紙」という小品。

絵師があることからぬか喜びをするというお話らしいのだが、登場人物たちの表情などが生き生きとして14世紀に描かれたとは思えないほど、実に楽しい。
そう言えば鳥獣戯画はもっと古い13世紀に作られているし、こういうものを見ると日本の漫画は絵巻物から始まっているのかも、なんて思ってしまう。

絵巻物を堪能し、都美術館のうっ憤を芸大で晴らした美術展のはしごだった。


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コメント (2)
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