Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

ブータン戴冠式ツアー 2

2008-11-16 18:59:24 | ブータン
11月6日

さて、いよいよ戴冠式である。

と言っても戴冠のセレモニーはすでにいろいろ始まっており、11月1日にはプナカで建国の祖、シャブドゥンのミイラにご対面、という儀式を既に済ませ、その帰り道では沿道の人々のため相当な距離を歩いてきたとのこと。
 Bhutan Observer紙より
左から4代目国王、新国王、ジェイ・ケンポ

今日も正式な戴冠儀式は朝の4時ごろからVIPのみを招いて既に進行中、我々が出席するのは国民へのお披露目の儀式である。

朝食を済ませ、ツアーメンバーを会議室に集めてまずはゴとキラの着付け。お祝いの席なのでちゃんとした服装で行くようにと旅行会社が用意している。


私と友人はマイ・キラ持参、でも自分ではちゃんと着ることが出来ない。
ツアーメンバーの中には和服持参の方も2名。日本人なのだから本来はこれが正しい。ただし着物はもっと着ることが出来ない。

カタ(儀礼用スカーフ)を直接渡せるらしい、ということで渡し方の練習をしているうちに会場が非常に混んできていると言う情報入手。あわててホテルを出る。

高台から会場のタシチョ・ゾン(中央政庁)が見晴らせる所に来ると、おお、なんとトンドル(大タンカ)が3枚もかかっている!
 
 これはティンプーの比較的新しいものだが、裏にかかっているのは確かパロの由緒あるトンドル。さすが戴冠式はすごい。

と、ふとゾンのふもとに目を移すと

おわかりになるだろうか、沿道に延々と人の列。

これはえらいことだとあわてて会場に向かう。
かなり離れた駐車場にバスを止めた所でまたショック。
「会場内、カメラは一切持ち込み厳禁になりました」
実は人の列が長いのも入場に際しての厳重なチェックのため。でも王様の安全のためだ、ここは我慢するしかあるまい。

長ーい人の列を、しかしガイドは無視してどんどん先に行く。そしてセキュリティーゲートのおまわりさんに「ツーリストだから入れて」と横入り。
ああ、延々並んでいる皆さんに申し訳ない!でも文句も言わず、ニコニコと入れてくれたブータン人、やっぱりあなた方は優しい!

そして会場内に入ると係員がまたもや、「日本人はあそこに座りなさい」と広場の真ん中、玉座に一番近い地べたを指し示す。地べたとは言えかぶりつき、こんなに優遇されていいんでしょうか。
まわりはぐるっと階段になっており、全収容人数は約2万人、もちろんどんどん席が埋まっていく。

こうして会場内に腰を落ち着けたのが朝の9時半過ぎ。空は文字通りいっぺんの雲もなく晴れ渡り、まさに戴冠式日和。
目の前のスペースではブータン内の各地方から来た人々が次々に踊りを披露する。
どの踊りも日本の盆踊りをさらにまったりさせた感じだが、その衣装を見ているだけでも楽しめる。なにしろ皆さん、まさに力の入った晴れ着姿なのだ。

そうこうしているうちに日はさらに高くなり、屋根のまったくない会場に容赦なく照りつける。ゾンの中では帽子は禁止、ヒマラヤの日差しはきついのだ。

スカーフでなんとか頭を守り、踊りを見つつ持参のお弁当を食べてひたすら待つ。
そして午後2時半、踊りも2順目、3順目になったところでようやくジェイ・ケンポと新国王登場。玉座が近いのでよく見える!

まずはジェイ・ケンポによるお祈り、それから八吉祥をささげ、ブータンの王冠をお披露目したが頭にはかぶらなかった。
ワタリガラスをかたどった王冠はこの日の朝、8時31分に前国王から授けられ、正式に戴冠したのだそうだ。
 Bhutan Observer紙より

この後は国民代表30人が新国王にカタをささげる。お坊さんから子供まで、最高齢は105歳のおばあちゃん。車椅子に乗ったこの人のところへは王様が玉座から降りてこられた。おばあちゃん、感涙で号泣。

当初は参列者が全員カタを捧げる、と言う話だったが、2万人もの参列者では大変なので、結局王様自身が全参列者の所を回ることになった。

まずはお年寄りばかりが集められた一角からはじめ、お付きの先導が先にカタを受け取ると王様が自ら戴冠記念のコインを一人一人に渡してまわる。国民は座らせたままで、自身が小腰をかがめ、声をかけながら回る。小さな子供がいると時に抱き上げたり、キスをさせたり。

待つことしばし、我々が陣取る一角にいらっしゃった。
添乗員が「おめでとうございます、私たちはお祝いのため日本から参りました」と言ったところ、我々一同にコインを配った所で振り返り、「みなさん、よくいらっしゃいました。ブータンでの滞在をどうぞ存分に楽しんでください」ときれいな英語でお言葉を賜った。感激!

そしてこれがその時に賜った記念コイン。
 表紙
 内側
鋳造枚数は30万枚、でもこれは王様から直接いただいたもの。一生のお宝。

4時過ぎ、王様はまだまだ参列者の所を回っているが、コインを賜った者はどんどん帰っていく。
帰り際、7歳の女の子が英語で聞いてきた。
「私たちの王様、ハンサムだと思う?」
「もちろん、とてもハンサムね」

以前にも書いたとおり、ブータンとておとぎの国ではない。問題もあれば苦労もある。
しかし国民が本心から王室を慕い、王室は誠実に国民に応えようとする。それが誰の目にもはっきり見えるこの国はやはり幸せだと思う。

そんな幸福な場に同席することが出来て、こちらも本当に幸せな一日であった。


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コメント (4)
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