Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

ワハン回廊と鶴田真由

2013-08-03 15:57:16 | 中央アジア
ワハン回廊をご存じだろうか。

ワハン回廊とはアフガニスタンの北東部、タジキスタンとパキスタンの間にまるで尻尾か盲腸のように飛び出て中国につながる東西200km、南北15km、標高が4000mを超える土地である。

この地名を初めて知ったのはもう10年以上も前、確か年末か年始の特番だったと思うが、民放のある番組で鶴田真由がそこを旅行するドキュメンタリーがあった。

調べてみるとこの旅行は2001年のこと。
アフガニスタン国内はソ連の撤退後の内戦状態、中央部はタリバンが勢力をふるい、日本の女優を連れて番組撮影などもちろんできるような状況ではない。
しかしこの時期の北部はマスード司令官率いる北部同盟の支配下にあり、スタッフは当然彼らの許可のもとにワハン回廊入りしたと思われる。

取材班一行は中国のカシュガルからフンジェラブ峠を越えてフンザに入り、4930mのイルシャード峠を越えてアフガニスタンに入国する。

自分もフンザにはこの3、4年前に行ったばかり、ましてアフガニスタンは高校生の時以来あこがれの国。
フンザからワハン回廊の絶景を旅する鶴田真由が身もだえするほどうらやましかった。

とは言え人もろくに住まない、アフガニスタンでも辺境の土地。片道だけでも30日かかったという旅はテレビで見ているだけでも過酷で、美人女優がよく体一つ洗うこともできないこんな旅に同意したものだとその時も思った。どうも元々旅行の好きな人のようだが、旅の後半、持ってきた卵がみんな腐ってしまった、と笑いながら割っている姿にこの女優が好きになった。

この番組のことはずっと忘れられずにいたが、つい最近、アマゾンでこんな本を入手した。
 「インシャラ」

63日間に及んだワハン回廊への旅について、鶴田真由が日記のように毎日の感想をつづったエッセイ本。
これを読むと作者がこういう旅を好む、柔軟な感性の持ち主であることがわかる。
しかし残念ながらこの本は「女優のエッセイ本」。
旅程だけははっきりわかるが、実際にどのような経緯でこの旅行が実現したのか、どのような準備をし、どのような苦労があったのか、本当に知りたいことは何も書かれていない。

特に道中に現れて怖い思いをしたというキルギス系軍閥の息子のこと、最終目的地で北部同盟に足止めされ、パキスタンへの出国が危ぶまれたことなど、こういうことこそもっと詳しく知りたい。
この番組取材から帰った直後にアメリカの9・11テロが起こり、今や北部にも入国は難しくなってしまったのだからなおさらちゃんとした記録が読んでみたい。

というわけで憧れのワハン回廊。
今もアフガニスタンにはとても入れないので、川を挟んで同じワヒ族が暮らすタジキスタン側からちょっと覗いてこようと思う。

明日からウズベキスタン経由で、ちょっくら行って来ます。


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コメント (7)
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