Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

タジキスタンとシリアと内戦のこと

2013-08-25 19:45:23 | 雑談
タジキスタンは日本ではなじみのない国だ。

「スタン」がつくから中央アジアのどこかだろう、ぐらいが関の山。
あるいはソ連邦の崩壊後に内戦があったこと、その後の国連監視団に参加した日本人が殺害されたことから「危険な国」というイメージではないだろうか。

ソ連邦の中でも最貧国だったタジキスタン。
ロシアの思惑により勝手に国境線が引かれた結果、国内にはタジク人、ウズベク人、キルギス人が存在し、北部と南部のさまざまな格差が内戦の原因だったというが、92年から97年まで続いた戦闘の結果、5万から10万もの人が死亡し、100万人以上が難民になったと言う。

そんな内戦終結から16年、現在のタジキスタンを旅してみれば、人々は実に自然体で優しく、身の危険を感じることなどみじんもなく、ツアー参加者の一人が旅の終わりに語った通り、「旅行中、一度も嫌な思いをしなかった」。

もちろん、いつの旅でも思う通り、たかがツーリストに見えるものなどほんの一部。
異なる民族間には軋轢もあるだろうし、30歳になる現地ガイドは「ナショナリズム」の高揚のためにイスラム色が強まっている現状を不満に思っているようだった。
「ソ連時代、私の村にはタジク人だけではなく、ウズベク人もロシア人も朝鮮人も、何の問題もなく仲良く暮らしていた。それが独立後にはタジク人以外はみんな国に帰ってしまった」

それでも現在のタジキスタンに内戦の爪痕はほとんど見えず、人々はごく平和に普段の生活を送っているように見える。

だからこそ内戦というのは恐ろしいものだと思う。
こんなにいい人たちがお互いに銃を向け、殺しあったのだから。

そしてその思いは最近のシリアのニュースを聞くとさらに強まる。
シリアもまた旅をすれば親切な人ばかりで、こんなにいい人たちはない、と思える国だったから。

もちろんシリアは2代続く独裁国家。秘密警察を使った恐怖政治も知らないわけではなかったが、現地で触れ合った人々は素晴らしい人たちばかり、さまざまな宗教も平和に共存しているようだった。
その人たちがこれまたばらばらになって殺し合いを続けているとは、信じたくない気持ちでいっぱい。

現在のタジキスタン、あるいはスリランカを見れば内戦が終了すればやがてはまた平和が訪れるだろうという希望も持てる。タジキスタンの隣のアフガニスタンのように、なかなか安定の訪れない不幸な国もあるが。

しかし一度火がつけば隣人同士でも殺し合いを始めてしまうという現実。人間はなんと愚かなのだろう。
そして日本では決してそのようなことは起こらない、とどうして言い切れるだろう。

それが恐ろしい。


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コメント (3)
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