岩波ホールでとても珍しいサウジアラビアの映画を見てきた。
「少女は自転車にのって」 Wadjda
そもそもサウジには映画館すらないのだそうで、しかもこの映画の監督は女性。
国外で教育を受け、アメリカ人と結婚しているからこそ実現できたのだろうが、キャストはサウジ人、撮影もサウジ国内でされたとか。
お話はお転婆娘のワジダが自転車がほしくて、そのためになんとかお金を貯めようとがんばるというシンプルなもの。
しかしなにしろ背景がなじみのないサウジの、しかも普通だったら見ることのできない女子校や家庭内のお話なので興味津々。
宗教規範に厳しい学校内で、ヒジャブやアバヤを取った先生たちが結構派手な格好なのがおもしろい。
コーランのクイズや読誦コンテストがあるのもおもしろく、節をつけて歌うように暗誦するコーランは美しい。
しかしテーマは女性に厳しいサウジ社会の閉鎖性。
その背景をよく知らないので、たとえばお母さんがどんな仕事をしているのか、なぜ3時間も車に乗らなければならないのか、そもそもお父さんとどういう関係で、なぜ経済的に苦労しているのかが理解しづらく、もどかしい。
どうやらワジダが難産だったためにもう子供を作ることができず、そのため婚家に疎まれて別居中でお父さんは第二夫人をもらうことを考えているらしいのだが、イスラムでは奥さんたちは平等に養わなくてはいけないのではないのか。
また女性は車の運転を禁じられているため、出稼ぎ外国人と思われる運転手が登場するのだが、苦労していると思われるこの運転手に子供たちが高飛車な態度をとってびっくりする。
大体アラブ人は外国人労働者を差別的に見ているようだが、この子供たちの描写に批判がないようなのが気にかかる。
主人公のワジダの性格も、たとえばイラン映画などに比べるとあまりかわいくなかったりするのだが、しかしテーマは明確だし、最後の場面は明るくて、サウジアラビアからこういう映画が登場するのはとてもいい傾向だろう。
だが一番気になったのは観客の反応。
「社会の閉鎖性」と言うテーマは明らかに伝わっているのだが、帰り際に「イスラムってこんななんだ」「だからイスラムは」という感想を漏らすお客さんばかりでがっかり。
問題はイスラムを盾にとって閉鎖的な慣習を強要する政府であり、社会であって宗教そのものではない。
その証拠に同じイスラムのUAEなどでは女性も車を運転し、仕事をバリバリしているし、女性蔑視で社会に出そうとしなかったのは韓国や日本の時代劇でもよく見るではないか。
なじみのない社会を理解してもらうのは難しい。
←人気ブログランキングへ一票、お願いします。
「少女は自転車にのって」 Wadjda
そもそもサウジには映画館すらないのだそうで、しかもこの映画の監督は女性。
国外で教育を受け、アメリカ人と結婚しているからこそ実現できたのだろうが、キャストはサウジ人、撮影もサウジ国内でされたとか。
お話はお転婆娘のワジダが自転車がほしくて、そのためになんとかお金を貯めようとがんばるというシンプルなもの。
しかしなにしろ背景がなじみのないサウジの、しかも普通だったら見ることのできない女子校や家庭内のお話なので興味津々。
宗教規範に厳しい学校内で、ヒジャブやアバヤを取った先生たちが結構派手な格好なのがおもしろい。
コーランのクイズや読誦コンテストがあるのもおもしろく、節をつけて歌うように暗誦するコーランは美しい。
しかしテーマは女性に厳しいサウジ社会の閉鎖性。
その背景をよく知らないので、たとえばお母さんがどんな仕事をしているのか、なぜ3時間も車に乗らなければならないのか、そもそもお父さんとどういう関係で、なぜ経済的に苦労しているのかが理解しづらく、もどかしい。
どうやらワジダが難産だったためにもう子供を作ることができず、そのため婚家に疎まれて別居中でお父さんは第二夫人をもらうことを考えているらしいのだが、イスラムでは奥さんたちは平等に養わなくてはいけないのではないのか。
また女性は車の運転を禁じられているため、出稼ぎ外国人と思われる運転手が登場するのだが、苦労していると思われるこの運転手に子供たちが高飛車な態度をとってびっくりする。
大体アラブ人は外国人労働者を差別的に見ているようだが、この子供たちの描写に批判がないようなのが気にかかる。
主人公のワジダの性格も、たとえばイラン映画などに比べるとあまりかわいくなかったりするのだが、しかしテーマは明確だし、最後の場面は明るくて、サウジアラビアからこういう映画が登場するのはとてもいい傾向だろう。
だが一番気になったのは観客の反応。
「社会の閉鎖性」と言うテーマは明らかに伝わっているのだが、帰り際に「イスラムってこんななんだ」「だからイスラムは」という感想を漏らすお客さんばかりでがっかり。
問題はイスラムを盾にとって閉鎖的な慣習を強要する政府であり、社会であって宗教そのものではない。
その証拠に同じイスラムのUAEなどでは女性も車を運転し、仕事をバリバリしているし、女性蔑視で社会に出そうとしなかったのは韓国や日本の時代劇でもよく見るではないか。
なじみのない社会を理解してもらうのは難しい。
←人気ブログランキングへ一票、お願いします。