5月3日
パルミラの町を出て東へ向かう。
相変わらず荒涼とした景色をしばらく行くと、前方の道をラクダの大群が横断し始めた。
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大きなラクダ、小さなラクダ、次々に目の前を通っていく。
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こんなに大量のラクダを一度に見たのは初めて、と喜ぶとドライバーのアリー氏も得意そう。
ダマスカスからパルミラへの道では生き物の気配もなかったが、東へ向かう道では家畜がぽつぽつ姿を見せる。
わずかな緑の中には羊飼い
犬が顔を出す運搬車には羊が3階建てでぎっしり詰まっている。
デーレゾールの町から進路を南に取ると、ユーフラテス川に沿ったこの道筋には小さな町がいっぱい。
路上には市場が店開き。
やがて遠くに延々と連なる壁が見えてきた。
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これが紀元前4世紀から紀元224年まで栄えたというドゥラ・エウロポスの遺跡。
大きな城門の前には無人のチケット売り場があり、しばらく待っていると遺跡の中からバイクの兄ちゃんが現れて切符を売ってくれる。
城門をくぐって中に入ると
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無茶苦茶広くて茶色一色。建物の跡というのは分かるけど、それ以上は想像力の限界。
てくてくと砂の中を歩いていくと眼下にユーフラテス川が見えた。
おお、これがメソポタミア文明を育てた川か、と感慨深いが、この砂漠の中では本当に川筋の狭いエリアだけが緑色であとは砂。水のありがたさが身にしみる。
崖の下を覗くと修復されつつある城砦の手前に真新しい小さな建物がある。
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あれは管理人の家だろうか、と話しているとまたバイクのお兄さんが来て、「あれは博物館だよ。見たかったら開けるよ」というので中に入れてもらう。
中の展示は模型や地図、写真がほとんどで出土品はダマスカスに行ってしまってなにもない。しかしとても分かりやすい展示で、好感が持てる。
そしてここで重大な発見。
ドゥラ・エウロポスはここから出土した2世紀の壁画で有名なのだが、国立博物館にあるそのほとんどを実は見逃していたことが判明。なに~、どこにあったんだ。壁画好きとして見逃すなんて許されん。
リベンジを期して遺跡を後にし、さらに南、イラクとの国境まで数キロという所まで車を進める。
ここで立ち寄るのはもう一つの砂の山。
マリ遺跡。
今から5000年も前にメソポタミア文明が栄えた場所だが、
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今ここに残るのは壁と泥レンガだけ。こういう古~い遺跡は知識がないととてもつらい。
あと一歩でイラクという所まで来たことに満足してデーレゾールの町へ引き返す。
4時過ぎに町に入り、向かったのはまた博物館。
それほど期待もせずに入ったが、ここは意外な拾い物。
広い館内に展示物は少ないが、長い歴史と地理関係がとてもよく解説されていてわかりやすい。
そしてもう一つ嬉しかったのはテル・ブラックの出土品があったこと。
テル・ブラックはシリアの北東、トルコとの国境に近い遺跡だが、アガサ・クリスティのだんなさん、マックス・マローワン教授が発掘した遺跡なのだ。クリスティも発掘の手伝いをしたという、その遺跡での日々は本にもなっていてこれがおもしろい。
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この小さな出土品をアガサも触ったかも、と思うだけでファンは嬉しいのだ。
貸しきり状態の博物館をゆっくり楽しんだ後は、デーレゾールで唯一の観光スポット、ユーフラテス川にかかるつり橋へ。
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川には中洲が多く、橋は渡ってみると思ったよりずっと長い。
涼しい川の上は地元民にも大人気。デート中のカップルやら家族連れやら、大勢の人がのんびり楽しんでいる。
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そして川といえば釣り。しかしここの釣りはおもしろくて、糸の先が針ではなく細かい網になっている。
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へ~、こんなので釣れるのかね、と思っていたらいかにもベテランの風情の釣り人が一度に2匹の魚をゲット。
感心した所でホテルに引き上げた。
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パルミラの町を出て東へ向かう。
相変わらず荒涼とした景色をしばらく行くと、前方の道をラクダの大群が横断し始めた。
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大きなラクダ、小さなラクダ、次々に目の前を通っていく。
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こんなに大量のラクダを一度に見たのは初めて、と喜ぶとドライバーのアリー氏も得意そう。
ダマスカスからパルミラへの道では生き物の気配もなかったが、東へ向かう道では家畜がぽつぽつ姿を見せる。
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犬が顔を出す運搬車には羊が3階建てでぎっしり詰まっている。
デーレゾールの町から進路を南に取ると、ユーフラテス川に沿ったこの道筋には小さな町がいっぱい。
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やがて遠くに延々と連なる壁が見えてきた。
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これが紀元前4世紀から紀元224年まで栄えたというドゥラ・エウロポスの遺跡。
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城門をくぐって中に入ると
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無茶苦茶広くて茶色一色。建物の跡というのは分かるけど、それ以上は想像力の限界。
てくてくと砂の中を歩いていくと眼下にユーフラテス川が見えた。
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崖の下を覗くと修復されつつある城砦の手前に真新しい小さな建物がある。
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あれは管理人の家だろうか、と話しているとまたバイクのお兄さんが来て、「あれは博物館だよ。見たかったら開けるよ」というので中に入れてもらう。
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そしてここで重大な発見。
ドゥラ・エウロポスはここから出土した2世紀の壁画で有名なのだが、国立博物館にあるそのほとんどを実は見逃していたことが判明。なに~、どこにあったんだ。壁画好きとして見逃すなんて許されん。
リベンジを期して遺跡を後にし、さらに南、イラクとの国境まで数キロという所まで車を進める。
ここで立ち寄るのはもう一つの砂の山。
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今から5000年も前にメソポタミア文明が栄えた場所だが、
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今ここに残るのは壁と泥レンガだけ。こういう古~い遺跡は知識がないととてもつらい。
あと一歩でイラクという所まで来たことに満足してデーレゾールの町へ引き返す。
4時過ぎに町に入り、向かったのはまた博物館。
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広い館内に展示物は少ないが、長い歴史と地理関係がとてもよく解説されていてわかりやすい。
そしてもう一つ嬉しかったのはテル・ブラックの出土品があったこと。
テル・ブラックはシリアの北東、トルコとの国境に近い遺跡だが、アガサ・クリスティのだんなさん、マックス・マローワン教授が発掘した遺跡なのだ。クリスティも発掘の手伝いをしたという、その遺跡での日々は本にもなっていてこれがおもしろい。
Amazon.co.jp: Come, Tell Me How You Live: Agatha Christie: 洋書
この小さな出土品をアガサも触ったかも、と思うだけでファンは嬉しいのだ。
貸しきり状態の博物館をゆっくり楽しんだ後は、デーレゾールで唯一の観光スポット、ユーフラテス川にかかるつり橋へ。
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川には中洲が多く、橋は渡ってみると思ったよりずっと長い。
涼しい川の上は地元民にも大人気。デート中のカップルやら家族連れやら、大勢の人がのんびり楽しんでいる。
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そして川といえば釣り。しかしここの釣りはおもしろくて、糸の先が針ではなく細かい網になっている。
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へ~、こんなので釣れるのかね、と思っていたらいかにもベテランの風情の釣り人が一度に2匹の魚をゲット。
感心した所でホテルに引き上げた。

lunta_november@mail.goo.ne.jp
シリアのダマスカスのみですが、メインはスークとマクハ?喫茶店でアラビックコーヒーを飲みながら、ボーットできたらと思っています!治安の事が気になり、行けるか正直ビビっていました…。コメント頂き少し安心しました。ホテルは日本で押さえているのですが、どうされましたか?旧市街にとりたいですね!夜のモスクを見たいです!たぶんマルジェ広場辺りが宿泊予定みたいです。少し遠いですかね?スーク、楽しみです。何か買い物はされましたか?もし良かったらいろいろお尋ねしたいのですが、ここにメールさせて頂いてもよろしいでしょうか?それか、アドレスをメールした方がよろしいでしょうか?宜しく御願いします!
7月にシリアにいらっしゃるとのこと、楽しみですね。
どのようなことにご興味があるのかがわかりませんのでどこがおすすめとは言いにくいのですが、ダマスカスのスークはとにかく楽しいので、ご自分で歩き回って興味のある所に入られれば良いのではないかと思います。
私は友人と3人旅でしたが、シリアはとても治安がよく、シリア人もとても親切ですので、一人旅でもまったく心配なく歩き回れると思います。
旧市街に宿を取られるのでしたら夜のウマイヤド・モスクがおすすめ。とてもきれいです。
楽しんで来て下さいね。
一人旅だったのでしょうか?多少、治安の問題も心配ですが楽しい旅になると嬉しいです!
是非、オススメなどありましたら教えて下さい
「チグリス、ユーフラテス」って確かにおとぎ話の中のような響きですよね、我々には。でも現地に立つとなるほど水が人を養い、文明を育てるのだということが実感できてよかったです。遺跡そのものよりは博物館の中の出土品の方がおもしろいですけどね。
うつせみ様、
デーレゾールも長いツアーでは行く場合があるようですよ。
私たちは日本の旅行社経由で車を手配してもらったので、何の苦労もなく行けちゃいました。ちょっと贅沢ですけれどツアーと同じくらいの金額ですし、わがままも効くし、ツアーで現地の下見をして、2度目からは手配というのもいいんじゃないでしょうか。特にご夫婦にはおすすめです(って私、旅行社の回し者でしょうか)。
Kmala KMAR 様、
こちらもKmalaさんがシリアで何してたのか興味津々ですけど、旅行記、いつになったらシリアに入るの(笑)。
パルミラのちっちゃな食堂も、それはそれでおもしろそうだなー。
yokocan 様、
ユーフラテス、やっぱり「ああ、これが」って思いますよね、歴史好きとしては。できればチグリスも見てみたいものですが、いつになったら可能になることか。メソポタミアの遺跡もおもしろそうなのはやっぱりイラク国内みたいです。
この後、地中海方面にも行きますが、果たして期待されているようなものか(笑)。
それに、マリ遺跡だなんて~。イラクとの国境付近は、メソポタミアの遺跡がゴロゴロしてそうです。
風景がとにかく雄大で、ラクダの行進に出くわすだなんてラッキーですね。こちらじゃ羊の行列を見られますけど、ラクダの方が可愛くていいかも。
これから先の旅レポートも楽しみです!地中海地方も出てきますよねっ。
パルミラでの食事ですが、裏通りに、現地人向けのフムスやフルを出す店があって、そういうちっちゃな食堂で食べてました。選択肢ほとんどなかったですけど…
遠くアララト山付近に発してペルシャ湾に注ぐ、古代の交易の大動脈ユーフラテス川の、丁度中流域になるのですね。
上流にアタチュルク湖やアサド湖という、名前から推して多分巨大な人造ダム湖があるようだから、さすがの大河も昔より水量が減っているのかしら?
見てみたい!
写真のあの橋で、私も風に吹かれて見たい!
でも、ダマスカスから500kmくらいありそうで、ツアーではとても無理ですね。
行きたいところに自力で行けるluntaさん。本当にすごい。
ラクダの行進もまるで、映画かNHKのドキュメンタリー番組のワンシーンのようです。
砂漠だのチベットだの、言われてみれば地平線の見えるようなところばかり好んで行っています。せせこましい日本に住んでいる反動でしょうか。
遺跡に土産物屋がないのも言われてはじめて気が付きました。だって何かある方が不思議な所なんだもん(笑)
最初のパノラマ写真が360度広がってるのを想像すると、ため息が出ます。
そこをラクダの群れが・・・
ここに行って来られたんですね~luntaさんは。
人間って、小さいけどスゴイっすね。
恥ずかしながら聞いたことのある名前は、ユーフラテス川のみで、ドゥラ・エウロポス、テル・ブラック等の遺跡名は初めて知りました。
看板もみやげ物屋も見当たらない、
そのまんまの「遺跡」。
ここの土を踏むことが、
何よりの土産かもしれません。
いや~、行ってきたんですよねここに!
・・・すみません何度も(笑)
でも、これがため息とともに漏らした、
心の底からの感想です。