日本には「三大美人の湯」というのがあるそうで、島根県の湯の川温泉、和歌山県の龍神温泉、そして群馬県の川中温泉がそうなのだとか。
湯の川と龍神温泉を制覇した友人が残る川中温泉にも行ってさらに美しくなりたいと言うので、お伴をすることにした。
出発は上野から、特急の「草津」。
平日のお昼の車内はほとんどガラガラで、一車両に10人もいたかどうか。
本日のお弁当は駅で買った日本橋ゑびす屋の「吉野鶏めしのお手軽弁当」。厳密には駅弁ではないかもしれないが、しっかりした味付けの鶏めしがおいしくて、これで580円はお値打ち。
高崎を過ぎると新緑のまぶしい山の景色になり、2時間30分で目的の駅に到着。
何とも懐かしい風情の「川原湯温泉駅」。
しかしここは議論になった八ッ場ダムのおひざ元。この駅舎もダムが完成すると水の底に沈んでしまう運命なのだ。
駅を出るとお迎えの車が待っていて、宿までは15分のドライブ。
つい1ヶ月前までは行っていなかった送迎を始めたのも、ダム工事で道が新しくなり、トンネルが多い道は歩くのが危なくなるからだとか。
そして到着した川中温泉、かど半旅館は山の中の一軒宿。日本三大美人湯の看板が誇らしくかかるのは本館。
玄関の向かい側には地下通路でつながった新館があって、小さいながら滔々と流れる川に面している。
こじんまりした帳場で迎えてくれたのは、宿の売りにそむかぬ美人の女将さん。予約の電話をした時から感じが良く、秘境宿のスタンプ帳を見ながら北海道の話などする。
やがて案内されたのは新館の2階、10畳のお部屋。
新館と言ってもだいぶ年季が入っているようだが、掃除はしっかり行き届き、広縁の先にベランダまであるのはちょっと珍しい。
窓の外には川が流れ、謎の小さな鳥居が見える。
そして隣の部屋はなんと、卓球室。温泉卓球を楽しみたかったけれど、同行の友人はぎっくり腰を起こしたばかりだったので残念ながらパス。
それでは、と早速温泉療養のため階下のお風呂へ向かう。
まず覗いてみたのは女湯。
3,4人でいっぱいになりそうな変わった形のかわいいお風呂。狭い脱衣場との間にはガラスの仕切りがあるのだが、扉を開けると窓が閉め切ってあるためか、硫黄に他の要素が混ざったようなにおいでむせるほど。
ここに入ってもよかったのだが、「この時間、他には連泊の男性が一人いるだけです」と女将に言われていたので混浴の大浴場と露天を覗くと案の定誰もいない。
これはチャンス!と友人と二人、露天の脇にある男女別の小さな脱衣場で裸になる。
屋内にある大浴場は6人ほどは入れそうな、これも変わった形のお風呂。
ここのカルシウム─硫酸塩泉の源泉は35℃しかないので、この内湯は加温されていて、それでも40℃ほどのぬるいお湯。ここにちょっとだけ浸かって、その奥にある露天へ移動すると
手前には10人は入れそうな大きな石造りの浴槽、岩壁で仕切られた向こうにはそれより少しだけ小さな浴槽があって、正面は一面の緑に向かって開かれている。
手前はやはり40℃ほどの加温湯、奥は源泉のままなので体温より低いが、無色透明のお湯には大きな茶色い湯花が少し浮かび、ぬるぬる感はないのだが入っていると体がふーっと軽くなるようで何とも気持ちがいい。
ぬる湯を楽しみ、暖かい方に移ってぼーっとしていると、「こんにちわ」と声がしてなんと、男性が入ってきた。
なぜか誰も来ないと信じ込んでいたのでこれにはびっくり、挨拶の返事もできない。
我々は露天の脱衣場を使っていたので、大浴場の脱衣場を見た男性も誰もいないと思って入ってきたのだろう、あちらもびっくりしたに違いない。
混浴なのだからどちらにも入る権利があるわけだが、なぜかこちらが悪かったような気がして、マナーの良い男性がそっぽを向いてくれている間にそそくさと出てきた。
それにしても、ああ、びっくりした。
そうこうしているうちに6時、電話もない部屋に女将さんが声を掛けに来てくれて、帳場の隣にある食事処へ。
テーブル席に並べられていたのは鯉の洗いやこんにゃく、とろろ、豚肉と野菜蒸しなど山のものばかり。あとから焼き立ての岩魚が来て
〆に出てきたのはおっきりこみという手打ちのとても太い麺。野菜がたくさん入った汁は味噌仕立てなのがおもしろく、いかにも田舎の料理という素朴な味。
食後も8時から10時までが露天の女性専用時間なのでまたぬるい源泉でゆらゆらして、寝る直前にも今度は女湯に入りに行った。
そうしたところ、お湯の温度はぬるいのだけれどここの温泉は体が芯から温まるらしく、出た後もいつまでもポカポカする。美人の湯と言われるのはこのためだろうか。
しかしおかげで布団に入ってからも一向に汗が引かず、なかなか寝付けない。
温泉パワー、恐るべし。
寝不足ながらも翌朝の6時から7時の女性専用時間にもまた露天へ直行。
とにかくこの宿の露天、特に源泉そのままのぬる湯の気持ち良さはたまらない。
びっくりはしたが、昨日の昼間にも入ったのは正解だったね、と友人と同意する。
8時からの朝食もぜんまいやふき、おからや切干大根の煮物が並んで家庭的。
この旅館は部屋に外鍵はないし、冷蔵庫もなく、残念ながら冷水のポットもない。
トイレはウォシュレットながら外だし、設備や食事からするとこれで二人泊、税別13000円はちょっと高めのような気がする。
しかし特筆すべきあの源泉露天、美人になろうがなるまいがあのお風呂にはまた入りたい。
八ッ場ダム建設によるもろもろの変化で大変そうだが、宿のご家族にはぜひがんばっていただきたい。
などと思いつつ、腰痛の友人は送迎車にまかせて、自分は一足先に宿を後にした。
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湯の川と龍神温泉を制覇した友人が残る川中温泉にも行ってさらに美しくなりたいと言うので、お伴をすることにした。
出発は上野から、特急の「草津」。
平日のお昼の車内はほとんどガラガラで、一車両に10人もいたかどうか。
本日のお弁当は駅で買った日本橋ゑびす屋の「吉野鶏めしのお手軽弁当」。厳密には駅弁ではないかもしれないが、しっかりした味付けの鶏めしがおいしくて、これで580円はお値打ち。
高崎を過ぎると新緑のまぶしい山の景色になり、2時間30分で目的の駅に到着。
何とも懐かしい風情の「川原湯温泉駅」。
しかしここは議論になった八ッ場ダムのおひざ元。この駅舎もダムが完成すると水の底に沈んでしまう運命なのだ。
駅を出るとお迎えの車が待っていて、宿までは15分のドライブ。
つい1ヶ月前までは行っていなかった送迎を始めたのも、ダム工事で道が新しくなり、トンネルが多い道は歩くのが危なくなるからだとか。
そして到着した川中温泉、かど半旅館は山の中の一軒宿。日本三大美人湯の看板が誇らしくかかるのは本館。
玄関の向かい側には地下通路でつながった新館があって、小さいながら滔々と流れる川に面している。
こじんまりした帳場で迎えてくれたのは、宿の売りにそむかぬ美人の女将さん。予約の電話をした時から感じが良く、秘境宿のスタンプ帳を見ながら北海道の話などする。
やがて案内されたのは新館の2階、10畳のお部屋。
新館と言ってもだいぶ年季が入っているようだが、掃除はしっかり行き届き、広縁の先にベランダまであるのはちょっと珍しい。
窓の外には川が流れ、謎の小さな鳥居が見える。
そして隣の部屋はなんと、卓球室。温泉卓球を楽しみたかったけれど、同行の友人はぎっくり腰を起こしたばかりだったので残念ながらパス。
それでは、と早速温泉療養のため階下のお風呂へ向かう。
まず覗いてみたのは女湯。
3,4人でいっぱいになりそうな変わった形のかわいいお風呂。狭い脱衣場との間にはガラスの仕切りがあるのだが、扉を開けると窓が閉め切ってあるためか、硫黄に他の要素が混ざったようなにおいでむせるほど。
ここに入ってもよかったのだが、「この時間、他には連泊の男性が一人いるだけです」と女将に言われていたので混浴の大浴場と露天を覗くと案の定誰もいない。
これはチャンス!と友人と二人、露天の脇にある男女別の小さな脱衣場で裸になる。
屋内にある大浴場は6人ほどは入れそうな、これも変わった形のお風呂。
ここのカルシウム─硫酸塩泉の源泉は35℃しかないので、この内湯は加温されていて、それでも40℃ほどのぬるいお湯。ここにちょっとだけ浸かって、その奥にある露天へ移動すると
手前には10人は入れそうな大きな石造りの浴槽、岩壁で仕切られた向こうにはそれより少しだけ小さな浴槽があって、正面は一面の緑に向かって開かれている。
手前はやはり40℃ほどの加温湯、奥は源泉のままなので体温より低いが、無色透明のお湯には大きな茶色い湯花が少し浮かび、ぬるぬる感はないのだが入っていると体がふーっと軽くなるようで何とも気持ちがいい。
ぬる湯を楽しみ、暖かい方に移ってぼーっとしていると、「こんにちわ」と声がしてなんと、男性が入ってきた。
なぜか誰も来ないと信じ込んでいたのでこれにはびっくり、挨拶の返事もできない。
我々は露天の脱衣場を使っていたので、大浴場の脱衣場を見た男性も誰もいないと思って入ってきたのだろう、あちらもびっくりしたに違いない。
混浴なのだからどちらにも入る権利があるわけだが、なぜかこちらが悪かったような気がして、マナーの良い男性がそっぽを向いてくれている間にそそくさと出てきた。
それにしても、ああ、びっくりした。
そうこうしているうちに6時、電話もない部屋に女将さんが声を掛けに来てくれて、帳場の隣にある食事処へ。
テーブル席に並べられていたのは鯉の洗いやこんにゃく、とろろ、豚肉と野菜蒸しなど山のものばかり。あとから焼き立ての岩魚が来て
〆に出てきたのはおっきりこみという手打ちのとても太い麺。野菜がたくさん入った汁は味噌仕立てなのがおもしろく、いかにも田舎の料理という素朴な味。
食後も8時から10時までが露天の女性専用時間なのでまたぬるい源泉でゆらゆらして、寝る直前にも今度は女湯に入りに行った。
そうしたところ、お湯の温度はぬるいのだけれどここの温泉は体が芯から温まるらしく、出た後もいつまでもポカポカする。美人の湯と言われるのはこのためだろうか。
しかしおかげで布団に入ってからも一向に汗が引かず、なかなか寝付けない。
温泉パワー、恐るべし。
寝不足ながらも翌朝の6時から7時の女性専用時間にもまた露天へ直行。
とにかくこの宿の露天、特に源泉そのままのぬる湯の気持ち良さはたまらない。
びっくりはしたが、昨日の昼間にも入ったのは正解だったね、と友人と同意する。
8時からの朝食もぜんまいやふき、おからや切干大根の煮物が並んで家庭的。
この旅館は部屋に外鍵はないし、冷蔵庫もなく、残念ながら冷水のポットもない。
トイレはウォシュレットながら外だし、設備や食事からするとこれで二人泊、税別13000円はちょっと高めのような気がする。
しかし特筆すべきあの源泉露天、美人になろうがなるまいがあのお風呂にはまた入りたい。
八ッ場ダム建設によるもろもろの変化で大変そうだが、宿のご家族にはぜひがんばっていただきたい。
などと思いつつ、腰痛の友人は送迎車にまかせて、自分は一足先に宿を後にした。
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広縁に洗面台も今や懐かしい光景になりましたよね。
最近の旅館は豪華になり過ぎて、どんどん敷居が高くなってる感じ。
露天風呂が混浴しかないのは残念。
どこかに痩せる温泉ないかな…
トイレがお部屋にないのだけはいささか不便だけれど、それも最近はウォシュレットになっているところも多いです。
痩せる温泉はね~、食事がまずいところじゃないですか(笑)。これは値段だけじゃわからないので探すのが難しいです。