謎と起源の秘密 最新・彗星学 (カドカワ・ミニッツブック) | |
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先般、アイソン彗星が、太陽に近づきすぎて消滅したことが大きな話題になったが、古来より彗星の襲来は、人々の話題をさらってきた。どこからかやってきて、怪しげな光をまきちらしながら去っていく彗星は、かっては不吉の象徴だった。しかし、現代では、彗星に関する多くのことが分かっており、彗星の接近は壮大な天体ショーの一つとして楽しまれるようになっている。「謎と起源の秘密 最新・彗星学」(アストロアーツ編:カドカワミニッツブック)は、この彗星に関する最新の知見を、簡潔に分かりやすく纏めたものである。
本書に書かれていることは、「①彗星はどこからくるのか」、「②彗星の核は何からできているのか」、「③彗星の尾は何からできているのか」、「④彗星が生命起源となった可能性について」の4つに分類される。彗星には、長周期のものと短周期のものがあり、前者は、数万天文単位も離れたオールトの雲と呼ばれることろから、また後者は冥王星の外側にあるエッジワ―ス・カイパーベルトからやって来るということ。彗星の核の主成分は水(氷)であるということ。彗星の尾には、プラズマ、ダスト、ナトリウムの3種類があるということ、彗星の核には有機物が閉じ込められているということなど、極めて興味深い話題が満載である。収められているイラストや写真も美しく、天文ファンならずとも楽しく読めるだろう。
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※本記事は「本の宇宙」と同時掲載です。