文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

サッカー場の建設問題について思うこと

2016-03-06 19:46:03 | オピニオン
 広島市は現在サッカー場の建設問題で騒がしい。平和公園からもほど近い旧市民球場跡地にするか、宇品地区にある宇品みなと公園にするかでもめているようだ。行政は宇品みなと公園を押しているようだが、サンフレッチェ側はそこでは採算がとれないとして、市民球場跡地でないと、本拠地として使わないと表明している。

 これらは作ることを前提にしたうえでの、場所をどこにするかという議論である。しかし、市民が全員サッカー好きというわけではない。当然作らないという選択肢も入れるべきである。私自身もサッカー場なんてどうでもよい。

 なぜかスポーツ施設というと、声が大きい人間が出てきて作って当然という雰囲気になってしまう。しかし、今のご時世、箱モノを作ってもやがては市民の負担になるのは目に見えている。箱モノを作るよりは、科学技術の振興や文化の発展など、税金の使い道はいくらでもある。
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書評:氷雪の殺人

2016-03-06 09:39:48 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
氷雪の殺人 (文春文庫)
クリエーター情報なし
文藝春秋

・内田康夫

 本作は、内田康夫氏による旅情ミステリー、「浅見光彦シリーズ」のひとつだ。舞台は、北海道の利尻島。5月といってもまだ寒い利尻山中で男が凍死する。男の名は、富沢晴之。日本有数の通信機メーカー、西嶺通信機のエリート社員だった。

 警察が自殺として幕引きをしようとしていたこの事件に光彦が関わることになったのは、警察庁刑事局長である兄の陽一郎を通じて、北海道沖縄開発庁長官の秋元康博から依頼があったためである。

 富沢が死ぬ前に、利尻カルチャーセンターに残した「プロメテウスの火矢は氷雪を溶かさない」という言葉。それはいったい何を意味するのか。当初は単なる殺人事件を扱ったミステリーかと思っていたら、物語は次第に国防を揺るがすような、なんともスケールの大きな話に発展していく。「龍頭蛇尾」という言葉があるが、これはその逆。「蛇頭龍尾」といったところか。

 それもそのはず。巻末の自作解説によれば、当初は、この作品として、旅情ミステリーの利尻版のようなものを考えていたようだ。ところが、執筆中に、テポドン事件が起こり、防衛庁(当時)の危機対応のお粗末さが露呈される。更には、防衛庁幹部職員の起こした汚職事件。我が国の国防はいったいどうなっているのか。そのような作者の憤りが文章の端々から感じられ、社会派のミステリーとしてよく仕上がっている。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

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