![]() | なれる!SE 4 誰でもできる?プロジェクト管理 (電撃文庫 な) |
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アスキー・メディアワークス |
・夏海公司
ブラックIT企業スルガシステムの新人、桜坂工兵が、アホな社長から仕事の無茶ぶりをされ、上司のロリ美女・室見立華にしごかれながらも、どんどんワーカホリックが重症化し、悲惨な環境に適応していくという恐ろしい物語(笑)のシリーズ4作目。
今回の案件は、ベターメディアという出版社の本社移転。これがまたひどいプロジェクトで発注元は、最初からベンダーに丸投げ。発注側の担当者は、会議の最中も携帯をいじっているという体たらく。これでうまくいくほうが不思議なのだが、実際にはこんな案件って多いんだろうなあ。だから、動かないシステムが、よく問題になるんだろう。
情報システムの位置付けがこれだけ重用になっているにも関わらず、これを単なるコストと見なす無能な経営者は多い。だからアウトソーシングを重ねた結果、社内に技術が蓄積されず、何かあったときにはベンダーにお任せ状態になってしまう。
あまりのカオスぶりに前任のPMが逃げ出したため、いつものように、アホ社長が安請け合いして、工兵がPMをやることになってしまった。もちろん入社1年目の工兵に、PMの経験など、あるわけがない。
彼の指導役の立華も、機器自体のスキルは凄いのだが、人を纏めて動かすというのは苦手だ。工兵たちは、「PMって何?」という状態から、市販本を買い込んで手探りで進めていく始末。
当然そんなことでうまくいくわけはない。本に書いてあるのは、標準的なことだけだ。個別のプロジェクトをどう管理していくかについてのノウハウを身に付けるには経験が欠かせないのである。
今回も工兵に対立してくるのは、可愛らしい女子エンジニア。もちろん、工兵は試行錯誤しながらも、結局は思いもよらないような解決法を見つけて、またまた彼に好意を寄せる女子が増えるというのは基本的なパターン。しかし、実際にはこんなに可愛らしくて、優秀な女子エンジニアがあちこちにいる訳は。くれぐれも幻想を持って、この世界に飛び込まないように(笑)。
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※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。