地理 2017年 09 月号 [雑誌] | |
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地理の今月号でまず目を引いたのは、はやしきよみさんの「楽しく地理を描く旅」だ。今回の話題は、福井県の嶺北地方で行われているという、半夏生に焼き鯖を食べるという習慣である。
著者は同郷人のようで、<地元山口県では、半夏生を特段意識したり何かするということは、広く浸透していなかったように記憶しています。>(p8)と書いている。これはその通りで、私自身半夏生という言葉くらいは知っているものの、それが何かの習慣に結びついていたという記憶はまったくない。
関西では半夏生にタコを食べるのが定番らしいが、個人的にはタコよりは、鯖の方が美味しそうに思う。口絵に手作り感満載の「半夏生鯖まっぷ」もあり、なかなか楽しい。
さて、今月号の特集は、「ネパール 大地震後の地域と社会」だ。これは、2015年に発生したネパール・ゴルカ地震が、ネパール社会に与えた影響について取り纏めたものである。その内容は、地震の被害と復興の状況、復興支援や社会の変化などである。この特集の記事からだけでも、ネパールの家屋の耐震性の欠如、政府の取り組み姿勢や複雑な手続き、利権を得ようとする村の顔役の存在など、多くの問題点が存在することが分かる。同じ復興支援をするにしても、このような問題点があることを知らなければ、有効な援助には繋がらないのではないかと思う。今後同様の事態が発生した時に、支援をどう行っていけばいいのか、考える材料になるのではないだろうか。
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※初出は、「本が好き!」です。